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為替のヘッジコストとは

記事作成日:2019年10月2日
最終更新日:2022年2月10日

為替のヘッジコストとは

為替のヘッジコストとは、為替ヘッジを行う時に生じる為替ヘッジの対象となる通貨の金利と円の金利の差に相当するコスト(費用)のことです。為替ヘッジとは、為替の先物取引の一種である為替予約などを活用し、あらかじめ将来行う為替取引の為替レートを固定するなどして、外貨建て資産の為替変動リスクを回避することを意味します。

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ヘッジコストが発生する場合と原因・理由

ヘッジコストは金利が低い通貨の方で高金利通貨から低金利通貨に変える為替予約取引を行う場合に発生します。例えば、円(日本)の金利よりもドル(米国)の金利が高い場合、円にとっての外貨はドルになりますが、取引開始時に現在の為替レートで円をドルに変換して運用し、取引終了時に為替予約のレートでドルを円に変換する場合、取引終了時の「ドル→円」の為替予約の取引でヘッジコストが発生します。つまり、高金利通貨を低金利通貨に変える時に為替予約を行うと低金利通貨側でヘッジコストの負担が発生します。

ヘッジコストが発生しないとすると、高金利通貨で運用した方が有利となるため、為替予約などの取引で取引者間に有利不利が出てしまいます。為替予約を行った時に取引者双方に理論上有利不利が生じないように調整する役割を果たすのがヘッジコストです。

ヘッジコストの計算例・計算方法

例えば、現在の為替レートが1ドル=100円の時、円(日本)の1年の金利が0.1%、ドル(米国)の1年の金利が1.0%だったとします。この時、日本円を100円持っていたとして、日本円のまま運用する場合と、現在の為替レートで米ドルに換えて運用し、1年後に為替予約を利用して日本円に換える場合を考えてみます。

ヘッジコストがないと仮定した場合

この時、ヘッジコストがないとすると、1年後の為替予約のレートは1ドル=100円ということになりますが、ドルで運用した方が有利になります。

日本円のままの場合、年率0.1%の運用の結果、100円×(100%+0.1%)=100.1円となります。ドルに換えて運用すると、開始時1ドル=100円なので、年率1%での運用の結果、1ドル×(100%+1.0%)=1.01ドルとなります。これを1ドル=100円で円に換えると、1.01×100=101円となります。そのためドルでの運用が有利なので、この為替予約レートは取引者間で有利不利が生じます。

ヘッジコストがある場合

そこで、ヘッジコストによって取引者間の有利不利が調整されます。上記と同じ現在の為替レート、円とドルの金利の条件とすると、日本円のままの運用は年率0.1%の運用の結果、100円×(100%+0.1%)=100.1円、ドルに変換しての運用は開始時1ドル=100円なので、年率1%での運用の結果、1ドル×(100%+1.0%)=1.01ドルとなります。この時、為替予約レートで100.1円と1.01ドルが等価となる為替レートであれば、為替予約によって取引者間で有利不利が生じないため、為替予約取引が成立することになります。

  • 01ドル=100.1円なので、100.1÷1.01=99.1089…≒99.1となり、この時の1年後の為替予約のレート(フォワードレート)は1ドル=99.1円となります。
  • 為替ヘッジのヘッジコストの計算例

    ヘッジコストの計算方法・計算式

    為替ヘッジコストの計算方法は簡易的には、「高金利通貨の金利-低金利通貨の金利」で求めることができます。

    一方、円と外貨での運用結果を比較して求める方法で行うと次のようになります。まず、計算の条件として、1年間の運用を前提とすると、当初の保有資金をA円、為替レートを1外貨=X円(例:1ドル=X円)、低金利通貨(円)の金利をr、高金利通貨(外貨)の金利をRとします。

    この時、低金利通貨の運用結果はA×(1+r)、高金利の運用結果は(A÷X)×(1+R)となります。この2つの運用結果は等価となるので、(A/X)・(1+R)外貨=A・(1+r)円となり、1外貨=Y円の形となるように式を変形すると、1外貨=X・(1+r)/(1+R)となります。

    ここでXは当初の為替レートなので、(1+r)/(1+R)部分がヘッジコストに相当する部分となります。ここでヘッジコストを割合にすると、為替ヘッジのヘッジコストの計算式は次の通りとなります。

    ヘッジコスト(1年)=1-(1+r)/(1+R)

    為替ヘッジのヘッジコストの計算方法・計算式

    なお、運用期間を1年としていますが、運用期間がt年だった場合は、(1+r)と(1+R)をt乗すればよいため、ヘッジコストは以下の通りとなります。

    ヘッジコスト(t年)=1-(1+r)t/(1+R)t

    ヘッジコストは通貨間の金利差に相当

    上記の例で、円金利は0.1%、ドル金利は1.0%となっていたため、金利差は1.0%-0.1%=0.9%となります。一方、現在の為替レート1ドル=100円に対して、為替予約レートは1ドル=99.1円となっていましたが、100円を円からドルに換え、再びドルから円に換えた場合にどうなるかを計算すると、100(円)÷100(円/ドル)=1(ドル)、1(ドル)×99.1(円/ドル)=99.1円となります。この時、100円が99.1円に減っていますが、この100円-99.1円=0.9円がヘッジコストです。ヘッジコストの割合を計算すると0.9円÷100円=0.9%となり、金利差0.9%に相当することが確認できます。

    つまり、ヘッジコストは通貨間の金利差に相当することになります。基本的には、短期の金利差が通貨間のヘッジコストとなります。

    まとめ

    • ヘッジコストとは、為替ヘッジを行う時に生じる為替ヘッジの対象となる通貨の金利と円の金利の差に相当するコストのことを意味します。
    • 低金利通貨と高金利通貨では高金利通貨で運用した方が得なので、低金利通貨と高金利通貨の間で為替予約を行い将来の予約レートを決めるときに、ヘッジコストが生じることで取引者間に有利不利が生じないように調整されます。

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    【為替のヘッジコストとはの記事は終わりです】

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