コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)とは
記事作成日:2020年11月16日
最終更新日:2022年4月5日
コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)とは、権利行使価格が安いコールオプションを1単位買い(ロング)、権利行使価格が高いコールオプションを1単位よりも多く売る(ショート)オプション戦略です。コール・レシオ・スプレッドは、レシオ・コール・スプレッドとも呼ばれることがあります。
権利行使価格が安いコール:高いコールを1:2とする場合が多いです。他には2:3(1:1.5)、1:3などとする場合があります。売るコールオプションの比率が高くなると、原資産価格の上昇時に急速に損失が膨らむことになるためリスクが高くなります。
スポンサーリンク
コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)の損益図
コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)の損益図は次のようになります(原資産価格≦権利行使価格が安いコールオプションの権利行使価格の部分が損失の場合)。
原資産価格≦権利行使価格が安いコールオプションの権利行使価格の時、いずれのコールオプションも権利行使されないため、購入したコールオプションのオプション料(プレミアム)と売却したコールオプションのオプション料(プレミアム)の金額次第で、利益となる場合、利益にも損失にもならない場合(ゼロ)、損失となる場合があります。
権利行使価格が安いコールオプションの権利行使価格<原資産価格<権利行使価格が高いコールオプションの権利行使価格の時、権利行使価格が安いコールオプション(購入した方)が権利行使できるため原資産価格が上昇するほど損益は改善していきます。
原資産価格=権利行使価格が高いコールオプションの権利行使価格の時に最大利益となります。
権利行使価格が高いコールオプションの権利行使価格<原資産価格の時は、原資産価格が高くなる程損益は悪化していきます。原資産価格が少し高いだけなら利益のままとなりますが、大きく価格が上昇すると損失となります。売却したコールオプションの比率が高いほど、損失の発生が速く、損失の金額も大きくなります。
なお、原資産価格≦権利行使価格が安いコールオプションの権利行使価格の部分が利益となる損益図は次のようになります。
売却したコールオプションのオプション料が購入したコールオプションのオプション料よりも多くなるようにすれば、原資産価格が大きく値上がりしない限り利益となるため、コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)で利益が出る確率が高まります。その場合、オプション料が相対的に安い(権利行使価格が高い)コールオプションを購入するか、オプション料が相対的に高い(権利行使価格が安い)コールオプションを売却するため、大きな利益が得られる原資産価格の幅が狭まり、最大利益も少なくなる可能性が高いことに注意が必要です。
コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)を活用する場面
コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)は原資産価格が少し上昇すると最大利益となる一方、大きく値上がりすると損失が膨らんでいきます。そのため、原資産価格の上昇が見込まれるものの、大幅な上昇の可能性が少ない時にコール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)が活用されます。
原資産価格<権利行使価格が安いコールオプションの権利行使価格の時でも利益になるようオプションを組み合わせると利益となる可能性が高まりますが、株価が上昇した時の最大利益などは通常相対的に少なくなります。この場合はコールオプションの売りに、原資産価格が少しだけ上昇した場合は利益になるような形にしたものとなります。
まとめ
- コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)とは、権利行使価格が安いコールオプションの買いと権利行使価格が高いコールオプションの売りを、売りの方が多くなるように組み合わせたオプション戦略です。
- コール・レシオ・スプレッド(レシオ・コール・スプレッド)は、原資産価格が小幅に上昇すると最大利益となり、大幅に上昇すると損失が膨らむ戦略です。原資産価格が下落した場合はオプション料次第で小幅な損失または利益となります。