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イールドカーブコントロール(YCC)とは・効果や株価や為替への影響

記事作成日:2020年7月1日

イールドカーブコントロール政策とは、政策金利として短期の金利だけではなく、長期の金利も操作目標の対象として、制御(コントロール)を行う金融政策のことを意味します。2016年9月に日本銀行が導入し、日本銀行のイールドカーブコントロールは「長短金利操作」とも呼ばれます。イールドカーブコントロールは英語にすると「Yield Curve Control」なので頭文字を取って「YCC」と言われることもあります。

従来の金融政策における政策金利は、基本的に短期金利を誘導・制御の対象としていましたが、イールドカーブコントロール政策は短期の金利だけではなく、長期の金利も誘導するが特徴です。短期と長期の金利をコントロールするということは、イールドカーブ全体をコントロールすることにつながるため、イールドカーブコントロールと呼ばれています。なお、イールドカーブとは、債券の満期までの残存期間と利回りの関係をグラフ化した利回り曲線のことを意味します。

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イールドカーブコントロール政策導入の目的と効果

イールドカーブコントロール政策を導入して目的・効果として、金融緩和の効果を高めるため金利全体の水準を低く抑えるということのほかに、マイナス金利の副作用となっていた銀行や保険会社、年金などの資産運用難を緩和するということがあると考えられます。また、意図された目的かどうかは分かりませんが、国債需給の緩みによる金利上昇を防ぐ効果が事実上発生していると考えられます。

金利を低い水準に抑え景気を刺激する効果

イールドカーブコントロールでは、短期と長期の金利をコントロールするため金利を低い水準に抑えて、貸出を促すことによって景気を刺激することができます。従来のように主に短期の金利に働きかけるように政策金利の変更を行う場合、長期の金利は市場の取引状況によって変動するため、必ずしも中央銀行が期待した水準で落ち着くとは限りませんでした。しかし、長期の金利もコントロールの対象とする事によって長期金利を低い水準に抑えることが出来、金融緩和の景気刺激効果を高めることができると考えられます。また、景気を刺激することによって物価の上昇を促す効果も期待できると考えられます。

マイナス金利による資産運用難の緩和する効果

マイナス金利政策などによって金利が下がり過ぎてしまうと、預金を原資として運用を行う銀行、保険料を原資として運用を行う保険会社、将来の年金の支払いのために運用を行う年金基金などが低い利回りで資産運用を迫られることになってしまいます。そうなると、金融機関の経営が圧迫される、年金資産の不足により企業財務の重荷になるという弊害が出てきます。そのため、イールドカーブコントロールにより、短期と長期の目標水準に差をつけて、イールドカーブを立たせ(スティープ化させ)、長期金利の過度なマイナスを防ごうとしているのです。

国債需給の緩みによる悪い金利上昇を抑制する効果

政府が大規模な財政出動を行う場合、増税を伴わないのであれば国債の増発によって財源を確保する必要があります。景気刺激などを目的として国債を大量に発行した場合、国債の大量発行による供給の増加により国債需給が緩み金利が上昇する恐れが出てきます。いわゆる財政赤字の拡大による「悪い金利上昇」と呼ばれる現象です。

国債発行によって国債需給が緩み、潜在的に「悪い金利上昇」が起きやすい状態になっていたとしても、イールドカーブコントロールを行うことによって長期金利の水準を誘導することによって、過度な長期金利の上昇を抑制できると考えられます。

急激な市場金利の上昇が起こると、投資家が不安を感じ、国債を一斉に手放し、金融市場が混乱する恐れがありますが、イールドカーブコントロールは市場の動揺を事前に予防しているとも考えられます。

イールドカーブコントロールの株価への影響

イールドカーブコントロールと株価の関係については、イールドカーブコントロールが何を目的として行われるかにもよりますが、金利の極端な低下を防ぎ、金融機関や年金の資産運用で利回りを確保することを手助けする場合は、金融機関の経営や確定給付型の企業年金を行っている企業の財務を支援することにつながるため、株価を支える要因になると考えられます。

また、イールドカーブコントロールが金利の抑制による景気刺激効果を狙ったものである場合には、景気が刺激されれば企業業績が改善することから株価の上昇が期待できます。

イールドカーブコントロールに「悪い金利上昇」を防ぐ効果がある場合、金融市場の混乱を事前に回避していることになるため、目には見えない株価支援効果があると考えられます。

イールドカーブコントロールの為替レートへの影響

イールドカーブコントロールと為替レートの関係についてです。為替レートの2国間のうち、1つの国がイールドカーブコントロールを導入している場合と、2つの国がイールドカーブコントロールを導入している場合に分けて考えます。

1つの国がイールドカーブコントロールを導入している場合

ある国が単独でイールドカーブコントロールを行い、金利を低水準に抑えた場合、その国の通貨安要因となります。例えば、日本がイールドカーブコントロールを行っていると、米国金利が上昇しても日本の金利はつられて上昇することがなくなるため、日米金利差が拡大し円安ドル高が起きやすくなります。

2つの国がイールドカーブコントロールを導入している場合

2つの国がイールドカーブコントロールを導入している場合、その2国では金利水準がほぼ固定されるため、金利差が変化しなくなります。そのため、その2国間の為替レートは市場金利の動向、金利差によっては変化しなくなります。

考えられる為替レートへの影響としては、金利差が変化しなくなるため、為替レートの動きが小さくなるということが考えられます。

一方で、為替変動要因の1つである金利差による影響が小さくなると考えると、他の為替変動要因の影響が相対的に強くなることから、経常収支や物価上昇率などを反映した動きが強まるということも考えられます。

為替レートの変動要因は複数あるため、その時々の市場の状況によって動きは変わると考えられます。

まとめ

  • イールドカーブコントロールとは、政策金利として短期の金利だけではなく、長期の金利も操作の対象としてコントロールを行う金融政策です。
  • イールドカーブコントロールは、低金利による景気刺激効果や年金などの資産運用難の緩和効果などがあります。

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【イールドカーブコントロール(YCC)とは・効果や株価や為替への影響の記事は終わりです】

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