イールドレシオとは
記事作成日:2018年4月15日
最終更新日:2021年9月6日
イールドレシオとは、直訳すると「利回りの比、割合」という意味になりますが、債券の利回り(長期金利)を株式の利回り(株式益利回り)で割った値のことをいい、株式の利回りを基準とすると単位は倍になります。イールドレシオで株式と債券の相対的な割高感・割安感を分析することができます。イールドレシオ(yield ratio)のイールド(yield)とは「利回り」、レシオ(ratio)とは「比、比率、割合」を意味します。
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イールドレシオの計算式
イールドレシオは債券の利回りを株式の利回りで割って求めます。計算式は次のようになります。
イールドレシオ=債券の利回り(10年国債利回り)÷株式の利回り(株式益利回り:1株当たり利益÷株価)
イールドレシオで用いる債券の利回り
債券の利回りは通常長期金利の指標となる10年国債利回りが用いられます。10年国債利回りは、取引量も多いため価格形成が適正に行われていて指標性があることなどから、債券を代表する利回りとしてふさわしいと考えられます。
イールドレシオで用いる株式の利回り
株式の利回りは通常株式益利回りを使用します。株式益利回りとは、1株当たり利益÷株価、1株当たりの利益の株価に対する割合を示したものです。1株当たり利益は株主に利益を還元する原資となるため、株式益利回りは、株式を代表する利回りとしてふさわしいと考えられます。
イールドレシオの使い方・見方
イールドレシオによって株式と債券の相対的な割高感・割安感を判断することができます。
イールドレシオが高い場合
イールドレシオが高い場合とは、債券の利回りが相対的に高いとことを意味しており、相対的に債券が割安で株式が割高となります。
イールドレシオが低い場合
イールドレシオが低い場合とは、債券の利回りが相対的に低いことを意味しているため、相対的に債券が割高で株式が割安となります。
イールドレシオの計算例
例えば、10年国債利回りが3.0%、株式益利回りが1.5%の場合はイールドレシオは3.0÷1.5=2.0(倍)となります。10年国債利回りが0.5%、株式益利回りが2.0%の場合は0.5÷2.0=0.25(倍)となります。
この2つの場合を比較すると、イールドレシオが2(倍)の時は債券が割安で株式が割高、0.25(倍)の時は債券が割高で株式が割安、となります。
イールドスプレッドとイールドレシオの共通点と違い
イールドレシオに類似する概念としてイールドスプレッド(yield spread)があります。イールドスプレッドは、債券の利回り(10年国債利回り)から株式の利回り(株式益利回り)を差し引いたものです。つまり、割ったのか、引いたのかの違いがあります。一方で、債券と株式の利回りを比較し、株式と債券の相対的な割高感・割安感を分析する点は共通です。
- イールドレシオ:債券利回り÷株式利回り
- イールドスプレッド:債券利回り-株式利回り
イールドレシオを使う際の注意点
イールドレシオはイールドスプレッドと異なり、比、割合、倍率の計算を行っているため、イールドレシオの比較対象の10年国債利回り(長期国債利回り)または株式益利回りの値が極端な値となった場合(0に近くなる、マイナスになる)には、債券と株式の比較が難しくなる(イールドレシオの解釈が難しくなる)場合があることに注意が必要です。
まとめ
- イールドレシオとは、10年国債利回り÷株式益利回りによって示される利回りの比率となり、単位は倍として表示します。
- 債券と株式のイールドレシオが高い場合は相対的に債券が割安で魅力度が高いことになり、イールドレシオが小さい場合には相対的に株式が割安で魅力度が高いことになります。