ストラドルとストラングルの共通点・違いと覚え方
記事作成日:2020年11月5日
最終更新日:2022年3月31日
オプション戦略であるストラドルとストラングルの共通点と違い、ストラドルとストラングルの覚え方・見分け方についてです。ストラドルとストラングルは、変動が大きいと買い手の利益になる戦略で、コールオプションとプットオプションを同じ単位で買い売り同じ方向でポジションを持つ点は共通ですが、コールとプットで権利行使価格が同じなのか違うのかという点が異なります。
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ストラドル・ストラングルとは
ストラドル、ストラングルは名前が似ていますが、異なるオプション戦略です。
ストラドルとは
ストラドルとは、行使の満期の期日が同じで、権利行使価格も同じコールオプションとプットオプションを同じ単位組み合わせて買うまたは売るものです。
ストラングルとは
ストラングルとは、行使の満期が同じで、権利行使価格も異なるコールオプションとプットオプションを同じ単位組み合わせて買うまたは売るものです。
ストラドルとストラングルの共通点
ストラドルとストラングルは、組成方法、利益と損益が出る局面は共通しています。
コールオプションとプットオプションを組み合わせて作る
ストラドルもストラングルはともにコールオプションとプットオプションを同じ単位組み合わせて作ります。コールとプットはどちらも購入(ロング)または売却(ショート)で同じ方向のポジションとなります。権利行使の期日が同じ時期のものを使う点も共通しています。
価格変動が大きいと買い手が利益で小さいと売り手が利益
ストラドルもストラングルはともに原資産価格の変動が大きくなる時に買い手が利益となる戦略です。逆に売り手は原資産価格の変動が小さい場合に利益となります。
ストラドルとストラングルの違い
ストラドルとストラングルは、組成方法、損益図、組み入れたオプションの権利行使の可能性、オプション料に違いがあります。
ストラドルとストラングルの組成方法の違い
ストラドルもストラングルはともにコールオプションとプットオプションを用いますが、組成方法に違いがあります。
ストラドルの組成方法
ストラドルは、同じ権利行使期日の同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを購入、または売却します。
ストラングルの組成方法
ストラングルは、同じ権利行使期日の異なる権利行使価格のコールオプションとプットオプションを購入、または売却します。
ストラドルとストラングルの損益図の違い
ストラドルもストラングルは、原資産価格の変動が大きい場合は買い手に利益、小さい場合は売り手に利益となる特徴がありますが、損益図が少し違います。
ストラドルの損益図
ストラドルは、買い手の場合、権利行使価格付近が最大損失となり、損益図で見るとストラングルとは異なりグラフは尖っていて、平坦な部分がありません。
ストラングルの損益図
ストラングルは、買い手の場合、プットオプションの権利行使価格<コールオプションの権利行使価格であるならば、原資産価格がプットの権利行使価格とコールの権利行使価格の間にある場合が最大損失となり、損益図で見るとストラドルと異なり平坦な部分があります。
ストラドルとストラングルの権利行使できる可能性の違い
ストラドルもストラングルも買い手側は価格が大きく変動した時に利益となります。しかし、買い手側から見た場合に組み入れたオプションの権利行使をして利益となる可能性が若干異なります。
ストラドルの権利行使の可能性
ストラドルは同一の権利行使価格でコールオプションとプットオプションを購入するため、原資産価格が権利行使価格と等しい場合以外は権利行使する意味があり、利益となる可能性が相対的に高くなります(支払ったオプション料と相殺されるため損失となることもあります)。ストラングルと比べると値動きがそれほど大きくなくても買い手は利益を得られる可能性があります。
ストラングルの権利行使の可能性
ストラングルは異なる権利行使価格でコールオプションとプットオプションを購入しますが、プットの権利行使価格<コールの権利行使価格の場合、原資産価格がコールオプションの権利行使価格とプットオプションの権利行使価格の間にある場合は権利行使をしても儲けが出ないため損失となります。
ストラドルとストラングルのオプション料の違い
ストラドルとストラングルでは、権利行使価格と現在の原資産価格の関係からストラドルの方がオプション料(プレミアム)が高くなる傾向があります。
ストラグルのオプション料
ストラグルは、同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを組み合わせます。通常は現在の原資産価格付近で同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを組み合わせますが、現在の原資産価格と権利行使価格が近いため、オプションを行使できる可能性があるためオプションの価値が高くなりオプション料(プレミアム)はやや高くなります。やや高いオプション+やや高いオプションとなります。
もし、仮に現在の権利行使価格から離れた価格で同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを組み合わせる場合は、どちらかのオプションが権利行使によって利益ができるイン・ザ・マネーの状態になっていて、オプション価値が高くなるためオプション料(プレミアム)は高くなります。もう片方のオプションは権利行使をしても利益が出ないアウト・オブ・ザ・マネーの状態で、オプション料(プレミアム)は安くなりますが、高いオプション+安いオプションの組み合わせなので、ストラングルよりはオプション料(プレミアム)が高くなると考えられます。
ストラングルのオプション料
ストラングルは、コールオプション権利行使価格(高い)>現在の原資産価格>プットオプションの権利行使価格(安い)となるようにオプションを組み合わせるケースが多いと考えられます。その場合、コールプションは現在の原資産価格から高いため、価格が上昇しなければ権利行使をしても利益が出ないアウト・オブ・ザ・マネーの状態なのでオプション価値は低くなりオプション料(プレミアム)は安くなります。
ストラングルはストラドルと比較すると相対的に安いオプション+安いオプションの組み合わせになります。
ストラドルとストラングルの覚え方
ストラドルとストラングルは名前が似ていてどっちがどっちか忘れてしまいそうですが、覚え方・見分け方があります。ストラドルとストラングルは損益図でみると、権利行使価格の付近で平坦な部分がなくとがっているのがストラドル、権利行使価格の付近で平坦な部分があるのがストラングルです。このグラフの平坦な部分があるかないかと名前を関連付けて、名前が短いストラドルは平らな部分がない(短い)、名前が長いストラングルは平らな部分が長いとするのはどうでしょうか。
- ストラドル:名前が短い→損益図で平坦部分がない(短い)
- ストラングル:名前が長い→損益図で平坦部分が長い
次に、どのようなオプションを組み合わせるかですが、損益図で平坦部分がなく権利行使価格付近で尖っているストラドルは、尖らせるためには権利行使価格が同じコールオプションとプットオプションを組み合わせる必要があります。ストラングルは損益図で平坦な部分がありますが平坦な部分を作り出すには権利行使価格をずらす必要があります。
- ストラドル:損益図尖っている→同じ価格でコールとプットを組み合わせ
- ストラングル:損益図で平坦部分がある→価格をずらして平坦部分ができるようにコールとプットを組み合わせ
まとめ
- ストラドルとストラングルは、組成方法、損益図、権利行使の可能性、オプション料に違いがあります。
- ストラドルとストラングルは混同しやすいですが、損益図で平坦な部分があって長い方の呼び方が長いストラングル、平坦な部分がなく尖っている短い方の呼び方が短いストラドル、と考えると覚えやすいです。