有事と為替レートの関係・有事のドル買いとは
記事作成日:2018年4月5日
最終更新日:2022年2月22日
戦争や紛争などの有事の場合や関係国間で軍事的な緊張が高まっている場合には、投資家はリスクを回避するために、リスクが高い国のから安全な国に資金を移動させようとします。そのため、当事国では資金流出から通貨安となる傾向がある一方、安全性が高いとされている米ドル、日本円、スイスフランが買われる傾向があります。
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有事の際には安全資産が買われる傾向がある
戦争や紛争などの有事の際(または緊張が高まっている状態の場合)には、投資家はリスクを回避しようとするため、リスクが高い資産を売って、安全な資産を買うという投資行動を行う傾向があります。
国・通貨の面では、安全だと考えられている通貨の資産に資金を動かそうとする動きがみられる傾向があります。具体的には有事の際には、米国のドル、日本円、スイスフランが安全資産(安全通貨)として買われる傾向があります。
有事のドル買いとは
戦争や地域的な紛争発生した有事の場合や関係国間の緊張が高まっている場合には、為替市場での取引が活発で流動性があり、貿易取引や金融取引で国際的に広く使われていて信頼性が高い米国のドルが安全資産として買われる傾向があります。
有事の際に投資家のリスク回避の動きから安全資産である米国のドルを買う動きが強まることを有事のドル買いといいます。
日本円やスイスフランも安全資産とみられている
有事の際には米ドルを買う動きが高まりますが、米ドル以外にも日本円やスイスフランが安全な通貨として買われる傾向があります。
ただし、日本円はこれまで日本が戦争・地域紛争の直接的な当事者となる可能性が低いとみられていたことが安全資産とみなされていた一因であると考えられます。しかし、東アジア地域での緊張が高まると日本も有事の当事国となる可能性があるため、安全資産とみなされず、逆に資金流出が発生し通貨安(円安)となる可能性があることに注意が必要です。
中東地域などにおける緊張の高まりの場合は、地理的な要因から日本円やスイスフランが安全資産とみなされたとしても、東アジア地域における緊張の高まりの場合は日本円は安全通貨とならないことがあるのです。
有事の際には当事国・関係国が通貨安となりやすい
戦争や紛争などの有事の際には、戦争や紛争の当事国の経済に直接的な悪影響が生じる可能性が高くなるため、資金が流出し当事国の通貨安となる傾向があります。
また戦争や紛争の当事国と地理的、経済的、政治的、社会的、宗教的な関係性が強い場合(当事国の関係国)は、戦争や紛争による悪影響への懸念から、当事国と同様に通貨安となることがあります。
まとめ
- 戦争や紛争などの有事の際には、安全資産(安全通貨)とされる米国のドルや日本円、スイスフランが買われる傾向があります。ただし、日本円は東アジア地域の有事の際は安全資産とみなさらない可能性があります。
- 有事の際には戦争や紛争の当事国・関係国からは資金が流出し通貨安となる傾向があります。