価格変動リスクとは
記事作成日:2017年8月8日
最終更新日:2021年6月29日
価格変動リスクとは、投資・資産運用において投資対象の価格が変動するリスクのことです。価格が下落するリスクだけでなく、上昇するリスクも含んでおり、上下両方向の価格変動の可能性を指します。ただし、通常はリスクというとマイナスの意味合いがあるため、価格下落する可能性ということで用いられる場合が多くなっています。価格変動リスクがあるからこそ、投資の意味があるとも言えます。
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価格変動リスクがある理由・背景
投資する資産に価格変動リスクがある理由は、需要と供給によって価格形成が行われるからです。買いたい人と売りたい人はまったく同じ考えを持っているわけではないことや、買いたい人と売りたい人のバランスもその時々で異なっていることなどから、その時々でつけられる価格は違ってきます。
投資対象の価格が変動する理由には、市場全体の動きにつられて変動する場合(市場リスク、システマティックリスク)と投資対象の固有の要因によって変動(個別(銘柄)リスク、アンシステマティックリスク)する場合があります。
価格変動リスクがない資産
価格変動リスクがない投資資産もあります。預金が典型的ですが、預金は特殊な仕組みのものでない限り価格変動の心配はありません。ただし、預けている銀行など金融機関の信用リスク(デフォルトリスク)がありますが、1つの金融機関で1000万円までの普通預金などは保護される仕組みがあります。
また、債券も満期保有の場合には価格変動リスクはありません。ただし、信用リスク(デフォルトリスク)があります。自らが投資として貸付を行う場合の貸付金も同様です。
保険商品も定額の商品は価格変動リスクがありませんが、保険会社の信用リスク(デフォルトリスク)があります。ただし、生命保険や損害保険にも契約者保護の制度があります。
そのほか、元本保証型の金銭信託も同じようなことが言えます。
価格変動リスクがある資産
投資対象となる資産には基本的に価格変動リスクがあります。株式、満期保有を前提としない債券、外国通貨、不動産、元本保証のない金銭信託、コモディティ(金、プラチナ、銀、原油、農産物など)、美術品、変額保険、投資信託(REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)などを含む)、FX(外国為替証拠金取引)、先物取引、オプション取引などには価格変動リスクがあります。
金融資産も実物資産も多くの場合は価格変動リスクがあります。
価格変動リスクの大きさは標準偏差で示される
価格変動リスクの大きさは過去の価格変化率の標準偏差を求めることによって数値化することができます。投資における標準偏差は、月別の価格変化率の標本から標準偏差を計算し、年率換算して求めることが一般的ですが、概ね次のようなイメージになります。
価格変動リスク | 資産クラスの例 | 標準偏差の目安 |
---|---|---|
小さい (ロー(低)リスク) | 国内債券 | 5%以下 |
中程度 (ミドル(中)リスク) | 外国債券、外国通貨 | 数%~10%強 |
大きい (ハイ(高)リスク) | 国内株式、外国株式 | 15%以上 |
(備考)外国債券や外国株式は為替変動リスクを含めたリスクです。
(出典)fromportal.comの担当者が作成
価格変動リスクを高めることもできる
投資信託にはレバレッジ型投資信託というベンチマークとなるインデックスの価格変化の2倍、3倍の価格変化をするようなものがあります。投資信託やETFなどにより通常のベンチマークに投資するよりも、価格変動リスクを高めることができます。また、オプション取引を行うことで原資産の価格変動リスクよりも大きな価格変動リスクの投資を行うことができます
価格変動リスクを何倍も受けることもできる
価格変動リスクを直接高めるわけではありませんが、信用取引、証拠金取引などと呼ばれる、投資資金の何倍もの取引ができる取引方法を活用することで、価格変動のリスクをより多くとることができます。元々の投資対象資産の価格変動率が高まるわけではありませんが、金額ベースではより大きな価格変動リスクを受けることになります。
まとめ
- 価格変動リスクとは、投資対象としている資産の価格が変動するリスクのことです。取引の場面において買い手と売り手による価格形成が行われる結果、価格変動が発生します。
- 基本的に多くの金融資産や実物資産には価格変動リスクがあります。特殊な仕組みがない預金や満期保有が前提の債券には価格変動リスクはありませんが、信用リスク(デフォルトリスク)があります。