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財政ファイナンス(マネタイゼーション)とは

記事作成日:2019年4月26日

財政ファイナンスとは、政府の財政赤字を補てんするために直接的に中央銀行が通貨を発行することを意味します。マネタイゼーションともいいます。政府が発行した国債などとを中央銀行が直接引き受けて、中央銀行が政府に資金を供給することで行われます。財政ファイナンスが行われることによって、財政規律の喪失、インフレ、信用の喪失などの問題が起こる恐れがあります。

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財政ファイナンスの問題点

財政ファイナンスの問題点として、財政規律が失われること、インフレを抑制できなくなる恐れがあること、お金を持っている人から借金を追っている人への価値の移転が起こる可能性があること、政府や中央銀行に対する信用を失うこと、が挙げられます。

財政規律の喪失

財政ファイナンスが行われると、政府はどれだけ財政赤字となったとしても中央銀行から資金を調達できるため、財政を均衡させる必要がなくなってしまいます。そのため、放漫な財政運営が行われてしまい、歳出が無制限に拡大してしまう恐れがあります。

歳出拡大は経済成長につながるように思えますが、後述するようなインフレや価値の移転を招く恐れがあるほか、放漫な財政出動によって非効率な投資や無駄遣いをするようになってしまうことや、お金を巡って政府や関係者の腐敗につながってしまうことがあります。

いい加減な財政運営をしても何も問題が起きないのではないかと錯覚してしまうと、財政運営をまともに行おうとしなくなってしまい、様々な問題を後々引き起こす可能性があるのです。

インフレを抑制できなくなる恐れ

財政ファイナンスが行われると、中央銀行によって貨幣が増発されるため、その国の経済圏に流通する貨幣が増えることになります。経済の拡大と貨幣の増加が均衡しなければ、貨幣が大量に出回ることによって貨幣1単位当たりの価値は薄まってしまいます。そのため、支払いにより多くの貨幣が必要となりインフレが発生する恐れが出てきます。

例えば、同じ経済情勢だったとして、紙幣が1万枚出回っている場合の紙幣1枚と、紙幣が1億枚出回っている場合の紙幣1枚では、紙幣の流通量が相対的に少ない1万枚出回っている場合の1枚の方が価値があると考えられます。

紙幣が1万枚出回っている場合の紙幣1枚で買えるもの(この経済で1/10,000の価値のもの)は、紙幣が1億枚出回っている場合では1億枚×1/10,000(総紙幣における割合的価値)=10,000枚となり、1万枚の紙幣がないと買えないことになります。この時物価は1万倍違うということになります。

いわゆる「インフレ税」による価値の移転が起こる恐れ

財政ファイナンスによって貨幣が増発されると、今持っている貨幣の価値は実質的に減っていきます(いわゆる「インフレ税」の発生)。そのため、既に貨幣を沢山持っている人の貨幣の価値が減っていってしまい、政府の財政赤字の補填に実質的に価値が移ってしまうことになりかねません。

また、貨幣が増発されることによって、インフレを受けた場合の何らかの調整機能がない場合、現在借金を抱えている人(債務者)は借金の負担が軽くなり、お金を貸している人(債権者)は借金によって回収できるお金の価値が目減りする場合があるため、借金の債権者から債務者に実質的に価値の移転が発生する恐れがあります。

政府や中央銀行の信用の喪失

財政ファイナンスは、過去の歴史を踏まえて問題があると考えらえており、財政ファイナンスを行うことによって政府や中央銀行は内外からの信用を失う恐れがあります。

海外からの信用を失ってしまうと、海外の投資家が国債投資を手控えるようになるなどして海外からの資金調達が難しくなってしまう恐れがあります。そうなるとますます政府は自国内で資金調達をしなければいけなくなり、財政ファイナンスを更に加速させてしまう可能性があります。

また、金融市場などから海外投資家が資金を引き揚げる恐れがあります。海外からの投資資金が引き揚げられると株式、債券、通貨などが売られ、株価下落、金利上昇、通貨安につながる恐れがあります。また、企業に対する直接投資、間接投資も行われなくなり、経済環境の悪化につながる可能性があります。

財政ファイナンスを英語で言うと

「ファイナンス」という言葉には、財源・資金、財務・財政、金融・融資・資金調達といった意味がありますが、政府の財政に資金を融資する形になるため日本語では「財政ファイナンス」となります。ここで「財政」は英語で「ファイナンス」となるので直接英語にすると「ファイナンスファイナンス」という言葉になってしまいます。

財政ファイナンスは英語では「monetization」(マネタイゼーション)と表現されます。「monetization」は収益化する、貨幣化する、現金化するといった意味があり、財政ファイナンス以外の意味でも用いられる言葉で、「monetization」あるいは「debt monetization」などとすることで財政ファイナンスを意味することになります。

財政ファイナンスの歴史

財政ファイナンスによる悪影響の歴史としては第一次世界大戦後のドイツなどが有名です。第一次世界大戦の賠償金の支払いによって財政赤字が拡大し、財政ファイナンスが行われたことによってドイツなどでは1920年代にハイパーインフレが発生しました。

1980年代後半にはブラジルにおいて財政規律の喪失と財政赤字を受けた貨幣増発の財政ファイナンスによってハイパーインフレが生じています。

日本では戦前の1932年に歳入不足を補てんする目的で、日本銀行による政府が発行する国債の引き受けが行われました。(参考:日本銀行の沿革1900年~)日本銀行による国債引き受けによる財政ファイナンスによって、財政の規律は喪失し、軍事費の膨張につながりました。そして、結果的に終戦直後の経済の混乱や物価の上昇に至りました。

日本においては財政ファイナンスによって生じた問題への反省から、財政法第5条において日本銀行による国債の直接引き受けなどが原則禁止されています。

財政法第5条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

(出典)財政法より引用

まとめ

  • 財政ファイナンスとは、財政赤字の穴埋めを目的に政府が発行した国債を中央銀行が直接引き受けるなどして中央銀行が貨幣を発行して政府に供給することを意味します。
  • 財政ファイナンスが行われることによって財政の規律が失われる、インフレを抑えられなくなる、政府や中央銀行が信用を失うなどの問題が生じる可能性があります。

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【財政ファイナンス(マネタイゼーション)とはの記事は終わりです】

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