投資・資産運用でのコンセンサスとは
記事作成日:2018年4月24日
最終更新日:2021年9月4日
資産運用・投資においてコンセンサス(Consensus)という言葉が良く用いられます。コンセンサスという言葉はビジネスなどでも一般的に用いられる言葉で、「意見の一致、合意」というような意味があります。資産運用・投資においてコンセンサスという言葉は、市場参加者・投資家の共通した見方、市場の予想というような意味で用いられます。
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経済指標や企業業績のコンセンサスとは
経済指標や企業業績の公表に当たって事前にアナリスト、エコノミスト、ストラテジストなどが結果の予想を発表します。
通常、コンセンサスとは、意見の一致、合意という意味がありますが、経済指標や企業業績の(予想)コンセンサスとは、多数のアナリスト、エコノミスト、ストラテジストなどが事前に結果の予想について意見を一致させたもの、合意させたものという意味ではなく、多数の予想の中央値(場合によっては平均値)を意味しています。
アナリスト、エコノミスト、ストラテジストなどが発表した事前の予想値の中央値が、大体市場の中間的な見方だろうというような扱いをされているのです。
重要なイベントに関するコンセンサスとは
相場を動かすような重要なイベント、例えば政治イベントであれば大統領選挙、議会選挙、国民投票、首脳会議などがあります。経済イベントであれば、中央銀行による経済対策の決定、国の予算や経済政策の発表、国際的な経済・金融に関する会議(G7、G20など)などがあります。
重要なイベントに関してもコンセンサスという言葉が用いられますが、重要なイベントの結果についての多数の市場参加者の共通した見方、結果の予想という意味になります。
例えば、大統領選挙であれば「与党候補勝利がコンセンサス(多数の市場参加者の見方)であったが、野党候補が勝利した」といったように使われます。金融政策に関しては「今回の会合では利上げなしがコンセンサスであってが、利上げが実施された」というように使われます。
コンセンサス(事前予想)と結果の関係と相場
相場に影響を与えるような重要なイベントや経済指標、注目度が高い銘柄の企業業績に関しては、実際の結果がコンセンサス通りになったかどうかが相場の変動要因となります。
コンセンサス通りの結果になった場合には、事前の予想通りということになり相場への影響は限定的となることが多いです。
一方、コンセンサス通りの結果にならなかった場合には、事前の予想に反する結果となるため、相場への織り込みが十分に進んでおらず、相場が大きく変動する要因となります。予想外であることの衝撃度合いが強い場合には「サプライズ」と表現されることがあります。
コンセンサスが形成されないと波乱要因となりやすい
重要なイベントなどに関して、市場参加者の見方が分かれていてコンセンサス(共通する見方)が形成されていないとイベント結果の発表を受けて相場が大きく変動することがあります。
結果が不透明な状況では、事前に重要なイベントなどの影響を相場に織り込むことが難しくなるためです。結果の発表を受けて影響が相場に反映されることになるのです。
コンセンサスが正しいとは限らない
多数の市場参加者の共通の見方であるコンセンサスは正しいとは限りません。あくまで多数の事前予想なので必ず当たるわけではありません。合理的な予想かといえば、必ずしもそうではありません。多数の市場参加者が同じような誤った考え方や予想を持ってしまうことがあるのです。
コンセンサスは一部の市場関係者の見方
コンセンサスは市場参加者の予想といっても、実際に多数の投資家に対して調査を行うことは困難なので、一部のアナリスト、エコノミスト、ストラテジスト、ファンドマネージャーなどに対する調査に拠るものである点に注意が必要です。また、株式を扱う人なのか、債券を扱う人なのかによって経済や金融政策などに対して見方が変わってしまう場合もあり、解釈には注意が必要です。
まとめ
- 資産運用・投資で用いられるコンセンサスとは、多数の市場参加者の共通の見方、というような意味で用いられます。
- 資産運用・投資では経済指標や企業業績について予想のコンセンサスという表現が用いられることがあり、多数の予想の中間的な見方(中央値や平均値)を示しています。重要なイベントについてもコンセンサスという言葉が用いられることがありますが、投資家の共通的な見方というような意味になります。