灰色のサイとは
記事作成日:2019年2月28日
最終更新日:2021年9月8日
灰色のサイ(犀)(gray rhino:グレーリノ)とは、実際に認識されていて後々大きな問題となる可能性が高いものの現時点では問題視されず軽視されている事象を意味する例え・比喩です。灰色のサイは、本当に大きな問題となるのかや、いつ問題化するのかを見極めるのが難しいですが、楽観視し過ぎないことが自分の資産を守るために大切です。
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灰色のサイとは・灰色のサイの意味
灰色のサイとは、実際に高い確率で存在していて、問題化すると影響が大きいものの、普段は軽視されている事象を意味する比喩のことです。動物のサイは、大きく存在感があるため、存在していることは認識されていますが、普段は大人しいため、問題だと思われていませんが、何かのきっかけで暴れ始めると大きな被害をもたらす恐れがあるということから生まれた表現です。
灰色のサイの例
灰色のサイは経済や金融に深刻な影響を及ぼしかねない構造的な問題に対して用いられることがあります。
例えば、灰色のサイとして政府債務の増大が挙げられますが、国の借金の積み上がりは確かに問題だと認識されるものの、色々と理由を付けられて今は問題じゃないと軽視されがちです。しかし、実際に国の債務問題が深刻化した場合、経済や金融だけではなく、社会全般に広く影響を及ぼしてしまう可能性があります。
他にも灰色のサイの例として、人口問題、バブル、不良債権、過剰生産、経済格差などが考えられます。
灰色のサイ(グレーリノ)とブラックスワン(黒い白鳥)との違い
灰色のサイ(グレーリノ)に似た言葉としてブラックスワン(黒い白鳥)があります。灰色のサイは、存在が認識されているけれど問題視されていない事象を意味する一方、ブラックスワンはとても起きそうにないこと、あり得ないことが実際に起きて大きな問題となることを意味します。
ブラックスワンは存在が認識されておらずあり得ないことだと考えられているという点が、灰色のサイとは違います。
灰色のサイの特徴
灰色のサイと呼ばれる事象の特徴です。
灰色のサイは本当に問題化するのか分からない
灰色のサイは、存在自体は認識されている事象です。そのため、ある時突然存在が明らかになるような事象ではありません。しかし、重要視されていない、軽視されているのです。
灰色のサイと例えられた事象は、実際に深刻な問題に至る場合もありますが、深刻な問題には至らず、いつの間にか問題が解消していたり、問題が小さくなっていたりすることがあります。例えば、国の借金が積み上がっていたけれど、経済成長によって税収が増加し、自然と問題ではなくなるといったような形です。
そのため、灰色のサイと呼ばれる事象を警戒することは大切なのですが、警戒が空振りに終わってしまうことがあります。
灰色のサイは問題化するとしていつ問題になるか分からない
灰色のサイとされる事象は高い確率で問題化すると考えられますが、実際に深刻な問題となるのがいつ分からないということも特徴です。例えば、バブルはもうすぐ弾けるだろうと思っていても、バブルがしばらく続き、なかなか弾けないかもしれません。
バブルが崩壊する、経済が崩壊するというような警戒をすることは大事ですが、いつ崩壊するか分からなければ、過剰に警戒してしまって、投資機会を逃してしまう恐れがります。危機が深刻化するまでは経済や金融は一見普通のように見え、株価なども極端な値下がりをしていない可能性があるからです。
灰色のサイに警戒して慎重な投資姿勢になってから数年間問題が深刻化しなければ、その数年間は得られた利益を逃してしまう可能性があるのです。
灰色のサイへの対処方法
灰色のサイと呼ばれる事象は本当に問題化するか、いつ問題化するかという見極めが大事になります。過度な警戒をすると投資機会を逃す恐れがあり、警戒をしないと問題化した時に深刻な損失を出してしまう可能性があります。
灰色のサイと呼ばれる事象への対処方法としては、問題から目を背けたり、過度に楽観視しないことが大切になります。そして、灰色のサイについてよく観察して、どれくらいの将来に問題になる可能性があるのか、問題化した場合に自分にどのような影響があるのかを想定しておくことが有益です。
少なくとも灰色のサイが大きな問題となった時に、大きなダメージを受ける可能性がある投資案件については投資を少なめにしておくことが大切です。例えば、バブルが疑われる国への投資は慎重にして危機が発生した時の影響を最小限にするというような形です。
まとめ
- 灰色のサイ(犀)とは、存在は認識されていて、問題となる可能性が大きく、問題化した時の影響も大きいと考えられるものの、現時点では軽視されている事象のことを意味します。
- 灰色のサイは、本当に深刻な問題となるのか、問題になる場合はいつ問題になるかの見極めが難しいですが、警戒を緩めずに状況をよく観察しておくことが重要です。