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通貨スワップ(クロスカレンシースワップ)とは

記事作成日:2020年10月10日
最終更新日:2021年9月26日

通貨スワップ(クロスカレンシースワップ)とは

通貨スワップ(クロス・カレンシー・スワップ)とは、異なる通貨間の元本と金利を交換する取引で、主に金利を抑えて自国通貨以外の資金を調達するために行われます。取引開始時に元本を交換し、取引中は金利(利息)を交換します。取引終了時には元本を再び交換します。交換する金利は、変動金利同士ものが中心ですが、変動金利に限らず固定金利の場合もあります。

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通貨スワップを行う意味・意義

通貨スワップを行う意味としては、より有利な条件で借り入れができるようになるということがあります。また、為替リスクをヘッジして資金調達することができます。

低い金利での借り入れ

不利な金利でしか借り入れができない通貨の資金を少しでも有利な金利で調達するために通貨スワップが用いられます。通貨スワップを利用することで自国通貨以外の通貨での資金を実質的に借入低い金利で調達することができるようになります。

例えば、日本企業Aが米ドル資金100万ドルを必要としていて、米国企業Bが日本円1億円を必要としているとします。日本企業Aは日本では信用が高く日本円ならば1%(年率、以下同じです)の金利で借りられますが、米ドルの調達市場では知名度がないため米ドルは4%の金利でしか借りられないとします。米国企業Bは米国での信用が高く米ドルは日本企業Aよりも低い3%で借りられる一方、日本円の調達市場では日本企業Aよりも高い2%でしか借りられないとします。

  • 日本企業A:日本円借入金利1%、米ドル借入金利4%
  • 米国企業B:日本円借入金利2%、米ドル借入金利3%

この時、日本企業Aが自身で直接米ドルを調達すると借入金利は4%で、米国企業Bが自信で日本円を調達すると借入金利は3%です。

しかし、日本企業Aが日本円を米国企業Bが米ドルを調達し、通貨スワップで交換した場合は、スワップ取引のコストや為替変動の影響を無視すると、日本企業Aは米国企業Bの信用力を利用して米ドルを3%の借入金利で、米国企業Bは日本企業Aの信用力を利用して日本円を1%の借入金利で調達できることになります。

異なる通貨の債務者同士で、債務の元本と金利を交換することで、金利を抑えて有利な資金調達ができる場合があるのです。

為替変動リスクのヘッジ(回避)

通貨スワップを行うことで為替変動リスクをヘッジすることが可能です。通貨スワップでは通常、取引開始時に取引終了時の元本交換の為替レートなどの条件を定め、大抵は開始時と終了時は同じ額の元本を交換します。すなわち取引終了時の為替レートは、例外もありますが取引開始時と同じと設定されることが多いです。

通貨スワップ長期間の取引の場合、為替レートが大きく変動している可能性があり、機会損失(あるいは利益)が発生することがあります。為替変動リスクをヘッジすることで、為替変動による損失を回避できますが、利益も得られなくなる可能性があります。ただし、為替変動リスクをヘッジすると将来の不確実性を減らすことができるため、利用されることがあります。

通貨スワップの仕組みの例(図)

先ほどと同様に、米ドル資金100万ドルが必要な日本企業A、日本円1億円が必要な米国企業Bを想定します。日本企業Aの日本円の借入金利は1%、米ドルの借入金利は4%、米国企業Bの日本円の借入金利は2%、米ドルの借入金利は3%とします。取引開始時の為替レートは1ドル=100円、通貨スワップの取引期間は1年とし、取引開始から6か月ごとに金利の支払いが行われることとします。

取引開始時に、当事者は資金調達を行う一方で、取引の相手方と元本を交換します。通貨スワップの流れは次の図のようになります。なお、実際のスワップ取引では銀行等の仲介がありますが、図では分かりやすくするため省略しています。また、実際のスワップ取引では、元の債務通りの金利で支払いを行うのではなく、スワップ取引コストなどが上乗せされ、支払い金額が調整されることになりますが、わかりやすくするため単純化しています。

通貨スワップ(クロスカレンシースワップ)の仕組みの例

取引開始時

通貨スワップ取引を行うため、当事者は自身が有利に借りられる市場で資金を調達します。

1ドル=100円のため、100万ドル=1億円となります。日本企業Aは米国企業Bとのスワップのため日本円1億円を1%の金利で調達します。米国企業Bは日本企業Aとのスワップのため米ドル100万ドルを3%の金利で調達します。

そして、日本企業Aと米国企業Bは元本の交換を行います。日本企業Aは元本の日本円1億円を米国企業Bに支払い、米国企業は元本の米ドル100万ドルを日本企業Aに支払います。

利払い時

取引開始から6か月ごとの金利の支払い時には、金利の交換が行われます。ここでは分かりやすくするため、スワップ取引のコストを除いて説明しています。

日本企業Aは自ら調達した日本円1億円の1%(年率)の金利、1億円×1%×(6か月/12か月)=50万円を支払う必要があります。米国企業Bは自ら調達した米ドル100万ドルの金利、100万ドル×3%×(6か月/12か月)=1.5万ドルを支払う必要があります。

日本企業Aと米国企業Bは通貨スワップで元本と金利を交換しているので、利払い時には金利部分の交換を行います。日本企業Aの円金利は米国企業Bの米ドル金利と交換しているので、日本企業Aは米国企業Bに1.5万ドルを支払います。米国企業Bが受け取った1.5万ドルは、米国企業Bが調達した米ドルの金利の支払いに充てられます。

一方、米国企業Bは日本企業Aに50万円を支払います。日本企業Aが受け取った50万円は自身で調達した日本円の金利の支払いに充てられます。

取引終了時

取引の修了時には再び元本の交換を行います。取引開始時とは逆の支払いが行われることになります。為替レートは通常は開始時と同じレートとなります。

日本企業Aは開始時とは逆に、米国企業Aに対して米ドル100万ドルを支払います。米国企業Bは受け取った100万ドルを元本の返済に充て、米ドル建ての債務を返済します。米国企業Bも開始時とは逆に、日本企業Aに対して日本円1億円を支払います。日本企業Aは受け取った1億円を元本の返済に充て、日本円建ての債務を返済します。

なお、この場合は1年満期、半年ごとの利払いなので、取引終了時にも別途利払いの処理が行われることになります。

通貨スワップのメリット・効果

通貨スワップがなければ、日本企業Aは米ドルを4%の金利で調達しなければならず、100万ドルの元本なので、1年間では利息として4万ドルの資金調達コストが発生します。

通貨スワップを利用することで、日本企業は通貨スワップの取引コストや為替変動の影響を除いて米ドルを実質的に3%の金利で調達できることになり、利息を3万ドルに抑えることができます。

つまり、自社で資金調達する金利と、別の主体が調達する金利の差(4%-3%=1%)だけ資金調達コストを抑制する効果があったことになります。

同様に米国企業Bは自身で日本円を調達すると金利は3%でしたが、通貨スワップを利用することで通貨スワップの取引コストや為替変動の影響を除いて実質的に金利2%で調達できたことになり、3%-2%=1%の金利差分の金利抑制効果があったことになります。

まとめ

  • 通貨スワップ(クロス・カレンシー・スワップ)とは、異なる通貨間の元本と金利を交換する取引で金利を抑えて自国通貨以外の資金を調達するために行われます。
  • 取引開始時に元本、利払い時には金利(利息)、取引終了時に元本を交換します。

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【通貨スワップ(クロスカレンシースワップ)とはの記事は終わりです】

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