資産効果とは
記事作成日:2020年3月16日
最終更新日:2021年9月10日
資産効果とは、株価上昇など保有している資産の価格が上昇することによって、個人の消費意欲が刺激されて個人消費が増える効果を意味します。企業の設備投資意欲などに対しても同様の効果があります。また、資産価格の上昇や下落とは無関係に、単に保有している資産が多くなると、個人消費が多くなるという意味で資産効果という言葉が用いられることがあります。
スポンサーリンク
資産効果は利益を確定させなくても発生する
資産効果は株価上昇などによって含み益が増えることによって発生し、実際に株式などの資産を売却して利益を確定しない場合でも、含み益が増えるだけで発生します。もちろん、実際に価格が上昇した株式などの資産を売却すれば、その現金の収入分だけ購買力が増えることから消費が増えると考えられます。しかし、株式などの資産を売却しなくても含み益が増えることで、お金を使って足りなくなったら資産を換金すればいいと考え、消費意欲が高まる場合があります。
資産効果は株式のほか不動産などでも発生する
資産効果は株式などの金融資産だけではなく、不動産などの実物資産でも同様です。例えば、住宅ローンの返済が終わっていない自宅不動産の価値が高まれば、いざとなったら自宅を売却して住宅ローンを返せばよいと考えられるようになるので、お金を使うことへの心理的な抵抗が小さくなります。
資産効果は株価上昇の場面で用いられることが多いですが、株式に限らず、資産価格が上昇する場合に用いることができます。
株価上昇時は資産効果がさらなる株価上昇要因となる
個人資産に占める株式の割合が大きい国、つまり株式投資が活発な国では、株価上昇時には資産効果によって個人消費が活発になり、株価上昇がさらなる株価上昇要因となる好循環を生み出す場合があります。株価が上昇すると、個人消費が活発になり、企業業績が拡大するため、さらに株価が上昇するといった具合です。
不動産価格が上昇したバブル経済も資産効果に支えられている部分があります。不動産価格が上昇すると、消費が活発になり、ますます不動産投資が活性化するというような形です。
資産価格が下落すると逆向きの効果が発生する
資産効果は株式や不動産などの資産価格が上昇している間は良いのですが、何らかの要因によって株価や不動産価格の上昇が止まり、下落が始まってしまうと逆の効果を生み出すことになってしまいます。資産効果の反対の言葉は逆資産効果ですが、資産効果とは逆の効果が発生することになります。
株価や不動産価格などの資産価格は安定しているとは言えないため、資産効果の影響が大きくなると経済は不安定な要因を抱えることになると考えることもできます。
まとめ
- 資産効果とは、保有している株式や不動産などの資産価格が上昇することによって、個人の消費意欲や企業の設備投資意欲が刺激されて消費や設備投資などが活発化する効果のことを意味します。
- 株価が上昇すると資産効果によって個人消費が増加し、企業業績拡大によってさらに株価が上昇するという好循環が生まれる場合があります。