逆資産効果とは
記事作成日:2020年3月17日
最終更新日:2021年9月10日
逆資産効果とは、株価下落など保有している資産の価格が下落することによって、個人の消費意欲や企業の設備投資意欲などが抑えられる効果を意味します。保有している資産の価格が下落することによって、自分が使うことができるお金が少なくなると感じるため、消費や投資の意欲がそがれてしまうのです。もちろん、資産を換金した時の実際の購買力も低下してしまいます。反対の言葉は資産効果です。
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逆資産効果は株式や不動産などの価格下落によって生じる
個人や企業が保有する資産の中で影響が大きいものは株式や不動産です。株価の下落や不動産価格の下落によって、個人や企業の保有している資産の実質的な価値が切り下がると、逆資産効果が発生することがあります。もちろん、債券などの株式や不動産以外の資産価格の下落が生じた場合でも逆資産効果が発生しますが、経済に大きな影響を与える可能性が高いのは株式や不動産の価格下落です。
逆資産効果は実際に資産を売却しなくても生じる
逆資産効果は資産価格が起こることによって生じます。実際に資産を売却して損失が確定しなくても逆資産効果は発生します。自分の保有している資産の価値が下がると、将来換金した時手にできるお金が少なくなるため消費意欲や投資意欲が落ち込みます。例えば、住宅ローンを抱えている人の自宅の不動産価格が下落すると、資産価値が住宅ローンの残高を下回ることになりお金を使わないようにしなければと考えるようになることがあります。
また、資産価格が下落すると、価格上昇を待って売却しないこともあり(いわゆる株式の塩漬け)、株式や不動産に長期間資金が拘束されて、お金の流れが悪くなってしまうこともあります。
株価や不動産価格の下落が価格下落の悪循環を生み出す
株価や不動産価格が下落すると消費や投資の落ち込みを招き、経済活動が停滞します。経済活動の停滞は株価や不動産価格の下落要因となるため、さらなる株価や不動産価格の下落に陥る可能性があります。逆資産効果が一度発生してしまうと、資産価格下落の悪循環となってしまうことがあります。バブルによって株価や不動産価格が高騰すると、バブルがはじけるまでは資産効果によって経済の好調さが持続しますが、一度バブルが弾けてしまうと逆資産効果によって株価や不動産価格の持続的な下落になってしまうことがあります。日本の平成不況(バブル崩壊後の不況)、1990年代の経済の低迷、失われた10年は株価や不動産価格下落による逆資産効果も影響していたと考えられます。
2008年の世界金融危機の際には金融システムへの不安から株価が大幅に下落しましたが、世界的な株価下落によって逆資産効果が生じ、各国の経済活動を抑える要因になったと考えられます。
まとめ
- 逆資産効果とは、保有している株式や不動産などの資産の価格が下落することによって、個人の消費意欲や企業の設備投資意欲などが抑制されてしまう効果のことを意味します。
- 株価や不動産価格の下落によって逆資産効果が発生すると、消費や設備投資などの低迷を通じて経済活動が停滞し、さらなる株価や不動産価格の下落を招く悪循環に陥ることがあります。