デビット・スプレッドとは(オプション戦略)
記事作成日:2020年11月10日
最終更新日:2022年4月1日
オプションのデビット・スプレッド(debit spread)とは、同じ原資産で同じ満期の期日のコールまたはプットの買いと売りを同じ単位組み合わせた時に、受け取ったオプション料(プレミアム)よりも支払ったオプション料の方が多くなり、ポジションを構築した時点では支払い超過になっている状態のことを意味します。
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デビット・スプレッドのデビット(debit)とは
デビット(debit)とは、銀行口座のお金が減る、複式簿記における借方などという意味がありますが、オプションでは、支払ったオプション料(プレミアム)と受け取ったオプション料(プレミアム)の差し引きで支払いが発生している状態だと考えると分かりやすいです。
つまり、「支払ったオプション料>受け取ったオプション料」です。
対になる言葉、反対語はクレジット(credit)です。クレジット(credit)とは、銀行口座に入金される、信用を与えられ後払いが許される、複式簿記における貸方などの意味がありますが、「支払ったオプション料<受け取ったオプション料」となる状態です。
デビット・スプレッドのスプレッド(spread)とは
オプションでのスプレッドとは、同じ原資産、同じ種類のオプションを複数組み合わせることを意味します。同じ満期で異なる権利行使価格のオプションを組み合わせるのがバーティカル・スプレッドで、デビット・スプレッドはバーティカル・スプレッドの一種です。
コールオプションの場合(コール・デビット・スプレッド)
コールオプションでは権利行使価格が高くなるほど、権利行使の可能性が低くなるため、オプション料(プレミアム)は安くなります。そのため、オプション料は「権利行使価格が安いコールオプション>権利行使価格が高いコールオプション」となります。
権利行使価格が安いコールオプションを買い、権利行使価格が高いコールオプションを同じ単位売ると、オプション料(プレミアム)の支払いが受け取りを上回り、デビット・スプレッド(コール・デビット・スプレッド)となります。
なお、権利行使価格が安いコールオプションを買い、権利行使価格が高いコールオプションを同じ単位売ると、バーティカル・ベア・コール・スプレッドとなります。
プットオプションの場合(プット・デビット・スプレッド)
プットオプションでは権利行使価格が安くなるほど、権利行使の可能性が低くなるため、オプション料(プレミアム)は安くなります。そのため、オプション料は「権利行使価格が安いプットオプション<権利行使価格が高いプットオプション」となります。
権利行使価格が高いプットオプションを買い、権利行使価格が安いプットオプションを同じ単位売ると、オプション料(プレミアム)の支払いが受け取りを上回り、デビット・スプレッド(プット・デビット・スプレッド)となります。
なお、権利行使価格が高いコールオプションを買い、権利行使価格が安いコールオプションを同じ単位売ると、バーティカル・ベア・プット・スプレッドとなります。
デビット・スプレッドの損益の特徴
デビット・スプレッドは、既存のオプションのポジションに更にオプションを追加するなどして用いられることがあります。その場合、利益や損失は限定されることが特徴です。最大損失は支払ったオプション料と受け取ったオプション料の差に限定されます。大きな利益を得ることは難しい一方、大きな損失を被ることもなく、リスクを抑制できることが特徴です。
まとめ
- オプションのデビット・スプレッドとは、同じ原資産・満期のコールまたはプットの買いと売りを同じ単位組み合わせた時に、受け取ったオプション料よりも支払ったオプション料の方が多くなるオプション戦略です。利益と損失は限定され、最大損失は支払ったオプション料と受け取ったオプション料の差です。
- デビット・スプレッドには、バーティカル・ベア・コール・スプレッドとバーティカル・ブル・プット・スプレッドがあります。