新値とは
記事作成日:2020年7月30日
最終更新日:2021年6月16日
新値とは、金融市場で用いられる場合は過去の高値や安値を更新した価格(値段)の事も意味します。高値を更新した場合は新高値、安値を更新した場合は新安値ともいいます。株価などで新値という場合には、一般的には新高値を指している場合が多いです。新値は、上場するなどして取引が始まってからの上場来の期間で比較した高値・安値という場合もありますが、年初来や昨年来で比較した高値・安値の場合もあります。
新値は過去の相場水準を超えた値動きであるため、相場の重要な転換点を意味することも多く注目されます。
スポンサーリンク
上場来高値・上場来安値
上場来高値とは、ある金融商品が上場されて取引が開始されてからつけた一番高い値段のことを意味します。取引時間中の高値を指すこともありますが、終値で比較した場合の高値を指す場合もあります。
上場来安値とは、ある金融商品が上場されて取引が開始されてからつけた一番安い値段のことを意味します。こちらも取引時間中の安値を意味することもあれば、終値ベースの場合もあります。
新規株式公開などにより上場した直後は、取引履歴が短いため上場来高値や上場来安値を付けやすいですが、上場から時間が経過していている場合に上場来高値や上場来安値がついた場合には、その銘柄の値動きが大きな転換点を迎えている場合があります。一般的には上場来高値を付けた場合は株価が堅調であると言えますし、上場来安値を付けた場合は一種の危機に陥っている可能性もあります。
年初来高値・年初来安値
年初来高値とは、今年1月からの期間で比較して、最も高い値段を更新した時のその値段を意味します。
年初来安値とは、今年1月からの期間で比較して、最も安い値段を更新した時のその値段を意味します。
年初来とは年の初めから比較してという意味にします。年初来高値や年初来安値は直近の数か月の中で最も高い値段、安い値段ということになります。銘柄選択や相場動向の分析のため、年初来高値からの下落率や年初来安値からの上昇率などが用いられることがあります。
年初来高値や年初来安値は通常は4月から12月の間用いられます。1月から3月は今年1月からとすると比較対象が短くなるため通常は昨年来での比較をします。
年初来高値や年初来安値は場中につけた値段で比較することもあれば、終値ベースで比較をすることもあるため、どちらの意味で使われているか注意が必要です、
昨年来高値・昨年来安値
昨年来高値とは、今年1月から3月までの間に、昨年1月からの期間で比較して、最も高い値段を更新した場合のその値段を意味します。
昨年来高値とは、今年1月から3月までの間に、昨年1月からの期間で比較して、最も安い値段を更新した場合のその値段を意味します。
1月から3月までの間は年初来で高値や安値を出そうとした場合、今年1月からの期間とすると比較対象期間が3か月未満と短くなってしまい、年初来高値や年初来安値が出やすくなります。そのため、1月から3月までの間は、通常は年初来で比較するのではなく、昨年1月までの期間を含めた昨年来で比較し、昨年来高値や昨年来安値とします。
昨年来高値や昨年来安値は場中の高値や安値を意味することもあれば、終値ベースでの高値や安値を意味することもあります。
新値は買いか売りか
新値となった場合に買うべきか売るべきかの投資行動については新値をとる時の状況によって変わってきます。
新高値(上場来高値・年初来高値・昨年来高値)は買いか売りか
新高値は買いか、つまり上場来高値・年初来高値・昨年来高値は買いかどうかということですが、高値を更新できるほど投資家からの買い需要が強く勢いがあるから、更に上昇が期待できるため買い、という考え方があります。高値を取る時の状況が、単なる相場の熱狂ではなく、業績などの実態を伴ったものであるならば、株価上昇が続く可能性があると考えられ、新値(新高値)は買いということになります。
一方で、相場の過熱によって買われ過ぎている、例えば株価収益率(PER)や各種テクニカル指標が相場の過熱を示している、という時は高値をとって達成感が出て値を崩してしまう場合も考えられます。いいところまで買われたからそろそろ頭打ちというような状況です。このような場合は、新値(新高値)は売りということになります。
新値追いとは
新値追いとは、一般的には株価上昇の局面で用いられ、新高値をとった後も株価の上昇が続き、新値を更新し続けるような状態を意味します。
業績などの実態を伴って上昇している場合は、新値追いがしばらく続いていく可能性があります。また、新値追いが一段落しても、値を崩さずに高値圏を維持する可能性もあります。
新安値(上場来安値・年初来安値・昨年来安値)は買いか売りか
続いて、新安値は買いなのか売りなのかということについてです。上場来安値・年初来安値・昨年来安値を付けたなら割安感、値ごろ感が出ているから買いなのではないかと考えられることがあります。
過去の相場と比較して安値圏にある場合、レンジ相場が続くとみるのであれば買いを入れても良いかもしれません。業績などから考えて売られ過ぎている、というような場合です。そのような時には新値(新安値)は買いと考えることができます。
しかし、明確な要因があって株価が下落して新安値をとった場合には注意が必要です。一時的な下落なのか、売りの要因が解消されたり、買いの要因が新たに出てきたりするなど反発する見込実があるかどうかを見極めることが大切です。場合によっては新安値をとった後も下落が続き、安値を更新し続けることがあるためです。
特に上場来安値は注意が必要です。上場直後であれば別ですが、上場からしばらく時間がたっているのに上場来の安値を更新したということは、経営状況が厳しいため投資家が手放している、将来の成長余地に限界があって投資家から見放されたということが考えられるため、安易に割安だと考えてはいけない場合があります。
まとめ
- 新値とは過去の高値や安値を更新した場合の値段を意味し、株価で新値といった場合は高値を更新した新高値を意味することが多いです。
- 新値は過去の相場の範囲を超える動きであるため、相場の重要な転換点となることがあり投資行動を考える上で重要です。