ストラテジストとは
記事作成日:2018年5月4日
最終更新日:2021年6月20日
資産運用・投資におけるストラテジスト(Strategist)とは、資産運用戦略を立案して、ファンドを運用するファンドマネージャーや顧客に提案する、専門家のことをいいます。ストラテジスト(Strategist)は英語の戦略(Strategy)からきていて、ストラテジスト(Strategist)には本来の意味として軍師・策略家という意味もあります。
スポンサーリンク
ストラテジストの仕事内容・業務
資産運用・投資におけるエコノミストは主として経済、特にマクロ経済の調査・分析を行うのに対して、ストラテジストは金融市場・相場の調査・分析を行います。
株価、金利(債券価格)、為替レート、商品市況などの相場の調査・分析を行い、相場の予測や投資戦略の立案・提案を行います。ただし、経済(マクロ・セミマクロ)や企業業績(ミクロ)も含めて幅広い調査・分析を行うストラテジストもいます。
ストラテジストは株式、債券、為替、商品などの資産クラス別、日本、米国、欧州、中国のように地域別に担当を持つ場合もあれば、特に制約を持たず市場全般を分析の対象とする場合があります。
ストラテジストは、証券会社、運用会社(投資信託などの運用会社、アセットマネジメント等の名称)、銀行(日本の場合には信託銀行も含む)などに在籍して、市場の投資環境の調査・分析、市場動向に関するレポートの作成、ファンドマネージャーや顧客に対する投資戦略・資産配分などの立案・提供などを業務とします。
ストラテジストは、セルサイド(株式や債券などの金融商品の販売側、証券会社を指す)とバイサイド(株式や債券などを運用するために購入する側、運用会社、機関投資家などを指す)の両方にいます。ただし、表で注目を浴びやすいのはセルサイドのストラテジストです。
ストラテジストの資格
ストラテジストの資格は特にありませんが、経済・金融に関する専門資格として国内あるいは国際的な証券アナリストに関する資格を保有している場合があります。証券アナリストの資格を保有していなくてもストラテジストをすることはできますが、所属組織が証券アナリストの資格を重要視している場合、ストラテジストの役割を担うことが困難な場合があります。また、資格を持っていないと専門家とはみなされない場合があります。
なお、情報処理の分野にはITストラテジストという資格がありますが、資産運用・投資におけるストラテジストとの関係はありません。
ストラテジストに必要な能力
経済・産業、企業業績、金融市場、金融商品などに対する幅広い専門知識と分析スキルが求められるほか、レポートとして表現する能力、投資戦略を立案する能力、ファンドマネージャーや顧客(機関投資家・個人投資家等)に説明する能力など、調査・分析に関する総合的な能力が求められます。
また、金融市場の動きは国際的なもので、日本だけの調査・分析だけでは基本的に完結しないので、海外の市場の動きの調査能力が必要となります。そのため、ある程度の英語力が求められます。
ストラテジストの位置づけ
ストラテジストは金融業界においては、ファンドを運用するファンドマネージャー、企業価値の分析などを行うアナリスト、経済の調査・分析を行うエコノミストと並んで、人気が高い花形的な仕事と考えられています。
ストラテジストの立場に注意
ストラテジストが提示する市場の分析結果や投資戦略は、ストラテジストが所属している組織に有利なものとなるような、意見の偏りがある場合があります。
ストラテジストは市場動向を調査・分析する専門家ですが、同時に通常は組織に所属するサラリーマンでもあります。所属する組織の利益に反するような意見を表明することは実際問題極めて難しいのです。
そのため、ストラテジストの立ち位置、立場を理解した上で、ストラテジストの提案内容を吟味する必要があるのです。
まとめ
- 資産運用・投資におけるストラテジストとは、市場の動向などを調査・分析して、投資戦略・資産配分の立案、ファンドマネージャーや顧客への提案を行う専門家を意味します。
- ストラテジストに関する資格は特にありませんが、国内あるいは国際的な証券アナリストに関する資格を保有している場合があります。ストラテジストには調査・分析に関する総合的な能力が求められます。