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インフラ投資の施設の種類やメリットとデメリット・リスク

記事作成日:2017年9月12日
最終更新日:2022年1月1日

インフラ投資の施設の種類やメリットとデメリット・リスク

インフラ施設とは何か、インフラ施設の特徴や種類、インフラ投資のメリットとデメリット・リスク、インフラ投資の方法についてです。インフラ投資とは、経済や社会の基盤となるインフラ施設に直接的あるいは間接的に投資を行うことです。インフラ施設の例としては、道路、鉄道、空港、発電所、パイプライン、学校、病院などが挙げられます。

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インフラとは・インフラ投資とは

インフラとインフラ投資についてです。

インフラとは

インフラとは団体や組織の基盤・下部組織という意味があるインフラストラクチャー(infrastructure)の略語で、経済や社会の基盤となる施設・設備のこといいます。

インフラ施設には、経済的な基盤(経済インフラ)となる道路、橋、トンネル、鉄道、河川、港湾、空港、発電所、送配電施設、ダム、ガス・石油のパイプライン、上下水道、ゴミ処理施設、放送・通信施設や社会的な基盤(社会インフラ)となる学校(教育施設)、病院、介護施設、刑務所、警察署、公園、公営住宅などがあります。

また、政府関係施設や軍関係施設をインフラに含める場合があります。なお、送電は発電所から変電所に電気を送ることをいい、配電は変電所から家庭や工場など利用者に電気を送ることをいいます。

インフラ投資とは

インフラ投資とは、インフラ施設に直接的あるいは間接的(インフラ投資法人による投資信託(いわゆるインフラファンド)など)に投資することです。インフラ投資は、株式や債券に投資する伝統的な投資手法に対して、オルタナティブ投資(代替投資)の一種とされます。

インフラ施設の特徴

インフラ投資の投資対象となるインフラ施設の特徴についてです。

経済・社会活動に必要な施設

インフラ施設は経済・社会活動に必要な施設であるため、安定的な稼働を見込みやすくなります。もちろん、運輸やエネルギーなどは景気変動によって需要が変化することがありますが、生活のために必要不可欠なインフラ施設であれば、景気変動の影響を受けづらく、安定的な稼働が期待できます。

制度・規制に守られていることが多い

インフラ施設や経済や社会の基盤となる施設であるため、無秩序な建設・設置を認めると、経済活動や社会活動に支障が生じてしまいます。そのため、法律などにより制度・規制が整備され、何らかの保護を受けている場合がほとんどです。

建設・設置には多額の資金が必要

インフラ施設は大規模な施設となることが多いため建設・設置のために多額の資金となることが多いです。多額の資金が必要であるからこそ、投資家による資金提供の機会がある一方で、安易にインフラ施設の建設・設置に参入できないようになっています。

インフラ施設は実物資産である

インフラ施設は、金融資産とは異なり、現物・実物がある実物資産です。そのため、インフラ施設自体に価値が生じることになります。また、インフラ施設には実物があるために、自然災害などによって損傷するリスクや、運営中に不具合や故障が発生するリスクがあります。

インフラ施設の種類

インフラ施設は大きく経済的なインフラ施設(経済インフラ)と社会的なインフラ施設(社会インフラ)に分けることができます。経済インフラは、インフラの機能に着目して輸送関連インフラ、エネルギー・公益関連インフラ、通信関連インフラの3つに分けることができます。

インフラ施設の種類

インフラ施設の種類をまとめたものが次の表です。

投資対象となるインフラ施設
種類
経済インフラ輸送道路、橋、トンネル、鉄道、港湾、空港
エネルギー・公益発電所、送配電施設、パイプライン、ダム、上下水道
通信放送施設、通信施設、衛星、ケーブル
社会インフラ学校、病院、刑務所、政府関連施設、軍事施設

(出典)「よい家計」運営者作成

インフラ施設のリスクの高低の順番

一般に、社会インフラの方が経済インフラよりもリスクが少ないとされます。また、経済インフラの中でも規制が強いインフラ施設、公益性が高いインフラ施設はリスクが小さいとされます。利用動向に左右されやすいインフラ施設はリスクが高いとされます。

リスクの大きさ:社会インフラ<規制・公益性が強い経済インフラ<利用動向に依存する経済インフラ

インフラ施設の利用料・収入

インフラ施設の料金を徴収する相手については、道路や鉄道、港湾、発電所など利用者から料金を徴収するような場合と、学校など行政などの公的機関から料金を徴収するような場合があります。また、利用者と公的機関の両方から料金を徴収するような場合があります。

インフラ施設の収入を得る方式については、インフラ施設の利用度合いに応じて収入を得る方式(変動収入)と、インフラ施設の提供に対して固定的な収入を得る方式(固定収入)があります。

利用者から料金を徴収する場合には、利用者の需要の大きさによって収入が変化します。景気の変動によって利用動向が変化する施設の場合には、景気変動の影響を受けやすくなります。行政など公的な機関から料金を徴収する場合には、安定的な収入になりやすい傾向があります。

インフラ施設の事業段階

インフラ施設には事業段階として、開発・設計・建設などを行い操業に至っていない開発段階(ブラウン・フィールド)と、実際に操業を行う運営段階(グリーン・フィールド)があります。

開発段階では、インフラ施設が予定通り完成に至るかどうかが不確定な部分が残る上、完成していないため実際にどのくらいの利用者がいるのかなども不透明な場合があります。ただし、実際に完成すればインフラ施設に大きな価値が生まれる可能性があり、インフラ施設の売却によって多額の売却益(キャピタルゲイン)が得られる場合があります。

運営段階では、実際にインフラ施設の運営が始まっていて、インフラ施設は収入がある状態になります。インフラ施設の種類にもよりますが、開発段階よりは安定した収入が期待できるため、開発段階よりは相対的にリスクが低くなります。

インフラ施設の所在地域

インフラ施設の所在地域については、大きく分けると先進国と新興国に分けることができます。

先進国では制度や規制が整えられていて、政治的にも安定していることから、制度・規制面のリスクが小さいと言えます。また、先進国ではインフラ施設が十分に整備されていることが多いため、運営段階の投資案件が多くなります。

新興国では制度や規制が不十分で、政治的に不安定な場合もあるため、インフラ施設への投資は制度・規制面のリスクが大きくなります。また、新興国ではインフラ施設が十分に整備されていない場合があるため、開発段階、運営段階の両方の投資案件があります。

インフラ投資のメリット

インフラ投資のメリットについてです。

安定的な収入が期待しやすい

インフラ施設は、経済的・社会的に必要とされる施設であるため、運営が始まれば安定的な収入を期待しやすいと言えます。ただし、需要を読み違えてしまうと思ったような収入が得られない場合があります。

景気変動に左右されづらい場合がある

インフラ施設の種類にもよりますが、インフラ施設の収入は景気動向に左右されづらい場合があります。そのため、景気の変動の影響が少ない場合があります。

株式などとのリターンの連動性が低い

インフラ投資からのリターンは株式投資からのリターンとの連動性が低い(相関係数が小さい)傾向があるため、インフラ投資を組み入れることによって、分散投資の効果が得られる場合があります。

実物資産なのでインフレに対応できる可能性がある

インフラ施設は実物資産なので、物価が上昇することに伴ってインフラ施設自体の価値が上がる可能性があるほか、インフラ施設の利用料金も物価上昇に伴って引き上げられることによって、利用料金の収入面でも物価上昇への対応が可能となります。そのためインフラ施設への投資からのリターンもインフレに対応できる可能性があります。

インフラ投資のデメリット・リスク

インフラ投資のデメリット・リスクについてです。

開発段階の場合は利益が得られるか不透明

インフラ投資において、開発段階にあるインフラ施設に投資する場合には、そもそも予定通りインフラ施設が完成するかがわからないため、利益が上げられるかどうか不透明な部分があります。

開発段階の場合は利益を得るまで時間がかかる(Jカーブ効果)

インフラ投資においては、開発段階でインフラ施設に投資する場合には、インフラ施設が完成して操業を開始するまでは利用者から料金を徴収することができず、インフラ施設自体も売却が難しいです。そのため、インフラ投資から利益を得るまでに時間がかかる場合があります。

このことはJカーブ効果と呼ばれる場合があり、投資してからしばらくは利益がなく(キャッシュフローはマイナス)、時間の経過によって利益を上げられるようになる(キャッシュフローがプラス)収益構造のことをいいます。

インフラ投資のJカーブ効果

インフラ施設の評価が難しい

インフラ投資の投資対象となるインフラ施設について評価することが難しいため、インフラ投資は難しいと言えます。どのようなインフラ施設であればより多くの収入を得ることができるのか、リスクが少ないのかなどは、インフラ施設に詳しくならないと妥当な評価が行えない場合があります。

インフラ施設の流動性・換金性は低い

インフラ投資で投資するインフラ施設の流動性・換金性は低い傾向があります。売却に強い規制がかかっている場合があり、インフラ施設の売却までに時間がかかる可能性や、思うような価格で売却できない可能性があります。そのため、インフラ施設に投資するファンド自体も流動性・換金性が低い場合があります。

インフラ施設に想定通りの需要がないリスクがある

インフラ施設は、利用者から利用料金を徴収する場合と、政府などから利用料金を徴収する場合がありますが、特に利用者から利用料金を徴収する場合には、想定通りの需要がなく、インフラ施設を利用者が少なくなってしまった場合、思うような収益が上げられない場合があります。事前の想定よりも利用者が少ない道路、鉄道、空港などが考えられます。

また、政府などから利用料金を徴収する場合でも、利用者が極端に少ない場合は、施設の運営自体が必要なくなってしまうリスクがあります。

インフラ施設に許認可取り消しリスクがある

インフラ施設は、政府の許認可を受けて開発・建設が行われる場合があります。

あらかじめ政府の許認可を受けてインフラ施設の開発・建設に乗り出した場合でも、開発段階にある場合には政府の政策変更、反対活動の激化、政権交代などによって許認可が取り消されてしまうリスクがあり、インフラ施設が完成に至らない場合があります。

また、運営段階においても同様にインフラ施設の許認可が取り消されてしまい、運営が困難となる場合があります。酷い場合には、施設が接収されてしまい、国有化されてしまうようなリスクがある場合もあります。

インフラ施設に関する制度・規制の変更リスクがある

インフラ施設は、何らかの制度・規制によって保護されている場合があります。インフラ施設に関連する制度や規制が変更された場合には、インフラ施設の運営が困難となったり、インフラ施設の収入に影響を受けたりする可能性があります。

例えば、施設の設置基準が変更されたり、再生エネルギー発電所が発電した電力の買い取り価格が引き下げられたりするなどといったことが挙げられます。

インフラ施設は自然災害・人為的な災害などによる損傷のリスクがある

インフラ施設は、地震、津波、噴火、台風(ハリケーン、サイクロン)、竜巻、大雨、洪水、土砂災害、落雷、大雪、山火事などの自然災害による損傷のリスクがあります。

また、事故、反政府運動、テロ活動、地域紛争などによる人為的な災害によって損傷するリスクがあります。インフラ施設が被害を受け操業に影響が出る場合にはインフラ投資からの収益が減少する可能性があります。

インフラ施設・設備の不具合・故障リスクがある

インフラ施設では、事前に一定の割合で施設・設備の不具合が発生することを想定して、修理・維持・更新費用を考慮して運営に当たりますが、想定していた以上に不具合・故障が発生し、予定していた以上の支出が発生してしまうことがあります。

例えば、発電施設の耐久性が想像以上に低く、頻繁に故障が発生してしまい、取り替え費用がかさんでしまうような事例を挙げることができます。

インフラ施設・設備が陳腐化してしまうリスクがある

インフラ施設は、時代の変化によっても利用形態が変わらない可能性が高いインフラ施設と、技術の発展などによって需要が変化する可能性があるインフラ施設があります。

インフラ施設は相当程度の長期間にわたって運営される場合が多いですが、インフラ施設によっては時間が経つことによって技術面などで陳腐化してしまい、経済的あるいは社会的に十分な価値を提供できなくなる、あるいは競争力を失ってしまう結果、収入が低下してしまうリスクがあります。

インフラ投資の投資信託は手数料が高い傾向

個人投資家がインフラ施設に投資する場合には、インフラ施設に投資している投資信託を購入する方法が考えられます。しかし、インフラ施設に投資する投資信託は信託報酬などの手数料が高い傾向があり、継続して保有することによって信託報酬の手数料負担が重くのしかかってくることになります。

海外案件の場合は為替リスクがある

インフラ施設の所在場所が海外の場合には現地通貨で利用料が徴収されることになるため、日本円とするために為替変動リスクがあります。

特に新興国にインフラ施設がある場合で、新興国通貨建てでインフラ施設の収入がある場合には、新興国通貨の為替変動リスクがあることになります。

インフラ施設への投資方法

個人投資家がインフラ施設に投資する場合には、大きく分けると太陽光発電施設などに個人で投資可能なインフラ施設に直接投資する方法、インフラ施設に投資するファンド(投資信託(インフラ投資法人による会社型投資信託など))に投資する方法、インフラ関連株式に投資する方法などが考えられます。

  • 太陽光発電施設などに直接投資
  • インフラ施設に投資する投資信託に投資
  • インフラ関連株式に投資

まとめ

  • インフラ投資とは、経済や社会の基盤となるインフラ施設に投資を行うことです。インフラ施設の例としては、道路、鉄道、空港、発電所、パイプライン、学校、病院などが挙げられます。
  • インフラ投資には安定的な利益を得やすい、景気変動に左右されづらい、株式などとの相関が低く分散投資になるなどのメリットがあります。一方で、インフラ施設の利用者の需要が少ないリスク、施設が損傷するリスクなどがあります。また、インフラ投資の投資信託は手数料が高い傾向があるなどの課題もあります。

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【インフラ投資の施設の種類やメリットとデメリット・リスクの記事は終わりです】

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