ブラックスワンとは
記事作成日:2019年2月15日
最終更新日:2021年9月8日
ブラックスワン(black swan)とは、予測できない、起こりえないと考えられていたことが実際に起き、大きな衝撃を与えることを意味します。ブラックスワンは「黒い白鳥」ですが、今まで白い白鳥しか発見されず、白い白鳥しかいないと考えられていたのに、実際に黒い白鳥が発見されて、大きな衝撃をもたらしたことに由来する言葉です。ブラックスワン理論という場合もあります。
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金融におけるブラックスワンとは
金融や投資におけるブラックスワンとは、過去の知識や経験、確率的な理論などからは考えられないこれまでの常識を覆すような極端な事象が発生し、金融市場を大きく揺るがすことを意味します。ブラックスワンは実際に発生すると、後付けで理由の説明が行われ、あたかも事前に予測されたように受け止められることがあります。
ブラックスワン(理論)の例
世界恐慌の引き金となった1929年の米国株価の大暴落、1987年のブラックマンデー(株価暴落)、1990年代の日本のバブル崩壊、1991年のソビエト連邦の崩壊、2001年の米国の同時多発テロ、日本ではリーマンショックと呼ばれることが多い2008年前後の世界金融危機の発生、日本の2011年の東日本大震災などの大規模な自然災害、2016年の英国におけるEU離脱の是非を問う国民投票での賛成多数などが挙げられます。また、2020年からのコロナショックもブラックスワンの例と考えて良いでしょう。
ブラックスワンの特徴と注意点
ブラックスワンと呼ばれる現象の特徴と注意点です。
ブラックスワンの事前の予測は難しい
ブラックスワンと呼ばれるような事象は実際に起きてしまえば、後付けで解釈はいくらでもでき、あたかも事前に予測が可能であったかのように思えてくることがあります。しかし、実際には事前の予測は困難で、想像出来なかったようなことが突然起きてしまうことがしばしばあります。
確かに、後付けで説明される予兆は確かに予兆なのですが、事前に予兆があったとしても、予兆だと気づくことはかなり難しいと考えられます。予兆だと全く気付かないか、違和感を覚えたとしても大したことがないと軽視してしまうからです。
予兆や初期の動きを過小評価してしまいがち
ブラックスワンと呼ばれるような出来事が起こる時に予兆があったり、あるいは、急に大きな動きがあるのではなくまだ壊滅的ではない初期の動きがあったりすることもあるのですが、大したことはない、心配ない、と過小評価してしまうことがあります。
早い段階で対応していれば、被害を最小限に抑えられたかもしれませんが、現実に目を向けることが出来ずに深刻な事態を招いてしまうことがあるのです。被害が拡大するかどうかわからない初期の段階で、全力の対応を行い、結果として被害がほとんど出なかった場合、対応は空振りだった、やりすぎだったという非難が出てしまうことを恐れ委縮してしまうこともあります。
ブラックスワンへの対処法
ブラックスワンは事前の予測が困難であるため、被害を最小限に抑えるように常に備えておくことが大切です。
リスクには想定漏れがあることを前提とする
リスクは事前に想定を行い、対応策を打つことができれば望ましいのですが、リスクの想定や予測には限界があるということを意識する必要があります。どれだけ多角的にリスクを検討していたとしても、想定していなかったリスクが発生することがあるからです。
リスクの事前の予測に頼り過ぎてしまうと想定外のリスクが顕在化した時に大きな損失を被ってしまうことがあります。事前に考えることができないようなことも起きうるのだと考えて、リスクの想定漏れがあることを前提に投資・資産運用を行うことが重要です。
極端な事象から資産を守るためにできること
ブラックスワンと呼ばれるような事象が発生してしまうと、大きな損失を出してしまうことがあります。しかし、リスクを恐れていては資産運用や投資はできません。そのため、程よくリスクを取ることが大切になってきます。
自分の全資産を特定の資産に投資したり、高い倍率のレバレッジ掛けたりするなどハイリスクな投資を行っていると、極端な事象が発生した時に、再起不能なほどのダメージを受けてしまうことがあります。
いつ、どのようなリスクが顕在化するか予測できないということを前提にするのであれば、資産や収入源は極力分散をして、リスクが顕在化しても被害を少なくできるようにしておくことが大切です。
まとめ
- ブラックスワンとは、今までの知識や経験からはあるはずがないと考えられていたことが実際に起きてしまい、大きな衝撃や影響を与えることを意味します。
- リスクには事前に想定することが難しいものがあると考えて、極端な事象が発生しても損失が拡大しないようにしておくことが重要です。