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クオンツ運用(戦略)とは

記事作成日:2018年5月2日
最終更新日:2021年6月16日

クオンツ運用(戦略)とは

クオンツとは、数学や統計学、計量経済学、金融工学、物理学、コンピューター科学などの知識を背景に、経済データや市場データなどの数量的なデータを分析・活用して、数理的・計量的なモデルを構築し、金融資産への投資を行うこと、またはその専門家(クオンツアナリスト)のことを意味します。コンピューターの処理速度の向上などを背景にテキストデータなどを含めたビッグデータの活用や人工知能(AI)の活用などが試みられています。クオンツ(Quant,Quants)は、Quantitative(数量的な)という言葉から来ていています。

また、数学や統計学などの知識を背景に、数量的なデータを分析・活用して、金融派生商品(金融デリバティブ)などの価格を算出することもクオンツと呼ぶことがあります。

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クオンツ運用・クオンツ戦略・システム運用とは

クオンツ運用・クオンツ戦略とは数学や統計学などに基づいて、各種の経済データ(経済指標、金融政策、企業業績など)や市場データ(株価、債券利回り(金利)、為替レート、コモディティ価格、各金融商品需給データ)、テキストデータ(ニュース、SNSなどにおける投稿内容)などの数量的なデータを分析・活用して、数理的・計量的な投資モデルを構築し、モデルに基づいてポートフォリオを構築し、金融資産への投資を行う運用方法・運用戦略を意味します。

原則として数理的なモデルを構築した後は、人の判断ではなく、モデルに基づいた運用が行われることが特徴です。

クオンツ運用はコンピューター(計算機)を用いて機械的、システム的に行われるためシステム運用とも呼ばれることがあります。

クオンツ運用のメリット

クオンツ運用のメリット(利点・長所)についてです。

過去の実績・経験に基づく最適な投資行動ができる

クオンツ運用は、過去の市場の動きに基づいて、現在の投資局面における最適な投資行動を計算して投資を行います。クオンツ運用では、このようがみられる相場ではこの後株価はこう動くといった過去の経験に基づいて投資を行うため、投資成果が期待できます。

人間の感情や判断を介さず判断が速い

投資においては人間の感情や判断が誤ってしまうことも多々あります。人間の場合、損をしたくない、もっと儲けたいといったような感情が邪魔をして最適な投資行動が取れない場合があります。判断するまでに時間がかかってしまい最適な投資機会を逃してしまう可能性があります。

クオンツ運用を行うことで人間の感情や判断に左右されない投資ができるようになり、投資判断を速く行うことができます。

人間では処理しきれない大量のデータを瞬時に処理できる

人間の思考力・判断力は優れていますが、コンピューターは大量のデータを瞬時に処理する能力に優れています。コンピューターは、人間では処理しきれないような大量のデータ(ビッグデータ)を、瞬時に、ミスなく処理することができるのです。また、コンピューターの処理速度向上により、より高度な統計処理やシミュレーションが可能となっています。

そのため、人間ではできなかったような大量のデータを活用した投資ができるようになります。

クオンツ運用のデメリット

クオンツ運用のデメリット(弱点・短所)についてです。

過去になかった新しい出来事に対応しづらい

クオンツ運用は過去の実績・データに基づいて、数理的な投資モデルを構築します。そのため、過去になかったような新しい出来事(想定外のイベント・事件など)が発生した場合には、クオンツ運用は最適な判断がしづらくなります。

市場や投資環境の構造変化が起こると対応しづらい

クオンツ運用は過去の実績・データに基づいて投資判断を行います。過去の投資環境と同じ状況であれば最適な判断だったとしても、市場参加者の変化、投資行動の変化などによって、市場や投資環境に構造変化が発生すると、過去の経験に基づいた運用は変化についていけない可能性があります。

機械的な判断が行われるため柔軟性を持たせるのが難しい

人間であれば例外的な出来事、特殊な状況に柔軟に対応することができます。しかし、クオンツ運用では、あらかじめ柔軟性に関するプログラムを組み込んでおかないと、機械的な判断を行うため、柔軟な投資判断を行うことができません。機械的過ぎることがデメリットになることもあります。

真似をされると利益を上げられなくなる

クオンツ運用は、過去の実績から投資行動を構築します。一定の数学や統計学、投資などに関する知識・ノウハウを持った人が、同じ過去の実績データを用いて投資モデルを構築すれば似たようなモデルを構築しやすくなります。

結果としてクオンツ運用では似たような運用が行われるようになるため、利益を上げづらくなります。誰も知らないような収益機会を独占できれば多くの利益が得られますが、みんなが知っている儲け方で儲けようと思っても、利益は独占できないのです。

モデルを構築するのは人間であり誤ることがある

クオンツ運用は人工知能(AI)の活用が試みられていますが、やはり基本的には人間がモデルを構築することになります。また、人工知能も人間の設計による部分に影響を受けます。

クオンツでモデルを構築すれば、人間の判断を介さないで投資判断が行われますが、モデルを構築する段階までは人間が行うため、勘違い、間違い、思い込み、見落としなどが起きえます。

そのため、完全で完璧なクオンツ戦略を構築するのは困難なのです。

まとめ

  • クオンツとは、数学や統計学などの知識を背景に、数量的なデータを分析・活用して数理的なモデルを構築し、金融資産への投資を行うこと、または投資を行う専門家を意味します。
  • クオンツ運用は、クオンツにより運用を行う投資戦略ですが、人間の感情や判断に左右されずに過去の実績に基づいて投資行動ができるというメリットがありますが、新しい状況や構造変化に弱いというデメリットもあります。

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【クオンツ運用(戦略)とはの記事は終わりです】

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