ベーシススワップスプレッドとは
記事作成日:2020年10月20日
最終更新日:2021年9月30日
ベーシススワップスプレッドとは、通貨ベーシススワップで変動金利を交換する際に、変動金利同士の水準を調整するために上乗せされる金利(スプレッド)のことです。ベーシススワップスプレッドには通貨間の金利差や市場の需給、信用リスクなどの違いが反映されます。通貨ベーシススワップでは、異なる通貨間で一定の為替レートで元本と変動金利を交換しますが、通貨が異なれば金利水準が違うため、変動金利の際にスプレッドを上乗せ(加算あるいは減産)することで調整されます。ベーシススワップスプレッドは、スプレッド、スワップスプレッド、ベーシス、ベーシススプレッドなどとも呼ばれます。
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通貨ベーシススプレッドとベーシススワップスプレッド
通貨ベーシススプレッドでは、ドルと円など異なる通貨間において、一定の為替レートで元本と変動金利を交換します。取引開始時にドルと円など異なる通貨間で元本を交換します。取引期間中は一定期間ごとに、元本交換で受け取った通貨の変動金利を取引相手に相互に支払います。取引終了時は最後の変動金利の交換と、開始時とは逆方向の元本の交換を行います。
通貨ベーシススワップスプレッドでは交換する変動金利にスプレッドを加えるあるいは差し引きことによって調整を行います。ドルと円などドルとの組み合わせの場合、ドル金利以外の金利にスプレッドを加える、あるいは差し引くことによって調整を行います。
例えば、取引開始時に元本の交換でドルを受け取った取引当事者は「ドルの変動金利」を相手に支払い、円を受け取った取引当事者は「円の変動金利+α(スプレッド)」を支払います。この「α」がベーシススワップスプレッドでプラスの値となることもマイナスの値となることもあります。
ベーシススワップスプレッドの変動要因
ベーシススワップスプレッドは、異なる2通貨間で元本と変動金利を交換する際に、変動金利を調整し、交換するキャッシュフローが等価となるようにします。
通貨が異なれば、通貨によって金利水準、需要の強さ、抱えている信用リスクなどが異なってきますが、ベーシススワップスプレッドは単に通貨間の金利差の調整をしているだけではなく、通貨ごとの需要の強さや信用リスクを反映しています。例えば、需要が強い通貨を調達するためには需要の強さに見合うだけのより多くの変動金利を支払わなければいけません。
ドル需給を示す指標として注目されるベーシススワップスプレッド
ドルと円で行われる通貨ベーシススワップを考えます。取引開始時にドルを受け取りドルを調達する側は「ドルの変動金利」を支払います。取引開始時に円を受け取り円を調達する側は「円の変動金利+α」を支払います。
もし、ドルを欲しい取引参加者が多く、条件が悪くなってもいいから何としてでもドルを調達したいと考えた場合、ドルを調達するために支払う「ドルの変動金利」にαは影響しないので、受け取る「円の変動金利+α」が少なくなってもいいと判断します。つまり、ドル需要の強い時はαが小さくなる(プラスが小さくなる、マイナスが大きくなる、マイナス転換する)ことになります。
逆に円を何としてでも調達したいと考える取引当事者が多い時、ドルの需要が弱い時などは逆にαが大きくなる(プラスが大きくなる、マイナスが小さくなる、プラスに転換する)ことになります。
ベーシススワップスプレッドの動きを見ることでドルの需要の強さ、弱さを知ることができます。そのため、ドルと円のベーシススワップスプレッドは、ドル需給を表す指標として市場で注目されています。
まとめ
- ベーシススワップスプレッドとは、通貨ベーシススワップで変動金利を交換する際に、交換する変動金利の水準を調整する上乗せ金利(スプレッド)のことです。
- ドルと円のベーシススワップスプレッドは、ドル需給を示す指標として市場で注目されています。