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アノマリーの意味と事例

記事作成日:2018年4月7日
最終更新日:2021年9月3日

アノマリーとは

アノマリーの意味と事例についてです。アノマリー(anomaly)とは、変則、例外、特異、異例などの意味がありますが、資産運用・投資の場面では、株式・債券・為替・商品などの相場が通常の理論や法則から予想される動きとは異なった例外的な動きをすることを意味します。通常とは異なった、理論的には説明が難しい相場の動きですが、経験的によく当たる、その通りになることが知られている相場の動きや傾向を言います。アノマリーには時期に関するもの、銘柄に関するものがあります。

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アノマリーの事例

有名なアノマリーの具体的な例についてです。アノマリーには特定の時期に特定の相場展開となる時期に関するアノマリーと、特定の銘柄が特定の相場展開となる銘柄に関するアノマリーなどがあります。

アノマリーは常に続くわけではなく、時間の経過や相場環境によって変わったりするものがあります。新しいアノマリーが生まれたり、今あるアノマリーがなくなったりします。

時期に関するアノマリーの例

特定の時期に同じ相場の動きが繰り返されるアノマリーの事例です。

1月効果

年間の騰落率をみると、1月の騰落率が高くなりやすいというアノマリーです。年末までで税金対策の売買が終わり、年が変わり新規の資金が入りやすいというような説があります。

節分天井、彼岸底

2月の節分のころに高値で天井となり、3月の彼岸の頃まで下落をして底を打つという相場格言で、アノマリーの一種です。1月の上昇後、2月に入ると勢いがなくなるというような説があります。

日本株の4月効果・新年度効果

日本の株式市場では、新年度入りする4月に株価の上昇率が高いというアノマリーが知られています。背景として日本の機関投資家が3月の決算期を過ぎ新年度入りするため、新たな投資行動を起こしやすいから、ポートフォリオの組み換えが行われる時期だから、新年度入りして明るい投資家心理になるからなどが考えられますが、はっきりしたことは分かっていません。

米国株の5月に売れ(Sell in May)

米国の株式市場でよく言われるのが「Sell in May」(5月に売れ)、正しくは「Sell in May, and go away; don't come back until St Leger day」(5月に売って、市場から去れ、セント・レジャー・デー(9月第2土曜日)まで戻ってくるな)という相場格言です。

この相場格言は、6月から9月前半にかけて株価が弱い動きとなることから、5月に売って9月半ばまでは相場から離れることを進める投資格言ですが、アノマリーの一種と言えます。ただし、サマーラリーと呼ばれる夏の期間に株価が上昇するとされるアノマリーもあります。市場では、「5月に売れ」の部分が注目され、5月から6月に相場が変調しやすいと解釈されている傾向があります。

背景として、ヘッジファンドの決算が5月に集中するから、夏場は夏季休みのため市場参加者が減少するからなどの諸説が挙げられています。

米国株のサマーラリー

米国の株式市場では、夏の期間に株価が上昇するとされるサマーラリーというアノマリーも有名です。独立記念日の7月4日からレイバーデー(労働者の日)の9月の第1月曜日までの期間とされています。

日本株の夏枯れ相場

日本の株式市場では、夏のお盆の時期を中心に市場参加者が減少するため、相場が盛り上がらないというアノマリーです。

掉尾の一振(とうびのいっしん)

年末にかけて株価が上がりやすいというアノマリーです。年末の株価水準をドレッシング買いによって押し上げることで運用成績をよく見せようという動きなどが背景にあるといわれています。

月末・期末効果

月末や期末などは指数水準が押し上げられることで月次、四半期、半期、年、年度の機関投資家の運用成績が改善することから、機関投資家の買いが入りやすく、株価が押し上げられやすいというアノマリーです。

一方で、逆に月末に何故か株価が下がる月末安のアノマリーというものもあります。理由は判然としないけれど何故か上昇あるいは下落が特定の時期に繰り返されることがあります。

干支と株価

株式市場には「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」という言葉があります。干支と株価の関連性について述べた言葉ですが、一定の市場参加者が意識している言葉で、一種のアノマリーです。

米国大統領選挙の前年の株価は強い

米国大統領選挙の前年は大統領選挙に向けて与野党から政策が表明されるようになるため、米国の株価が上昇しやすくなるというアノマリーです。

ヘッジファンドの45日前ルール

ヘッジファンドは運用の関係から自由に解約できないものがあり、解約時期を四半期ごとと限定していて、かつ解約について四半期末の45日前までに通告しなければいけないとしている場合があります。そのため四半期末の45日前の前後に解約によるヘッジファンドの売りが増えるため相場が崩れるというアノマリーです。

曜日効果

特定の曜日の株価騰落率が高く、特定の曜日の株価騰落率が低いというアノマリーです。日本では月曜日が安く、金曜日が高いということが言われていましたが、時期によって傾向が変わるため、絶対的なものではありません。

5日・10日効果(五十日:ごとおび)

五十日(ごとおび)とは、日本では5や10がつく5日、10日、15日、20日、25日、30日(または月末)に決済を行う商慣習があるため、海外への支払いも集中しやすく、円売りドル買いから円安ドル高となる傾向があるとされることです。一種のアノマリーです。

SQの週の波乱

先物取引やオプション取引の特別清算価格(SQ)を算出する日の数日前から相場は荒れやすくなるといわれています。SQに向けた思惑に絡む売買が発生するからとされています。

欧州勢取引開始時間後の相場の変調

日本の株式市場では後場に欧州勢の注文が入る時間帯とされており、相場の変動性が大きくなることがあるとされています。

銘柄に関するアノマリーの例

銘柄に関するアノマリーの例には次のようなものがあります。ただし、常にそうであるとは限らず、相場環境によっては逆向きのアノマリーが生じることがあります。

小型株効果

小型株効果とは、時価総額が少ない小型株の方が株価騰落率が高いとされるアノマリーです。大型株の企業はすでに成長して成熟している傾向がある一方で、小型株の企業は成長余地があることや時価総額が小さいため値動きが軽いことなどが背景にあるとみられます。

低PER効果

低PER効果とは、PER(株価収益率)が低い銘柄ほど株価騰落率が高いといされるアノマリーです。PERが高い銘柄は過熱感が生じているため売られる可能性がある一方、PERが低い銘柄は過小評価されていて見直し買いが入る可能性があるためといったような背景があるとみられています。

低PBR効果(バリュー株効果)

低PBR効果(バリュー株効果)とは、PBRが低い銘柄、割安となっている銘柄ほど株価騰落率が高いとされるアノマリーです。割安な価格となっているため、上昇余地があるというような背景があるとみられます。

モメンタム効果

モメンタム効果とは、過去の騰落率が高かった銘柄の騰落率が高くなるとされるアノマリーです。勢いがあるとそれがそのまま続く、というようなイメージです。要は順張り相場となるということです。逆の効果がリターン・リバーサル効果です。

リターン・リバーサル効果

リターン・リバーサル効果とは、過去の騰落率が高かった銘柄の騰落率は低くなるとされるアノマリーです。高値を付けると警戒されて騰落率が落ちるというようなイメージで、逆張り的な相場になるということです。モメンタム効果の逆の効果です。

アノマリーが生じる理由

アノマリーが生じる理由には様々なものが考えられます。ただ、同じ時に多くの投資家が同じ投資行動をとることによって特定の相場の動きが形成されていることによってアノマリーが生じています。

まだ発見されていない理由が背景にあるから

アノマリーとされている相場の動きは一見理由がないようにも見えますが、まだ発見されていない、窺い知ることができないような理由があるというようなことが考えられます。アノマリーとされる相場の動きを引き起こす要因があまりに複雑・難解であるために、理論的に説明がなされていないだけとことがあります。

人間の投資行動は合理的・経済的なものとは限らないから

相場が理屈通りの値動きとは異なった値動きをすることの背景には、市場参加者の投資行動が合理的・経済的ではなく、非合理的であること、経済的でないことがあるということを挙げることができます。

教科書的な解説がされる場合、市場参加者は合理的・経済的な投資行動をするという想定が置かれて相場の値動きが解釈されます。しかし、実際の市場参加者は合理的でも経済的でもない投資行動をとることがあるのです。

人間は合理的・経済的に動かないからこそ、合理的・経済的に考えられた結果通りにはならないため、変則的な相場の動きが生じるのです。

アノマリーを投資にどう活用するか

相場のアノマリーにはある程度の根拠があるとみられるものと、根拠がはっきりとしないものがあります。しかし、過去の経験的にある程度正しいと考えられる場合には、アノマリーを全く無視して行動するのも望ましくはありません。

一方でアノマリーが良く知られるようになると、アノマリーを利用して儲けようとする投資家が増えるため、アノマリーの動きが観察されなくなったり、弱まったりすることがあります。アノマリーを基づいて利益を出そうとすることも危険です。

アノマリーは経験的に分かっていても絶対ではありませんし、今まではアノマリー通りだったとしても、今後もそうだとは限らないからです。

そのため、有名なアノマリー自体については参考の情報として知っておく価値はありますが、あくまで参考にとどめておいた方が良いと考えられます。

ただし、自分が相場を分析・研究した結果、新たなアノマリーを発見した場合は、アノマリーを生かした投資を試してみる価値はあるでしょう。アノマリーは知られれば知られるほど価値が落ちますが、知られていなければ利益を出す機会となる可能性があるからです。

まとめ

  • 相場におけるアノマリーとは、通常の理論や予測から外れた、経験的に分かっている例外的な相場の変動を意味し、特定の時期に例外的な相場展開となる時期に関するアノマリーと、特定の銘柄が例外的な相場展開となる銘柄に関するアノマリーがあります。
  • アノマリーは相場を動かすこともあるため理解しておく必要はありますが、参考程度にとどめておくことが望ましいと考えられます。アノマリーは絶対ではありませんし、将来もアノマリーが有効であるとは限らないからです。また、アノマリーは広く知られると効果が弱まる傾向があります。

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【アノマリーの意味と事例の記事は終わりです】

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