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ヘッジファンドの戦略の種類や投資方法とメリット・デメリット

記事作成日:2017年9月11日
最終更新日:2022年1月7日

ヘッジファンドの戦略の種類や投資方法とメリット・デメリット

ヘッジファンドとは何かということや、ヘッジファンドの特徴、ヘッジファンドの戦略の種類、ヘッジファンドの投資方法、ヘッジファンド投資のメリットとデメリットについてです。ヘッジファンドは伝統的な株式・債券投資に代わるオルタナティブ投資(代替投資)の1つで、先物取引などの活用によってリスクを抑えてリターンを追求することが特徴です。

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ヘッジファンドとは

ヘッジファンドとは、先物取引などの金融デリバティブ(金融派生商品)などの取引手法を活用することでより高いリターンあるいは低いリスクを目指して運用が行われるファンドです。ヘッジファンドは年金や富裕層などまとまった金額の投資ができる投資家を対象としたファンドです。ヘッジファンドのヘッジ(hedge)とは損を防ぐ、避けるというような意味があります。

ヘッジファンドの特徴

ヘッジファンドの特徴についてです。

通常私募形式のファンドで多額の資金が必要

ヘッジファンドは通常私募形式で資金が集められます。ヘッジファンドへの投資は最低でも1千万円単位の多額の資金を投資する必要があります。年金基金や富裕層がヘッジファンドに投資を行います。

多様な資産に投資

ヘッジファンドでは、伝統的資産である株式や債券に限らず商品や金融デリバティブなどにも投資をします。特に金融デリバティブのうち先物取引を活用することによって買い(ロング)と売り(ショート)のポジション(持ち高)を作ることに特徴があります。

上昇相場と下落相場の両方で利益の機会

ヘッジファンドは、金融デリバティブの活用によって、買いだけではなく売りのポジションを持つことによって、相場が上昇している時だけでなく、下落している時にも利益が得られることがあります。伝統的な投資方法で買いだけを行っている場合には、相場が上昇している時は利益が得られますが、下落している時には利益を得ることができません。

レバレッジを活用

ヘッジファンドは、借りた資金によってレバレッジ投資を行うことがあります。手持ち資金以上の投資を行うことでより大きな利益を得ることができる場合があります。

リターンやリスクは低いものから高いものまで様々

ヘッジファンドにはリスクの抑制を目指したヘッジファンド、リスクをとって高いリターンを目指すヘッジファンド、安定した収益を追求するヘッジファンドなど、多様なリターン・リスクの特性のファンドがあります。ヘッジファンドだからハイリスクとも限らないのです。

絶対収益追求型

ヘッジファンドは特定のベンチマークなどを持たずに、絶対的な収益を追求することになります。ベンチマークがある株式のアクティブファンドの場合には銘柄選択によってベンチマークを上回ったか、下回ったかが大事になり、市場全体がマイナスとなり絶対収益がマイナスとなっていてもベンチマークを上回っていれば評価されることになります。

しかし、ヘッジファンドの場合は、戦略が特徴的であることから参照すべき良いベンチマークが見当たらず、絶対的なリターンがプラスかマイナスかで評価されるも多く、相場環境に関わらず利益を上げることが求められます。

ヘッジファンドの投資戦略の種類

ヘッジファンドの投資手法についてです。ヘッジファンドの投資戦略には様々な種類の戦略がありますが、大きく分けると相場見通しに基づいて投資を行う方向性戦略、銘柄間などの相対的な価格差に着目して割安な銘柄を買い割高な銘柄を売る相対価値戦略、企業買収などのイベントに着目して利益を狙うイベントドリブン戦略があります。

方向性戦略(ディレクショナル・タクティカル)

ヘッジファンドの運用者の相場の見通しに基づいて投資を行うのが方向性戦略です。株式ロングショート、グローバルマクロ、マネージドフューチャーズ(CTA)などがあります。

株式ロングショート

割安な銘柄を買い(ロング)割高な銘柄を売る(ショート)が必ずしも市場中立を目指さずに投資、ロングやショートに偏る場合があります。

グローバルマクロ

グローバルなマクロ(経済)の見通しに基づいて、株式・債券・通貨・商品などを売買します。割安な市場の投資対象資産を売却し、割高な市場の投資対象資産を購入します。

マネージドフューチャーズ(CTA)

株式・債券・通貨・商品などの先物売買を活用して投資します。システム的な取引が行われることが特徴で、相場のトレンドを追う傾向があります。

相対価値戦略(レラティブバリュー)

関連する銘柄の相対的な価格差に注目して、割安な銘柄を買い、割高な銘柄を売ることによって利益を得ることを目指す戦略で、株式マーケットニュートラル、債券アービトラージ(裁定取引)、転換社債アービトラージ(裁定取引)などがあります。

株式マーケットニュートラル

買いと売りを同程度行い市場に対して中立(ニュートラル)な売買を行います。市場の変動の方向に関わらず利益を上げることを目指します。

債券アービトラージ(裁定取引)

債券の銘柄間の価格差に注目して割安な銘柄を購入し、割高な銘柄を売却する裁定取引です。

転換社債アービトラージ(裁定取引)

転換社債を用いた裁定取引で、株式と転換社債の価格差に注目して裁定取引を行います。

イベントドリブン戦略

イベントドリブン戦略は資産価格に影響を与えるイベント(出来事)に注目して利益を狙う戦略です。企業の買収(M&A)、経営破綻、事業再編などのイベントに着目します。ディストレス、M&Aアービトラージ、スペシャル・シチュエーションなどがあります。

ディストレス(ディストレスト)

経営破綻企業に投資を行います。企業の再生によって価格が上昇した時点で売却することで利益を得ます。

M&Aアービトラージ(リスクアービトラージ)

企業買収に着目して投資を行います。企業の買収の前後の価格差などに注目して利益を得ます。

スペシャル・シチュエーション

事業再編など株価などに影響を与えそうな企業の出来事に着目して投資を行い、利益を得ることを目指します。

ヘッジファンドへの投資方法

個人投資家がヘッジファンドに投資する場合には、大きく分けると投資信託の形で提供されているヘッジファンドを購入するか、海外のヘッジファンドを購入するかという2つの方法があります。投資信託の場合は、少額の資金からの投資が可能です。

海外のヘッジファンドを購入する場合には数千万円単位の資金が必要になります。また、手続き面でも煩雑になります。日本では投資助言会社を利用して海外のヘッジファンドを直接購入することがよく行われています。

  • 投資信託になったヘッジファンドを購入
  • 海外のヘッジファンドを購入

ヘッジファンド投資のメリット

ヘッジファンドに投資するメリットについてです。

絶対収益追求型で上昇・下落の両方向の相場で収益の機会がある

ヘッジファンドは、先物取引などの金融デリバティブを活用して投資するため、買いだけではなく売りも行います。そのため、相場の方向が上昇、下落のどちらであっても利益を得られる可能性があります。ヘッジファンドは絶対収益追求型なので、相場動向に関わらず絶対リターンがプラスとなるように目指して運用が行われます。

多様な資産への投資で分散効果がある

ヘッジファンドは株式や債券だけでなく、商品や金融デリバティブにも投資を行います。価格変動の連動性(相関係数)が低い資産を組み合わせて投資することによって分散効果を得ることができ、ポートフォリオのリスクを低減することができます。

ファンドマネージャーの専門性を活用できる

ヘッジファンドはファンドマネージャーの知識・経験を活用したり、システムを活用したりして投資が行われます。ヘッジファンドに投資することでファンドマネージャーの専門性、システムトレードのノウハウを活用することができるのです。

ヘッジファンド投資のデメリット

ヘッジファンド投資のデメリットについてです。

日本ではヘッジファンドへの投資自体が難しい

日本ではヘッジファンドへの投資自体がやや難しいことがデメリットです。日本にはヘッジファンドが少ないことから、海外のヘッジファンド投資も含めて検討することになりますが、海外のヘッジファンドに投資するのは通常の個人投資家には敷居が高いと言えます。投資信託となっているヘッジファンドは数が限られていますし、手数料の面でも課題があります。

流動性・換金性が低い

ヘッジファンドは流動性・換金性が低い傾向があります。ヘッジファンドの解約には制限がかかっている場合があり、自由なタイミングで換金できない場合があります。また、相場が急変した場合には、通常の解約期間よりも長い期間換金できない場合があります。

中身が分かりづらい

ヘッジファンドは、様々な投資手法を駆使しているため、ヘッジファンドの中身が分かりづらくなっています。また、ヘッジファンドは情報の開示が限られている場合があります。そのため、どのような場面で上昇・下落するのか分かりづらく、ヘッジファンドに全てお任せと行った投資になりがちです。

報酬(手数料)が高い

ヘッジファンドは通常の投資信託などと比較しても報酬率(手数料率)が高い傾向があります。また、利益に応じた成功報酬が設定されている場合があります。特に国内向けに投資信託の形になっているヘッジファンドの場合には信託報酬が高いため、コストによって利益がほとんどなくなってしまうリスクもあります。

ファンドマネージャーのリスク

ヘッジファンドは中核となるファンドマネージャーが属人的な才能によって運用している場合があります。中核となる重要なファンドマネージャーがいる場合には、ファンドマネージャーが病気や退職など何らかの理由で運用を行わなくなった場合に、ヘッジファンドが機能しなくなる可能性があります。

まとめ

  • ヘッジファンドは先物取引などの活用によって相場動向に左右されず絶対収益を追求することが特徴ですが、換金性・流動性が低いことや中身が分かりづらいことなどに注意が必要です。
  • ヘッジファンドの戦略には、大きく分けると相場見通しに基づいて投資を行う方向性戦略、銘柄間などの相対的な価格差に着目して割安な銘柄を買い割高な銘柄を売る相対価値戦略、企業買収などのイベントに着目して利益を狙うイベントドリブン戦略があります。

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【ヘッジファンドの戦略の種類や投資方法とメリット・デメリットの記事は終わりです】

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