相場のサプライズ・サプライズ指数とは
記事作成日:2018年4月29日
最終更新日:2021年9月4日
株価などの相場に関して「サプライズ」(Surprise)という言葉が用いられることがあります。サプライズとは、驚かせること、意外なこと、不意打ちというような意味があり、一般的にも用いられる言葉です。相場におけるサプライズとは、株価などの相場に影響を与える要因に関して、事前に想定されていたものとは異なる結果になることをいいます。
スポンサーリンク
相場におけるサプライズとは
相場におけるサプライズとは、株価、金利(債券価格)、為替レート、商品価格などの相場に影響を与える要因(経済指標、企業業績、重要なイベント(金融政策、経済政策、選挙結果など))の実際の結果が、事前の市場予想(コンセンサス)と異なる意外な結果となることを意味します。
経済指標のサプライズ
経済指標に関しては、経済指標の結果がエコノミストやストラテジストなどによる事前予想とかい離していた場合にサプライズとなります。例えば、ある四半期のGDPが前期比年率+2.0%の予想であったのに、実際の結果は前期比年率▲1.5%であった、というような場合です。
市場で注目されている経済指標には大抵事前の予想がなされているため、結果が予想と異なる場合はサプライズとして相場に影響を与える可能性があります。
企業業績のサプライズ
企業業績に関しては、アナリストの業績予想と会社発表の決算内容が大きくかい離している場合にサプライズとなります。例えば、ある企業のある期の利益が1,000億円と予想されていたのにもかかわらず、実際の会社発表の決算では利益が3,000億円だった場合です。
株式の売買が活発な企業などは複数のアナリストが業績予想を出していることがあるため、事前予想と結果のかい離が計算できる場合があります。
重要イベントのサプライズ
重要イベントに関しては、事前の市場参加者の多数の見方と実際の結果がかい離している場合にサプライズとなります。
金融政策のサプライズ
例えば、金融政策であれば、利上げなしと予想されていたにもかかわらず利上げが行われた、0.25%ポイントの利下げ予想だったのに1.00%ポイントの利下げが行われた、というような場合です。
経済政策のサプライズ
経済政策に関しては、3兆円規模の経済対策が予想されていたが実際には1兆円規模だった、自国の貿易保護のため関税措置を多数の品目にかけるとみられていたが実際には対象品目が極めて少なかった、などというような場合です。
政治や選挙のサプライズ
選挙結果に関しては、与党候補勝利が予想されていたにもかかわらず野党候補が勝利した、国民投票が賛成多数になると予想されていたのに反対多数になった、などのような場合です。
事前に予想されないイベントはサプライズとはあまり言わない
事前に全く予想がされない、共通の見方が形成される余地がないようなイベントはサプライズとは基本的に言いません。突然の自然災害の発生、大事故の発生、ほとんど誰も想定していない出来事の発生などです。
確かに驚き、予想外の出来事ではあるのですが、相場におけるサプライズは通常事前に予想されていた出来事と結果が異なる場合に使われる言葉です。
サプライズには良い場合と悪い場合がある
相場におけるサプライズは良いサプライズと悪いサプライズがあります。事前の予想よりも良い結果となった場合は良いサプライズ、ポジティブなサプライズと言い、相場の上昇要因となります。逆に事前の予想よりも悪い結果となった場合には悪いサプライズ、ネガティブサプライズとなります。
サプライズ指数(サプライズインデックス)とは
サプライズの動向を数値化したものにサプライズ指数というものがあります。サプライズ指数(サプライズインデックス)とは、経済を対象にする場合は経済指標のサプライズ度合いを指数化したものです。経済指標の市場予想と実際の結果を比べて、予想<結果の場合(結果が予想を上回る場合)はプラスに、予想>結果(結果が予想を下回る場合)はマイナスになるように設計された指数です。
通常、過去一定の期間内に発表された複数の経済指標に関して「実際の結果と市場の予想の差や割合」について重要度などを重みづけ(加重平均)して、指数化します。
市場の事前予想がある数値であればどのようなものでもサプライズ指数化することができます。サプライズ指数はびっくり指数と呼ばれることもあります。公表されているサプライズ指数を用いることもできますし、自分で重みづけをしてサプライズ指数を作成して投資判断に活用することも可能です。
サプライズ指数(サプライズインデックス)の見方
サプライズ指数がプラスであれば、市場予想を上回る経済指標が相次いでいるという評価になり、経済が予想以上に堅調であることから株価の上昇要因となります。
投資家が先行きに悲観的で市場予想の目線が下がっている時に、経済環境が最悪期を脱し経済指標の実際の結果が予想を上回りサプライズ指数は上振れするというような場合があります。このような時は投資家心理が好転する境目であることがあります。
また、投資家がそれほど悲観的でない時でも、実体経済が強い時に経済指標の実際の結果が予想を上回りサプライズ指数が上振れすることがあります。このような時は強い相場展開になることがあります。
一方、サプライズ指数がマイナスであれば、市場予想を下回る経済指標が相次いでいるという評価になり、経済が予想以上に弱いことから株価の下落要因となります。
良い経済環境が続いている時に、勢いが失われてしまい、投資家の期待(予想)に応えられないような経済指標の結果となるとサプライズ指数は下振れしてしまいますが、相場が悪い方向に転換するシグナルであることがあります。
また、投資家が悲観的になっていて市場予想の目線が下がっている時であっても、更に実際の経済指標の結果が悪くサプライズ指数が下振れることがありますが、このような時は投資環境が非常に厳しく慎重な投資行動が求められる傾向があります。
サプライズ指数(サプライズインデックス)の使い方の注意点
ただし、サプライズ指数は市場の事前予想の強弱にも左右されます。市場参加者が強気になるとサプライズ指数はマイナスとなりやすいです。一方、市場参加者が弱気になるとサプライズ指数はプラスとなりやすいです。市場参加者の心理によってもサプライズ指数は影響を受けるのです。
まとめ
- 相場におけるサプライズとは、株価などの相場に影響を与える可能性がある経済指標や重要イベントの結果が事前の予想と異なり、驚きの結果となったことを意味します。
- サプライズ指数とは、サプライズ度合いを指数化した指標で、経済指標などに関して作成されます。事前の予想よりも結果が良かった場合はプラスになるように、事前の予想よりも結果が悪かった場合はマイナスになるように作成されることが一般的です。