ジャッジメンタル運用とは
記事作成日:2018年5月5日
最終更新日:2021年6月16日
ジャッジメンタル運用とは、基本的な運用戦略・運用方針はあらかじめ決められているものの、基本的な戦略・方針の中で運用担当者(ファンドマネージャー)の判断によって投資が行われるファンドの運用方式のことをいいます。ジャッジメンタル運用のジャッジメンタル(judgmental)とは、「判断の」というような意味があります。
ジャッジメンタル運用の反対の意味を持つ運用がクオンツ運用(システム運用)で、クオンツ運用とはあらかじめ決めておいたモデルに基づいて、担当者(人)の判断を介在させないで機械的な投資を行う運用方式です。
なお、ファンドマネージャーが運用判断を行うといっても、1人が単独で投資判断を行うことはあまりなく、数人から十数人のチームで運用が行われることが多いです。
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ジャッジメンタル運用のメリット
ジャッジメンタル運用のメリットについてです。
優れたファンドマネージャーがいると運用成果が高まる
ジャッジメンタル運用では、投資判断は運用担当者(ファンドマネージャー)が行います。そのため、ジャッジメンタル運用の投資成果はファンドマネージャーの投資判断に左右されることになり、ジャッジメンタル運用では優れたファンドマネージャーがいると、投資成果が高まります。
機動的で柔軟な投資判断ができる
ジャッジメンタル運用では、過去になかったような、事前の想定が難しい相場展開や市場環境においても、ファンドマネージャーの判断によって、機動的で柔軟な投資判断による運用が可能となります。ファンドマネージャーにある程度の裁量が与えられていることによって運用成果を高められる可能性があるのです。
ジャッジメンタル運用のデメリット
ジャッジメンタル運用のデメリットについてです。
ファンドマネージャーの能力に左右されやすい
ジャッジメンタル運用では、人の判断に基づき投資をしますが、投資成果がファンドマネージャーの能力に左右されやすくなります。もちろん、基本的な運用戦略・運用方針の枠内で投資判断は行われるのですが、ファンドマネージャーの判断の巧拙によって投資の結果が大きく変わってくるのです。
一貫性のない運用となることがある
ジャッジメンタル運用には基本的な投資戦略・投資方針が存在しますが、ファンドマネージャーに一定の裁量が与えられていて、ファンドマネージャーの投資判断によって運用が行われます。そのため、ファンドマネージャーの気分や考えで運用が行われた結果、投資成果が上がらないだけではなく、一貫性のない運用となってしまうことがあります。
ファンドマネージャーの交代に弱い
ジャッジメンタル運用では、ファンドマネージャーによる投資判断が重要となりますが、投資判断はファンドマネージャーの経験や勘に支えられている部分もあり、投資判断のノウハウの継承や文書化、マニュアル化は難しい場合があります。そのため、ファンドマネージャーが交代すると、前任者のノウハウを引き継ぎきれず、運用に大きな変化が出てしまう場合があります。
運用のコストが高くなりやすい
ジャッジメンタル運用では、ファンドマネージャーによる投資判断が必要となりますが、複数のファンドマネージャーに対する報酬が発生します。クオンツ運用と比較すると、ファンドマネージャーが継続的に複数必要となることから、コストが高くなる傾向があります。ジャッジメンタル運用のファンドの運用報酬は相対的に高い傾向があります。
まとめ
- ジャッジメンタル運用とは、運用担当者(ファンドマネージャー)によって投資判断が行われる運用方式です。ジャッジメンタル運用に対応する言葉として、クオンツ運用(システム運用)があります。クオンツ運用はあらかじめ決めたモデルに基づいて機械的な投資判断が行われる運用方式です。
- ジャッジメンタル運用は、機動的で柔軟な運用が可能であるというメリットがある一方、ファンドマネージャーの能力に運用が左右されやすく、ファンドマネージャーの交代に弱いというデメリットがあります。