いってこい(行って来い、往って来い)とは
記事作成日:2018年4月11日
最終更新日:2021年6月16日
投資における相場動向を示す言葉で「いってこい」あるいは「行って来い」、「往って来い」という言葉があります。いってこいとは、1日や1週間など一定の期間内における株価などの相場が、上昇した後に下落してしまい、結局元の価格水準になってしまうこと、あるいは下落した後に反発して上昇し、元の価格水準に戻ることをいいます。往ったけれど(上昇or下落)、帰ってきてしまった(下落or上昇)ということで、いって(往って=向かって)こい(来い=来る)ということになります。結局、プラスマイナスゼロというような意味となります。
いってこいは僅かな価格の上下の変動の場合は用いられないことが多く、ある程度明確な値上がり後の値下がり、あるいは値下がり後の値上がりに用いられます。どちらの方向にも方向感が出てなければ、いってこいとは通常呼ばれません。
いってこいとなるような相場環境では、単なる日々の変動に過ぎない場合もありますが、相場の流れが変化しつつある可能性や上値あるいは下値のめどを示している可能性があるため警戒が必要な値動きとなります。
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いってこいの動きとなる背景
「いってこい」は、一旦値動きに値上がりあるいは値下がりのどちらかの方向で勢いが出てきたけれど、結局その勢いが続かず元に戻ってしまったということになります。
このような「いってこい」になる背景としては、一旦出た勢いは実はそれほど強くなかったか、勢いを削ぐような材料が出たかのどちらかになります。
「いってこい」という言葉は1日、1週間、1か月など様々な期間において使用することができますが、1日の相場の中でいってこいの動きとなった場合には、相場の転換点や、相場の上値目途、下値目途を示している場合があるため注意が必要です。
高値圏でのいってこい
株価の上昇が続き、株価が高値圏にある中で、ある日、勢いが続きいったん大幅に上昇したけれど、高値を更新すると一気に売られて、反落してしまうというようなことがあります。短期間の間にいってこいとなってしまった場合、上値の目途に到達し、上値が重くなっている可能性を示しており、警戒が必要です。チャートでは上ひげとして現れます。
安値圏でのいってこい
逆に株価の下落が続き、株価が安値圏にある中で、ある日、大幅に下落したものの買い戻されて、値を戻すということがあります。このような値下がり後の反発のようないってこいは、相場の底堅さを示しており、下値のめど、底打ちを示している場合があります。
イベントを受けてのいってこい
相場に重大な影響を及ぼすイベントが発生した場合、一旦株価などは大きく値下がりをすることがあります。しかし最初のパニック的な売りが収まる頃には、イベントの相場への影響が実は軽微なのではないかとの見方が広がって、買い戻す動きが急激に広がり、短期間で値を戻すことがあります。
例えば、自然災害、地域紛争、大きな事件、金融ショックなどの発生が挙げられますが、イベント発生後には、大きく下落してなかなか値が戻らない場合と、大きく下落した直後に切り返して値を戻す場合があります。
大幅な下落の後、値を戻していってこいとなった場合は、イベントの影響は小さいと判断されたか、最終的には復興・復旧などによって持ち直すと判断されたことになります。
勢いを変えるような材料によるいってこい
値動きについて一方向への勢いが出ていたものの、相場の流れを変えてしまうような材料がでることで、いってこいとなることがあります。
例えば、景気が良いと思われていたのに悪い経済指標が発表された、金融緩和が行われるとみられていたのに行われなかった、選挙結果が予想に反するものとなったなどのように、サプライズとなるような材料があると相場の流れが変化して、株価などがいってこいとなることがあります。
まとめ
- いってこい(行って来い、往って来い)とは、投資で用いられる場合、値上がり後に値下がりして元の価格水準に戻ってくること、あるいは値下がり後に値上がりして元の価格水準に戻ってくることを意味します。
- いってこいとなるような場合、単なる日々の変動が反映されたものである可能性もありますが、相場の転換点を示している可能性や上値や下値のめどを示唆している可能性があるため注意が必要です。