タームプレミアムとは
記事作成日:2018年4月30日
最終更新日:2021年9月4日
タームプレミアム(Term Premium)とは、期間(Term)に対する上乗せの期待収益率(金利・利回り)を意味します。債券では、償還までの残存年限が短い短期債よりも、残存年限が長い長期債の方が金利(利回り)は高くなる傾向がありますが、これは償還期間の長いことに対して投資家がより高い金利(利回り)を求めるためで、期間に対するプレミアムが上乗せされているからであると考えられます。
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償還までの期間が長いと価格変動リスクや流動性リスクが高まる
期間に対するプレミアム、上乗せ金利が発生する理由は、償還までの期間が長くなると保有期間が長い分だけ価格変動リスクが大きくなること、償還まで保有し続けることで資金が拘束されることや、換金がしづらくなることから流動性リスクが大きくなることが背景にあります。
タームプレミアム、期間に対する上乗せ金利は、償還までの期間が長いことによって発生する価格変動リスクや流動性リスクに対するプレミアム、上乗せ金利であると考えることができます。
投資家は同じ利回り(金利)であれば、価格変動リスクや流動性リスクが低い銘柄を選択するため、価格変動リスクや流動性リスクが高い分利回り(金利)が高くないと投資家が投資をしないのです。
短期の債券を繰り返し購入するより長期の債券を一度買う方が利回りは高くなる
例えば、10年間債券に投資することを考えます。1年ごとに残存年限が1年の債券の購入を繰り返すのと、1回だけ残存年限10年の債券を購入する場合を比較すると、長期債を1回だけ購入する方が利回りは高くなります。
残存年限が1年の債券の利回りは年率0.1%、10年の債券の利回りは年率0.6%とすると、残存1年の債券を購入し続けると年あたり0.1%の利回り、残存10年の債券を1度購入すると年あたり0.6%の利回りになります。
逆イールドとなるような特殊な状況でない限り、残存年限が短い債券よりも長い債券の利回りが高くなります。これがタームプレミアムなのです。
長期金利と短期金利とタームプレミアムの関係
長期金利の構成要素は市場参加者が予測する政策金利(短期金利)に償還までの残存期間に応じたタームプレミアムであると考えることができます。つまり次のような関係であると考えることができます。
長期金利=将来予想される短期金利(政策金利)+タームプレミアム
タームプレミアムは基本的にプラス
タームプレミアムは基本的にはプラスの値となります。価格変動リスクや流動性リスクに応じた上乗せの金利なので、リスクがあれば通常プラスとなります。
ただし、例外的に長期金利が短期金利を下回る、一見するとタームプレミアムがマイナスとなる場合があるのです。このような状態を逆イールドと呼びますが、将来の景気後退の可能性による金融緩和などが市場金利に織り込まれた結果発生する現象です。
そもそも、本質的にタームプレミアム自体がマイナスになったのではなく、他の要因が関係しているためにタームプレミアムがマイナスになっているように見える状態です。
まとめ
- 債券では満期まで期間(残存年限)が長くなると、価格変動リスクや流動性リスクが大きくなります。価格変動リスクや流動性リスクがある分、投資家が要求する利回り(金利)が高くなりますが、この上乗せ金利がタームプレミアムなのです。
- 長期金利の構成要素について、「将来予想される短期金利(政策金利の予測)+タームプレミアム」と考えることができます。