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政治的リスクとは

記事作成日:2017年9月5日
最終更新日:2021年6月29日

政治的リスクとは

政治的リスクとは、投資などにおいて用いられる用語で、政治に関する不確定な要因のことをいいます。通常は国内政治に関するリスク要因、特定の国のリスク要因を意味しますが、外交問題に関するリスク要因を意味することもあります。政治的リスクの例としては、政権内の意見対立、重要な法案審議の難航、指導者の交代、選挙、政権交代、政策の変更などが挙げられます。

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政治的リスクの株価・債券価格・為替レートへの影響

投資における政治的リスクは、投資家心理を悪化させ、株式などのリスク性資産の価格下落要因となることが多くなっています。政治的リスクは、リスク回避的な投資行動を引き起こすため、政治的リスクが意識される場面では、債券などに資金が流入し価格が上昇する傾向があります。

深刻な政治的リスクが意識される場合には、その国から投資資金を引き揚げる動きが強まる場合があり、株式、債券、通貨のトリプル安となることがあります。

一方、現在の政治情勢が停滞している場合には、選挙などの政治的リスクによって新たな政権の誕生への期待が強まる場合があり、政治的リスクが意識されることによって、投資家のマインドが改善し、株式、債券、通貨が上昇する場合もあります。

政治的リスクの例

政治的リスクとなる要因の例です。

政権内の意見対立

政権内の意見対立が表面化すると政治的なリスク要因となります。政権内での意見対立が深刻化すると政策の遂行や議会での審議などに影響する場合があるためです。また、政権内の意見対立が表面化すると政権支持率の低下につながり政権が弱体化してしまう場合があります。

重要な法案の審議の難航

重要な法律案の審議の難航が政治的なリスクになることがあります。議会などにおける法案審議の難航によって政策の実現が困難になったり、政権が弱体化したりすることがあるためです。市場参加者が注目している法案の審議が難航するような場合は、失望が広がり株式や通貨の下落要因となることがあります。

国王・指導者などの交代

国王や指導者などが存在する国では、国王や指導者が高齢となり引退したり、亡くなったりすることが重要な政治的なリスクとなることがあります。人気が高い国王や指導者の場合には、政治情勢が不安定化する懸念が意識されます。また、後継者が定まっていないような場合や、後継者の政治基盤が盤石でない場合には、政治情勢が不安定化する恐れがあります。

有力者の辞任・解任

政権の有力者が辞任したり、更迭・解任されたりした場合、あるいは兆候がある場合は政治的なリスクとなります。政権からの有力者の離脱によって政権内の意見対立が解消される場合もありますが、政権の弱体化、政党の分裂、連立政権の解消などに至る場合もあります。

選挙・国民投票の実施

大統領選挙や議会選挙などの国政選挙や重要な地方選挙、憲法改正や国の重要な案件に関する国民投票や住民投票は政治的なリスクとなります。国政選挙の結果次第で政権交代が発生する可能性がある場合は、政策変更の可能性が株価などに影響を及ぼします。また、重要な地方選挙は国政選挙の前哨戦などとして位置付けられ、政権基盤を左右することがあります。

重要な案件に関する国民投票・住民投票は政権基盤や政策に影響を与える場合があり、政治的なリスクとなることがあります。

連立政権の崩壊・与党の分裂

政権内の意見対立や政権支持率の低下などから連立政権が崩壊したり、与党が分裂したりすることやその兆候は政治的なリスクとなります。政権基盤が弱体化するとレームダック化(政権が政策を実現する力を失ってしまうこと)し、政策の実現などが困難になってしまい、時間だけが浪費されてしまうことがあります。

重要な政策の変更

政権が重要な政策を変更する場合、変更しようとする場合は政治的なリスクとなる場合があります。国民の間で意見が割れているような政策の変更を行う場合には、支持率の低下から政権基盤の弱体化につながる場合があります。

国民負担を強いる政策の実施

増税や社会保障の削減など国民負担を強いる政策を実施する場合、実施しようとする場合は政治的なリスクとなります。国民負担が生じる政策を実施すると、政権の支持率が低下しやすく、政権基盤の弱体化につながりやすいためです。

政権交代

政権の交代あるいは政権交代の兆候は政治的なリスクとなります。政権が変わること自体は株価などのリスク性資産にとってプラス要因となることもあればマイナス要因となることもあります。新たな政権への期待感が強い場合には政権交代がプラス要因となりますが、新たな政権への期待感が弱い場合、現在の政権への期待感が強い場合には政権交代がマイナス要因となります。

民族・宗派・派閥間の対立

国内に民族間の対立、宗派間の対立、特定の政治信条などを持つ派閥間の対立などが存在すると、政治的なリスクとなります。国内に何らかの対立があって、勢力が拮抗している場合は、一方に有利な政治を行うと他方の不満が高まり反政府運動や内戦に結びつくことがあります。

反政府運動・内戦

反政府運動や内戦の兆しがあると重要な政治的リスクとなります。政権支持率の低下や政権に対立する組織の存在によって反政府運動が行われたり、内戦に至ったりする場合があります。反政府運動が激化したり、内戦が発生したりすると、国内の経済活動は停滞します。

他国との関係悪化

戦争や紛争などに至らなくても、対立から他国との関係が悪化し、経済活動などに影響を与える場合があります。関係の悪化によって、国民感情の悪化によって経済的な交流が停滞したり、経済制裁など政府によって経済的な交流が制限されたりする場合があります。他国との関係の悪化が戦争や紛争に結びつく場合もあります。

他国との関係悪化は経済面でも影響が出る場合があり、経済への影響が懸念される場合には、株価などの変動要因となります。

戦争・紛争

戦争や紛争の当事国となることで国の活動全般に深刻な影響が生じることがあります。小規模な武力衝突が大規模な戦闘に発展していくこともあります。戦争や紛争の直接の当事国とならなくても、周辺地域で戦争や紛争が発生することで、経済活動の停滞や難民の流入などによって影響を受ける場合があります。

戦争や紛争の発生、あるいは戦争や紛争の兆候は経済に大きな影響があるため、重大な政治的リスクとなり、株価などの変動要因となります。

国の体制の変更

国の体制が大きく変更する場合や変更の兆候がある場合には政治的なリスクとなります。国民の意見が二分していて政治情勢の不透明感が強まるような場合は株式などのリスク性資産にとってマイナス要因となります。

政治的リスクと地政学リスク・地政学的リスクの違い

政治的リスクと地政学リスク・地政学的リスクは似たような意味を持ちますが、どちらかといえば政治的リスクは特定の国に影響が大きいリスク、国内の政治に関するリスクを意味することが多くなっています。

一方、地政学リスク・地政学的リスクは特定の国に影響がとどまらず、周辺の国・地域や世界的に影響を及ぼす政治に関するリスクを意味することが多くなっています。例え国内の政治に関するリスクであっても周辺の国・地域あるいは世界への影響が大きい場合は、地政学リスク・地政学的リスクと呼ばれることがあります。

政治的リスクとカントリーリスクの違い

政治的リスクとカントリーリスクは似たような意味を持ちますが、政治的リスクが政治的なリスクのみを指しているのに対して、カントリーリスクは政治的リスク以外のリスクも広く含みます。社会的なリスク、経済的なリスクなども含みます。

まとめ

  • 政治的リスクとは、投資などにおいて用いられる用語で、政治に関する不確定な要因のことをいいます。
  • 政治的リスクは、投資家心理を悪化させ、株式などのリスク性資産の価格下落要因となることが多くなっています。

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【政治的リスクとはの記事は終わりです】

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