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リバーサルレートとは

記事作成日:2019年9月30日

リバーサルレート(reversal interest rate)とは、金融緩和を進め過ぎた結果、貸出金利の低下などによって金融機関の収益が圧迫されてしまい、逆に貸出が抑制されてしまうような、金融緩和による金利低下の効果が反転してしまう金利水準のことを意味します。

リバーサルレートは米国プリンストン大学(Princeton University)のマーカス・ブルネルマイヤー(Markus K. Brunnermeier)教授が提唱したとされていて、2019年5月には日本銀行金融研究所が主催する国際会議でもリバーサルレートについて議論が行われていて、リバーサルレートの論文を日本銀行金融研究所のウェブサイトで見ることができます(Session 2: The Reversal Interest Rate)。

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金融緩和の効果

一般的に政策金利の引き下げや量的緩和などによって金融緩和を進めて金利を引き下げると、銀行などの金融機関の貸出金利が低下するため、収益率が低い投資案件で借入を行っても収益の黒字化が見込めるようになり、企業などが融資を積極的に受けて設備投資を活発化させます。

そのため、銀行貸出を増やし景気を刺激するためには金利を下げればよいと考えられてきました。金利が下がれば貸出が増えると考えられていたのです。そのため中央銀行は政策金利の引き下げや資産買い入れなどの量的緩和を行い、金利を引き下げることで貸出増加を測ろうとしてきました。

金融緩和の副作用

しかし、近年では政策金利の引き下げや量的緩和などの金融緩和を行っても、金融緩和が十分に効果を発揮していないのではないかと思われるような状況も生まれています。

金融緩和の副作用として、バブルの誘発が有名ですが、金利が下がり過ぎた結果、過剰な不動産投資や金融資産投資などが行われてしまい、不動産価格や株価の急騰を招いてしまうことがあります。

更に、近年では大規模な資産買い入れ策に加えて、マイナス金利政策まで行われるようになり、リバーサルレートの考え方のようなバブルの誘発以外の金融緩和の副作用にも注目が集まりつつあります。金融緩和による行き過ぎた金利の低下は貸出に悪影響があるのではないかということです。

行き過ぎた金融緩和の効果の反転

金融緩和が行き過ぎてしまうと、貸出金利の低下によって銀行などの金融機関が貸出から得られる利息が少なくなってしまいます。金利が低下すると、新規の貸出金利は低下していきますし、既存の貸出も借り換えられてしまうリスクがあります。大企業の場合は金融機関から借りるのではなく、社債などを発行することによって金融機関から借りなくなってしまう場合さえあります。

一方で、金融機関にとって利子を支払わないといけない負債となる預金の金利は貸出金利ほどは低下しなくなってしまいます。預金金利を下げ過ぎると預金が流出してしまうため、預金金利の引き下げには限界があるからです。口座維持手数料や振込手数料などに転嫁する方法も考えられますが、顧客の流出につながる恐れがあります。

また、量的緩和が行われて中央銀行が銀行などの金融機関から債券を購入するようになると、金融機関の固定金利資産が減少し、金融機関の利益構造が変化してしまうことがあります。

そのため、金融機関の利益が圧迫されてしまい、利益が圧迫されると自己資本が薄くなってしまう恐れが出てくるため、不良債権を発生させないよう貸出に対する態度が厳格化し、かえって貸出が抑制されることがあると考えられているのです。

金融緩和の副作用とリバーサルレート

日本でも2016年1月にマイナス金利が導入されてから、金融緩和の副作用に注目が集まるようになりました。特にマイナス金利政策によって、国債市場などで金利低下が進んだ結果、金融機関の貸出金利は大きく低下し、金融機関は融資であまり儲けられなくなってしまい、経営を圧迫される金融機関が出ています。

また、債券の利回りが低下したことによって年金などの資産運用にも影響が出ています。従業員に支払う給付が決まっている確定給付型の年金では、資産運用によって想定した利益が得られない場合、その分を企業が埋めなければいけなくなるため、退職給付債務が増大してしまい、企業経営を圧迫してしまうこともあります。

金利低下が行き過ぎると悪い影響が出てくることがあるため、確かにリバーサルレートの考え方は妥当であると考えられます。ただ、どの程度の水準の金利がリバーサルレートとなるのかの実証はこれからであり、リバーサルレートの水準について合意された水準があるわけではありません。

いずれにしても、金融緩和が行き過ぎると悪影響も出てくるため、金融緩和の金利の低下の効果には限界がある、ということになります。

まとめ

  • リバーサルレートとは、行き過ぎた金融緩和による貸出金利の低下などによって金融機関の収益が圧迫されてしまい、逆に貸出が抑制されてしまうような、金利低下の効果が反転してしまう金利水準のことを意味します。
  • 金融緩和が行き過ぎると悪影響も出てくるため、金融緩和の金利の低下の効果には限界がある、ということになります。

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【リバーサルレートとはの記事は終わりです】

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