政府や中央銀行の要人の発言と為替レートの関係
記事作成日:2018年4月5日
最終更新日:2022年2月20日
政府や中央銀行の要人・高官、例えば大統領や首相、中央銀行総裁や財務大臣・財務長官などの景気、物価、雇用、賃金、金融政策、通貨政策、通商政策、株価、不動産価格などに関する発言が為替レートを動かすことがあります。政府や中央銀行の要人の発言から、金融政策や通貨政策の方向性が連想され、為替レートの変動が引き起こされることがあるのです。政府や中央銀行の要人は何らかの形で為替レートに影響を及ぼす手段・方法を持っているため、為替レートを動かすことになるのです。
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中央銀行の要人発言と為替レートとの関係
中央銀行の総裁・議長や副総裁・副議長、理事、その他メンバー、中央銀行の重要な役職者などの中央銀行の要人の発言は、金融政策や通貨政策の方向性を見定める上で重要です。ただし、国によっては中央銀行が為替介入の権限を持たない場合があるため注意が必要です。
中央銀行は金融政策や為替介入(通貨に関する権限がある場合)を通じて為替レートに影響を与えることができるため、要人の発言が為替レートに影響するのです。
政府・議会の要人発言と為替レートとの関係
大統領、首相、経済閣僚(財務大臣、財務長官や財務省(海外で相当する国の機関を含む)の高官)、議会関係者(議長、与党などの有力者)といった政府や議会の要人の発言は通貨政策の方向性を見極める上で重要です。政府と中央銀行の独立性が保たれていない国、一体化している国では、金融政策の方向性を判断するためにも重要です。
政府は権限がある場合には、為替介入や金融政策を通じて為替レートに影響を与えることができるため、要人発言が為替レートの変動要因となります。
また、直接権限がない場合でも、政府要人の発言を受けて、中央銀行の行動に影響が出る場合があるため、政府に金融政策や通貨政策の決定権限がない場合でも、政府要人の発言が為替レートを動かすことがあります。
例えば一国の大統領や首相が為替レートに言及した場合、全く無視することはできないと考えることが自然だからです。
金融政策に関する発言と為替レートへの影響
一般的に政策金利の引き上げ(利上げ)などの金融引き締めが行われると、その国の通貨が上昇する傾向があります。金利が上がるとその通貨建ての資産を購入する動きが出るためです。逆に政策金利の引き下げ(利下げ)などの金融緩和が行われると、その国の通貨が下落する傾向があります。金利が下がるとその通貨建ての資産を売却する動きが出るためです。
金融引き締めを想起させるような発言、例えば景気が良い、インフレ率が高い、賃金が上昇している、金融市場が安定している、不動産や株価などの資産価格が上昇している、バブルの恐れがある、などのような発言は近い将来の金融引き締め(金融緩和の停止・縮小・転換も含みます)を連想させるため、通貨高要因となります。
逆に金融緩和を想起させるような発言、例えば景気が弱い、インフレ率が低い、賃金の動きが弱い、金融市場が不安定である、資産価格が下落している、デフレの恐れがある、などのような発言は近い将来の金融緩和(金融引き締めの停止・縮小・転換も含みます)を想定させるため、通貨安要因となります。
通貨政策に関する発言と為替レートへの影響
為替レートはモノやサービスの対外取引に影響するため、政府や中央銀行は為替レートの水準に注意を払っています。特に自国の通貨が安くなると貿易取引において輸出の価格競争力が出るため、景気を刺激するために通貨安を歓迎し、通貨高をけん制する場合があります。
逆に自国通貨が安くなると輸入価格の上昇を招くため、インフレへの警戒を示す場合は通貨安をけん制する場合があります。また、自国通貨が売り込まれてしまうと国の信用力にも影響がでるため通貨安をけん制することがあります。
例えば、貿易相手国の通貨安をけん制したり、金融緩和を通貨安誘導であると批判したり、自国の経常赤字解消の必要性を訴えたり、貿易相手国の経常黒字国をけん制したりすることで、自国通貨安の動きとなることがあります。
まとめ
- 政府や中央銀行の要人による、景気、物価、雇用、賃金、金融政策、通貨政策、通商政策、資産価格などに関する発言が為替レートに影響することがあります。
- 政府や中央銀行の要人は何らかの形で為替レートに影響を及ぼす手段・方法に関与することができるため、要人の発言から金融政策や通貨政策の方向性が連想され、為替レートの変動が引き起こされることがあるのです。