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バーティカル・ベア・スプレッド(ベア・スプレッド)とは

記事作成日:2020年11月7日
最終更新日:2022年4月4日

バーティカル・ベア・スプレッド(ベア・スプレッド)とは

バーティカル・ベア・スプレッド(ベア・スプレッド)とは、コールオプションまたはプットオプションのどちらか同じ種類で、同じ権利行使期日、異なる権利行使価格のオプションを、権利行使価格が高い方を買い(ロング)、権利行使価格が安い方を売り(ショート)で組み合わせたオプションの戦略で、原資産価格が値下がりすると利益、原資産価格が値上がりすると損失となる戦略です。利益、損失はともに一定の範囲内に限定されるのが特徴です。

オプション戦略でのスプレッドとは、同じ種類のオプションを組み合わせた戦略のことを意味します。

バーティカル・スプレッドとは、コールかプットの同じオプションを組み合わせた戦略のうち、オプションの権利行使の期日(満期)が同じで、権利行使価格が異なるオプション戦略を意味します。

ベアとは熊の"Bear"から来ていて攻撃する時に爪を下に振りかざすところが転じて下落や弱気な見方を意味しています。

バーティカル・ベア・スプレッドには、コールオプションのみを用いたバーティカル・ベア・コール・スプレッドとプットオプションのみを用いたバーティカル・ベア・プット・スプレッドの2種類があります。どちらも損益図の特徴は同じで、コールオプションを用いたか、プットオプションを用いたかの違いしかありません。

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バーティカル・ベア・コール・スプレッド

バーティカル・ベア・コール・スプレッドとは、権利行使期日が同じで、権利行使価格が異なるコールオプションを、権利行使価格が高い方を買い(ロング)、権利行使価格が安い方を売り(ショート)となるよう同じ単位組み合わせたオプション戦略です。

バーティカル・ベア・コール・スプレッドの損益図

コールオプションは権利行使価格が高いほど権利行使の可能性が低くなる、権利行使時の利益が少なくなるため、オプション料(プレミアム)が安くなります。そのため、同じ満期の場合、オプション料は「権利行使価格が安いコールオプション(ショートする方)>権利行使価格が高いコールオプション(ロングする方)」となります。

「原資産価格<権利行使価格が安いコールオプション(ショートコールの方)の権利行使価格」の場合、どちらのコールオプションも原資産価格が権利行使価格を下回っているため、権利行使はされません。ショートコールのオプション料>ロングコールのオプション料となるため、オプション料の支払いの方が多く利益となります。ただし、利益はショートコールで受け取ったオプション料とロングコールで支払ったオプション料の差額(ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料)に限定されます。

「権利行使価格が安いコールオプション(ショートコールの方)の権利行使価格<原資産価格<権利行使価格が高いコールオプション(ロングコールの方)の権利行使価格」の場合、ショートコールの方は権利行使価格が原資産価格を上回っているため買い手の権利行使で利益が出ますが、ロングコールは権利行使価格を原資産価格が下回っているため権利行使をしません。そのため、ショートコールから「原資産価格-ショートコールの権利行使価格」分の損失が出ますが、「ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料」と相殺され、「原資産価格-ショートコールの権利行使価格」が「ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料」を上回るまでは利益、上回ると損失となります。

損益分岐点は、「原資産価格-ショートコールの権利行使価格」と「ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料」が等しくなる価格、つまり、原資産価格が「ショートコールの権利行使価格+(ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料)」となる時です。

「権利行使価格が高いコールオプション(ロングコールの方)の権利行使価格<原資産価格」の場合、どちらのコールオプションも権利行使されますが、ロングコールとショートコールは同じ単位数なので利益と損失をお互いに相殺してしまうため、損失は増えていかず、損失は「(ロングコールの権利行使価格-ショートコールの権利行使価格)-(ショートコールのオプション料-ロングコールのオプション料)」に限定されます。

バーティカル・ベア・プット・スプレッド

バーティカル・ベア・プット・スプレッドとは、権利行使期日が同じで、権利行使価格が異なるプットオプションを、権利行使価格が高い方を買い(ロング)、権利行使価格が安い方を売り(ショート)となるよう同じ単位組み合わせたオプション戦略です。

バーティカル・ベア・プット・スプレッドの損益図

プットオプションは権利行使価格が安いほど権利行使の可能性が低くなる、権利行使時の利益が少なくなるため、オプション料(プレミアム)が安くなります。そのため、同じ満期の場合、オプション料は「権利行使価格が安いプットオプション(ロングする方)<権利行使価格が高いプットオプション(ショートする方)」となります。

「権利行使価格が高いプットオプション(ロングプットの方)の権利行使価格<原資産価格」の場合、どちらのプットオプションも原資産価格が権利行使価格を上回っているため、権利行使はされません。ロングプットのオプション料>ショートプットのオプション料となるため、オプション料の支払いの方が多く損失となります。ただし、損失はロングプットで支払ったオプション料とショートプットで受け取ったオプション料の差額(ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料)に限定されます。

「権利行使価格が安いプットオプション(ショートプットの方)の権利行使価格<原資産価格<権利行使価格が高いプットオプション(ロングプットの方)の権利行使価格」の場合、ロングプットの方は原資産価格が権利行使価格を下回っているため権利行使で利益が出ますが、ショートプットの方は原資産価格が権利行使価格を上回っているため買い手は権利行使を行いません。そのため、ロングプットから「ロングプットの権利行使価格-原資産価格」分の利益が出ますが、「ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料」と相殺され、「ロングプットの権利行使価格-原資産価格」が「ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料」を上回る間は利益、下回ると損失となります。

損益分岐点は、「ロングプットの権利行使価格-原資産価格」と「ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料」が等しくなる価格、つまり、原資産価格が「ロングプットの権利行使価格-(ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料)」となる時です。

「原資産価格<権利行使価格が安いプットオプション(ショートプットの方)の権利行使価格」の場合、どちらのプットオプションも権利行使されますが、ロングプットとショートプットは同じ単位数なので利益と損失をお互いに相殺してしまうため、損失は増えていかず、損失は「(ロングプットの権利行使価格-ショートプットの権利行使価格)-(ロングプットのオプション料-ショートプットのオプション料)」に限定されます。

バーティカル・ベア・スプレッドの損益の特徴

バーティカル・ベア・スプレッド(バーティカル・ベア・コール・スプレッドまたはバーティカル・ベア・プット・スプレッド)は、原資産価格が値下がりすると利益が得られ、値上がりすると損失が生じます。しかし、利益も損失も限定されています。

原資産価格の値下がりを予想しつつも、大幅な値下がりを予想していない場合、バーティカル・ベア・スプレッドが有効となる場合があります。大幅な値下がりを予想するならば、値下がり時の利益が限定されるバーティカル・ベア・スプレッドは不利ですが、値下がりしても大幅な値下がりではないと見込むならバーティカル・ベア・スプレッドに意味があるためです。

バーティカル・ベア・スプレッドは利益が限定されるだけではなく、損失も限定されます。そのため、原資産の値上がり時の損失発生リスクを抑えつつ、限定的ながらも原資産の値下がりによる利益を得るために用いられることがあります。

そのため、バーティカル・ベア・スプレッドは、相場の値下がりを予想しつつも大幅な下落は見込んでいない場合、損失を限定したい場合に用いられます。

まとめ

  • バーティカル・ベア・スプレッド(ベア・スプレッド)とは、コールオプションまたはプットオプションのどちらか同じ種類で、同じ権利行使期日、異なる権利行使価格のオプションを、権利行使価格が高い方を買い(ロング)、権利行使価格が安い方を売り(ショート)で組み合わせたオプションの戦略です。
  • バーティカル・ベア・スプレッドは、原資産価格が値下がりすると利益、原資産価格が値上がりすると損失となる戦略です。利益、損失はともに一定の範囲内に限定されるのが特徴です。

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【バーティカル・ベア・スプレッド(ベア・スプレッド)とはの記事は終わりです】

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