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カントリーリスクとは

記事作成日:2017年8月8日
最終更新日:2021年6月29日

カントリーリスクとは

カントリーリスクとは何かについてです。カントリーリスクとは、投資や事業活動において用いられる言葉で、ある特定の国や地域における固有・特有の政治的・経済的・社会的なリスクのことで、顕在化することによってその特定の国や地域に対する投資資金の回収に影響を与えるリスクを意味します。全世界的なリスク、各国共通のリスクは通常カントリーリスクとは言いません。

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カントリーリスクの例

カントリーリスクの例を紹介します。

政治的なカントリーリスク

政治的なカントリーリスクです。

政治的な混乱

支持率の低下や少数与党化などによって政権が弱体化することで、政治的な混乱を招き、政策の停滞や人気取りのための政策の変更などのリスクが高まります。特に長期間の任期を残して政権が弱体化(レームダック化)してしまうと、事実上の政治的空白期間が長期間続いてしまう可能性があります。

内戦のリスク

激しい対立から内戦のリスクがあるような場合は極めて高いカントリーリスクがあると言えます。政党・派閥の対立、宗派の対立、民族の対立、反政府運動、外国による軍事介入、テロリストの活動の活発化、国民な不満の高まりなどにより内戦が引き起こされる可能性があります。革命やクーデータによる政権転覆などが行われる場合もあります。

テロ活動のリスク

政治情勢が安定しない国、治安が不安定な国では継続的なテロ活動のリスクがあり、高いカントリーリスクがあると言えます。政治体制の崩壊や経済活動の停滞、社会不安を招く恐れがあります。

規制強化のリスク

自国の産業や国民の保護などを理由として規制強化が行われるリスクがあります。また、海外への資金流出を防ぐために資本流出規制が行われるようなことがあります。

ナショナリズム・保護主義のリスク

自国の利益を優先するナショナリズム(国家主義・民族主義)や保護主義の高まりによって、企業などが国有化されたり、海外からの投資が規制されたり、外資系企業が不利な扱いを受けたり、排他的な通商政策によって高い関税を課せられたり、資源の輸出が規制されたりするリスクがあります。

紛争のリスク

地域において緊張が高まっている場合には近隣の国と戦争が発生するリスクがあり、投資を手控えされる要因となります。

経済的なカントリーリスク

経済的なカントリーリスクです。

インフレのリスク

経済的に混乱している国では、物価が安定しないリスクがあります。インフレーションが発生すると、実質的な資産の価値が目減りしてしまうため、事業活動や投資において問題となります。また、インフレーションが発生すると、社会的な混乱が生じやすく、経済の停滞につながる可能性が高まります。

財政破綻・デフォルト

国の財政破綻によって債務不履行(デフォルト)となるリスクがあります。その国の国債への投資を行っている場合に直接的に問題となりますが、財政破綻や債務不履行となると通貨の下落や金利の上昇などを招くため経済が混乱し、通常事業活動にも大きな影響があります。

通貨危機

外貨準備の減少、対外債務の増大、継続的な経常赤字などを背景に特定の国の通貨の価値が急落し通貨危機が発生するリスクがあります。通貨が下落すると輸入価格が上昇するため、インフレや社会の混乱が発生し、事業活動に大きな影響を受けます。また、通貨の下落により投資において大きな損失が発生することになります。

社会的なカントリーリスク

社会的なカントリーリスクです。

司法のリスク

司法制度が整備されていない、法律の恣意的な解釈や運用が行われているなどの理由により、経済活動を行う際に法的な保護が十分に行われないリスクがあります。特に現地で事業活動を行う場合に問題となるリスクです。知的財産の保護などの場面でも問題になります。

治安のリスク

治安が安定していない場合は、特に現地で事業活動を行うにあたってのリスクになります。社員がトラブルに巻き込まれるなどして対応に追われたり、経済的な負担を強いられたりする場合があります。

感染症のリスク

危険な感染症の発生が人の移動や活動の規制などを通じて経済活動の停滞につながることがあります。新型インフルエンザの感染拡大、西アフリカ地域におけるエボラ出血熱の感染拡大などの事例があります。

自然災害のリスク

地震・火山活動・台風やハリケーン・水害などの自然災害が発生しやすい地域があります。大規模な火山活動は航空機による移動を妨げたり、火山灰などによる農業などへの被害が発生したりします。

メキシコ湾岸におけるハリケーンは原油生産に影響を与える可能性があります。タイにおける大規模な洪水が企業活動に大きな影響を与えた事例もあります。日本など地震災害が発生しやすい地域では地震の発生により経済活動が停滞する可能性があります。

カントリーリスクの軽減方法

カントリーリスクは突然発生し予測が難しいものも多くあり、回避が極めて難しいものもあります。しかし、直前まで何の兆候もないというようなリスクも珍しく、何らかの兆候が発生した上で、リスクが意識され、実際にリスクが顕在化するという流れを通常は辿ります。

そのため、投資や事業活動を行う場合には情報収集が重要になります。日本のニュースを見ているだけでは、各国・地域の情勢が十分に把握できない可能性があるため、現地のニュースなど様々な情報に触れることが大切です。格付け機関や調査機関、外務省や現地の日本国大使館による情報発信も役立つ場合があります。

ただし、日本のニュースでも何らかの兆候が報じられることもあるため、注意しておくことに意味はあります。

カントリーリスクプレミアムとは

カントリーリスクプレミアムとは、特定の国のカントリーリスクに応じて、投資家が求める追加的な利回り、リターン、プレミアムのことを意味します。

例えば、A国は政治、経済、社会が安定していて、極めてカントリーリスクが低いとします。一方、B国は政治、経済、社会が不安定で、カントリーリスクが相対的に高いとします。この時、投資家がA国のある債券を1%の利回りで購入できる時、B国の同等の条件の債券を1%で購入したいと考えるでしょうか?B国はリスクが高いのに1%の利回りしかないなら、A国の債券を購入した方がよいと通常は考えるでしょう。しかし、B国の利回りがもっと高ければ投資家は債券の購入に踏み切るかもしれません。例えば、B国の債券の利回りが5%で投資家が進んで購入するようならば、利回りの差「4%」ポイント分がA国を基準とした場合のB国のカントリーリスクプレミアムとなります。

まとめ

  • カントリーリスクとは投資や事業活動に影響を与える可能性がある特定の国・地域における固有のリスクのことをいいます。
  • カントリーリスクの影響を少なくするためには、情報収集が重要になります。カントリーリスクの中には突然発生するものも多いですが、兆候が見られる場合も多いため、様々な情報に触れることで、カントリーリスクの影響を減らすことができます。

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