ゼロクーポンスワップ・リバースゼロクーポンスワップとは
記事作成日:2020年10月26日
最終更新日:2021年10月12日
ゼロクーポンスワップとは、スワップ取引のうち少なくともどちらか一方の支払いが取引終了時の1回だけのものを意味します。典型的な例は、片方の当事者が定期的に変動金利を支払い、相手方の当事者が満期時のみに固定金利を支払うスワップ取引です。両当事者の支払いが取引終了時に1回だけのゼロクーポンスワップもあります。
ゼロクーポンスワップの「ゼロクーポン」は、途中の支払いがなく満期時に額面金額が償還されるゼロクーポン債(割引債)に由来しています。
リバースゼロクーポンスワップ(逆ゼロクーポンスワップ)とは、スワップ取引のうち片方の支払いが取引開始時の1回だけのものを意味します。なお、両方が取引開始時に1回だけ支払いを行うとその時点で取引が終了してしまうため、両方の当事者が取引開始時に1回だけ支払いを行うパターンはありません。
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ゼロクーポンスワップの仕組み・流れ
ゼロクーポンスワップは、片方あるいは両方の支払いが取引終了時の1回だけとなります。
片方が取引終了時1回の支払いとなる場合
片方の当事者の支払いが取引終了時の1回だけとなるゼロクーポンスワップの仕組みについてです。片方の当事者は一定期間ごとに変動金利の支払いを続けますが、もう片方の当事者は取引終了時の1回だけ固定金利の支払いを行います。
このパターンのゼロクーポンスワップはお互いの支払いタイミングがずれていることに特徴があります。片方の当事者だけが取引中に支払いを続けるので、支払いを続けている当事者にとっては取引終了時に相手が支払いを行ってくれるかどうかという信用リスクを強く意識することになります。自分だけが支払い続けて相手からは支払ってもらえないというリスクがあるのです。
両方が取引終了時1回の支払いとなる場合
もう一つのゼロクーポンスワップのパターンとして双方が取引終了時に1回だけ支払いを行う場合の仕組みについてです。どちらも取引期間中は支払いがなく、取引終了時に例えば固定金利と変動金利を交換します。
このパターンではお互いの支払いタイミングにずれがないため、上記のゼロクーポンスワップと比べると、信用リスクをそれほど意識しなくても良いことになります。自分だけが支払い続けて、最後にもらい損ねるということにはならないためです。
ゼロクーポンスワップの利用例・メリットとデメリット
ゼロクーポンスワップは、将来の特定時点に債務の返済が予定されている場合、将来の特定の大きなキャッシュフローが予定されている場合に、金利変動リスクを避けるため変動金利を固定金利にするために用いられることがあります。他の金利スワップと同じように金利変動リスクを避けられる、あるいは金利変動リスクを享受できるということがメリットです。
一方で双方の支払いタイミングが大きくずれる場合、信用リスクを意識しなければいけないことがデメリットです。
インフレーションスワップなどでゼロクーポンスワップの形態の取引が行われることがあります。
リバースゼロクーポンスワップ(逆クーポンスワップ)の仕組み・流れ
リバースゼロクーポンスワップ(逆クーポンスワップ)は片方の当事者のゼロクーポンスワップの1回だけある支払いが取引終了時ではなく取引開始時にあるものです。
片方の取引当事者は取引開始時に固定金利を支払います。もう片方の取引当事者は取引期間中、定期的に変動金利を支払い続けます。
リバースゼロクーポンスワップ(逆クーポンスワップ)のメリットとデメリット
固定金利を支払った側は、固定金利を変動金利に変換していますが、最初に一括して支払いを行っているので、変動利付債を購入するのと同じ効果があることになり、メリットとなります。
最初に固定金利を支払った側は、最初に支払いを行った後は変動金利を受け取ることになりますが、自分は支払いを済ませていて、受け取るものを受け取っていない状態ですので、信用リスクを強く意識することになります。これはデメリットとなりえます。
固定金利を受け取り、変動金利を支払う側は変動金利を固定金利化していることがメリットになり得ますが、先行き金利の低下が見込まれる場合、支払う金利が減っていくことになるため恩恵を受けられる可能性がある点がデメリットとなります。
まとめ
- ゼロクーポンスワップとは、スワップ取引のうち少なくともどちらか一方の支払いが取引終了時の1回だけのものを意味します。
- リバースゼロクーポンスワップ(逆クーポンスワップ)とは、スワップ取引のうち片方の当事者の支払いが取引開始時に1回だけのものを意味します。