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マーケットニュートラル戦略とは・メリットとデメリット

記事作成日:2019年2月22日
最終更新日:2022年1月3日

マーケットニュートラル戦略とは

マーケットニュートラル戦略とは、買い(ロング)と売り(ショート)を同額組み合わせることによって、市場全体の価格変動の影響(β)から中立となるようにし、個別銘柄固有の価格変動の影響(α)だけを受けるようにする投資戦略のことを意味します。割安と思われる銘柄を買い、割高と思われる銘柄を売ります。

マーケットニュートラル戦略では、同じ金額の買いと売りを組み合わせますが、投資銘柄が少ないと市場全体の価格変動の影響を排除しづらいため、売り(ショート)では株価指数先物の売り建てがよく利用されます。

マーケットニュートラル戦略はヘッジファンドの投資戦略の1つで、市場の価格変動に左右されず、個別銘柄固有の価格変動の影響を受けます。

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マーケットニュートラル戦略の仕組み・特徴

マーケットニュートラル戦略では、買い(ロング)と売り(ショート)を同じ金額行い、市場全体の価格変動から中立(ニュートラル)になるようにします。

例えば、株式Aと株式Bを買い、同じ金額だけ株式Cと株式Dを売るといったような感じです。

  • 株式A:買い(25%)
  • 株式B:買い(25%)
  • 株式C:売り(25%)
  • 株式D:売り(25%)

投資開始から一定期間経過後の騰落率が、株式Aは▲1%、株式Bは▲2%、株式Cは▲4%、株式Dは▲5%となり、株式市場全体では▲3%だったとします。この場合の上記投資の利益は、株価が下落すると売りは利益となるため、(▲1%×25%)+(▲2%×25%)+(4%×25%)+(5%×25%)=+1.5%となります。

市場全体の価格変動はマイナス(▲3%)でしたが、売りと買いを組み合わせて市場全体の価格変動の影響を中立化し、個別銘柄固有の価格変動による利益を得ることができました。

この場合の+1.5%は、株式Aの市場全体の価格変動からの超過収益(▲1%-▲3%=+2%)、株式Bの市場全体の価格変動からの超過収益(▲2%-▲3%=+1%)、株式Cの市場全体の価格変動からの超過収益(▲3%-▲4%=+1%)、株式Dの市場全体の価格変動からの超過収益(▲3%-▲5%=+2%)を投資ウエイト(各25%)で加重平均したものです。

この場合、市場全体の価格変動の影響(β)が▲3%、銘柄固有の価格変動の影響(α)が+1.5%となり、β部分をなくし、α部分のみを享受しています。

なお、通常は売りには個別銘柄を用いないで、株価指数の先物を用います。次のようなイメージです。

  • 株式A:買い(20%)
  • 株式B:買い(10%)
  • 株式C:買い(10%)
  • 株式D:買い(10%)
  • 株式指数先物:売り(50%)

マーケットニュートラル戦略のメリット

マーケットニュートラル戦略のメリットには、市場全体の価格変動の影響を受けず、リスクを抑えることができることなどがあります。

市場全体の価格変動の影響を受けない

マーケットニュートラル戦略では、買い(ロング)と売り(ショート)を同じ金額行うことで市場全体の価格変動の影響から中立になるようにします。そのため、市場全体の価格変動に関わらず、利益を上げることができます。市場全体の価格が下落した場合でも、マーケットニュートラル戦略では関係がないため、株価全体が下落していても利益を得られることがあるのです。

リスクが小さくなる

マーケットニュートラル戦略は、買いと売りを同じ金額行うため、買いと売りで価格変動が一部相殺され価格変動の影響が緩やかとなり、リスクが小さくなります。

株式市場全体が大きく変動していても、マーケットニュートラル戦略では市場全体の価格変動の影響は打ち消され、個別銘柄固有の価格変動の影響のみが残るため、相対的にリスクが小さくなりやすいのです。

マーケットニュートラル戦略は絶対収益追求型の戦略となります。

個別銘柄の割安・割高に注目すればよい

マーケットニュートラル戦略は、市場全体の価格変動からは中立となり影響を受けなくなります。そのため、市場全体の価格が上昇するか、下落するかということに注意を払う必要がなくなり、個別銘柄が割安か割高かということを分析するだけで良くなります。

市場全体の動きが悪く、価格の下落が続いている場合でも、マーケットニュートラル戦略は利益を上げられる可能性があるのです。

マーケットニュートラル戦略のデメリット

マーケットニュートラル戦略のデメリットは、リスクが抑えられる分だけ利益も少なくなりやすいということなどが挙げられます。

利益は少なくなりやすい

マーケットニュートラル戦略は市場全体の価格変動の影響から中立となるため、価格変動リスクの影響を受けづらくなり、損失を抑えることができます。一方で、利益も抑えられることになるため、大きく儲けるのは難しくなることがあります。

マーケットニュートラル戦略は大きな儲けを狙うというよりも、リスクを抑える戦略であるため、大きく稼ぎたい場合にはあまり向いていない場合があります。

市場全体の価格変動は利益にならない

マーケットニュートラル戦略では、市場全体の価格変動の影響を受けないようにするため、市場全体が値上がりしても、値下がりしても関係ありません。そのため、市場全体が値上がりした場合でも利益にならず、利益を得る機会を逃してしまうこともあります。

売買手数料の負担感が強い

マーケットニュートラル戦略は価格変動リスクを抑えるため、儲けが出る場合でも少なくなりやすいです。そのため、儲けに対して売買手数料などのコストの負担が相対的に大きな割合となり、コスト面での負担感を感じやすくなります。

マーケットニュートラル戦略はリスクを抑えられますが、儲けが少なくなる分、売買手数料などのコストの発生によって、最終的な利益が少なくなるため、あまり稼げない場合にはコストに負けてしまう可能性があります。

売りができる必要がある

マーケットニュートラル戦略では、買い(ロング)と売り(ショート)を行うため、売り(ショート)ができる必要があります。取引をしようとする資産で売り(ショート)が可能かどうか、売りが可能な場合には個人投資家でも売りができるかということを確認する必要があります。

信用取引では、取引を行おうとする人の審査が行われる場合があり、利用できない場合もあります。

多額の投資資金が必要

マーケットニュートラル戦略では、買いと売りを同じ金額行うことによって市場全体の価格変動の影響を打ち消します。買いや売りの銘柄が少ないと、市場全体の価格変動を再現しづらいため、複数の銘柄に投資できるよう投資資金が必要になります。また、売りで指数先物を利用する場合はやはり一定の投資金額が必要になります。

投資金額が少ない場合はマーケットニュートラル戦略のポジションを構築できない場合があります。

まとめ

  • マーケットニュートラル戦略とは、買いと売りを同じ金額だけ行い、市場全体の価格変動の影響を受けないようにして、個別銘柄固有の価格変動の影響のみを受けるようにした投資戦略を意味します。
  • マーケットニュートラル戦略は、市場全体の価格変動の影響を受けず、リスクが小さいことがメリットですが、リスクが小さいため利益も少なくなりがちで、売買手数料などのコストの負担が重くなりがちなことがデメリットです。

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【マーケットニュートラル戦略とは・メリットとデメリットの記事は終わりです】

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