米国株式投資のメリットとデメリット
記事作成日:2019年11月15日
最終更新日:2021年12月6日
米国株式投資のメリットとデメリットについてです。米国は今後も人口増加が見込まれ、経済成長が続くと期待されていることから米国企業は恵まれた環境下にあると言えます。日本の場合は人口減少が懸念されているので、日本企業と比べると米国企業は成長が期待できるということが大きなメリットとなります。一方、米国株投資では為替変動リスクを負うことや為替手数料が発生することなどがデメリットとなります。
スポンサーリンク
米国株式投資のメリットや特徴
米国株式投資のメリットや特徴として米国経済は人口増加を背景に成長が期待できること、投資対象銘柄の幅が広がること、外国株の中では比較的情報を得やすいことなどが挙げられます。
米国はしばらく人口増加が続く予測になっており成長が期待できる
日本では少子高齢化や人口減少が問題になっていますが、米国では今後もしばらくの間人口増加が続く予測になっています。人口が減少すると需要の減少を招いてしまうため、海外市場で稼ぐ力がなければ利益が頭打ちになってしまいます。
日本の企業は今後国内の市場が縮小していくため厳しい経営環境にさらされることになりますが、米国では今後も人口増加が続き市場の拡大が見込まれるため、相対的に業績拡大を見込みやすい経営環境下にあると言えます。利益が伸びれば株価も上昇しやすくなります。
米国企業は高い国際競争力を持つ企業がいくつもある
米国企業は国際的な市場で地位を確立していて国際競争力が高い企業が多く存在するため投資対象として魅力的であると言えます。世界的に有名な企業も多く、日本でもよく知られている企業がたくさんあります。
競争力が高い企業は安定した売り上げを確保でき、利益の成長も期待できるため、株価の上昇や配当金を見込みやすいと考えられます。
分散投資になる(地域分散)
米国株式を選択肢に加えることによって、投資地域の分散を行うことができます。もちろん、国内株式と米国株式では同じ株式なので、債券など別の資産を加える時と比べると分散効果は限られますが、日本株だけに投資する場合と比べると米国株にも投資をすることで投資対象を分散することができます。
日本株投資だけの場合はかつてのバブル崩壊などのように日本の株式市場が低迷した場合に大きな痛手を受けてしまうことがありますが、投資地域を分散していれば世界同時不況のように国際的に株価が低迷するような場合でなければ損失を軽減できる可能性があるのです。
投資対象となる銘柄の選択肢が広がる
米国株式を投資対象に加えることで銘柄選びの幅が広がります。日本株投資だけの場合には基本的に日本の企業の中から選んで投資をしなければいけませんが、米国株式投資を選択肢に加えると米国の企業にも投資できるようになるので銘柄選びの幅が広がることになります。
米国企業は日本企業とは異なる事業領域を有していることもありますし、国際的な企業も多いので、投資したいと思える銘柄を見つけやすくなる可能性があります。
新たな企業が登場し大きく成長することがある
米国では革新的な商品やサービスを抱えるベンチャー企業が生まれ、大きく成長することがあります。もちろん、日本でも新たに生まれて成長した企業は数多くあるのですが、国際的な規模にまでなる例は多くはありません。しかし、米国の場合はベンチャー企業が世界的な規模まで成長するような事例が数多くあるため、成長の潜在力がある銘柄を発掘することができれば、大きな値上がり益を手に入れられる可能性があるのです。
米ドルは基軸通貨で比較的動きが安定している
外国株投資をする時に為替ヘッジをしないのであれば、避けて通れないのが為替の問題です。外国株投資をする場合には日本円から米ドルなど外国通貨に交換する必要がありますが、為替レートは基本的に変動するため、為替によって利益を得られる場合もあれば、損失を出してしまうことがあります。
通貨の中には為替レートが不安定で変動が大きいものもありますが、米ドルは国際的な為替取引の中心となる基軸通貨であり、米国の軍事力や経済力を背景に米ドルは通貨価値が比較的安定しています。米ドルは極端な下落に見舞われてしまい為替差損が大きく膨らむリスクは相対的に小さくなるので、不安定な通貨と比べると投資がしやすいことになります。
米国企業は株主還元を重視する傾向がある
企業の成長段階や利益の状況にもよりますが、米国企業は日本企業よりも株主への還元を重視する傾向があるため、相対的に高い配当利回りを得られる場合があります。
米国企業の経営者は株主の資本からいかに効率的に利益を上げることができるかということを重視しているため、株主の利益を大切にしていると言えます。いわゆるROE経営(ROE:自己資本利益率=当期利益÷自己資本)と呼ばれるものです。
配当の回数が多い
日本の株式の場合、配当は期末配当の年1回、または中間配当と期末配当の年2回という場合が多いですが、米国の場合は四半期ごとに年4回配当が行われることが多いです。
もちろん配当の原資となる利益が出ていなければ十分な配当はできませんし、どの程度株主に還元するかも重要なので、単純に配当回数が多いから得であるとは限らないことに注意が必要です。
米国株式市場は取引が活発で流動性がある
米国株式市場には米国国内からだけではなく、世界中から投資資金が集まり、活発な売買が行われるので十分な流動性があります。多くの投資家が取引に参加しているので、極端に歪んだ価格形成が起きづらく、流動性の少なさから極端な値動きになることも少なくなるので、比較的安心して取引をすることができます。また、流動性が高いことから取引も成立しやすいと言えます。
1株の売買単位から投資ができる
日本株の場合は基本的な売買単位は100株で株価の水準によっては10万円以上のまとまった資金が必要になる場合もあります。しかし、米国株式は1株から投資が可能で売買単位が小さいため少額でも投資が可能です。
もちろん、為替手数料や売買手数料などがあるため、少額の投資ではコストが大きくなってしまい、割が合わない場合もありますが、少額でも投資がしやすいということは米国株のメリットになります。
外国株式の中では比較的情報が得やすい
米国株式市場や米国企業に関する情報は関心がある人も多いので日本語に翻訳されているものが数多くあります。米国株式は外国株式の中では日本語で情報が比較的得やすいと言えます。
そのため、英語が苦手でも日本語に翻訳された情報だけで米国株式投資をすることができます。アメリカに関するニュースは証券会社に限らず、一般のニュースサイトでも読むことができるので、情報収集は比較的容易です。
また、実際に米国投資をしている人の投資の実例や経験談がサイトやブログ、SNSなどで豊富にあるので、投資の参考にすることもできます。
米国株式は取り扱っている証券会社が多く投資がしやすい
米国株式は取り扱っている証券会社が多いため、日本からの投資が容易です。多くの証券会社が米国株式を取り扱っているので取引条件を比較して取引がしやすい証券会社を選んで取引をすることができます。
また、外国株式投資では、海外から投資規制が強くそもそも外国人投資家の投資が困難であったり、資金の移動に強い規制がかけられていたりすることがありますが、米国株式市場は海外投資家にも開かれた取引がしやすい市場になっています。
米国株式投資のデメリットやリスク
米国株式投資のデメリットとして為替変動リスクがあること、外国為替手数料の負担があること、詳しい情報は英語でないと得られないことなどが挙げられます。
為替変動リスクがある
米国株式投資では、為替ヘッジによって為替変動リスクを回避しない限り為替変動リスクがあります。米国株式に投資している間に為替レートが円高ドル安となった場合には、円換算した価値が下落してしまうため為替差損が発生する可能性があります。米国株式投資は米国株価とは別に為替でもリスクを負うことになるのです。
米国株式の取引手数料がかかる
国内株式の取引と同様に米国株式でも購入や売却の際に取引手数料が発生します。通常は米国株式の売買手数料の方が国内株式の売買手数料よりも高くなる傾向があるため、国内株式よりも手数料負担が大きくなります。
取引をする証券会社によって取引手数料の水準は大きく異なるため証券会社選びが重要になります。取引手数料が少なくなればその分だけ利益が大きくなる、または損失が少なくなります。
外国為替の手数料がかかる
米国株式に投資する場合、日本円を米国ドルに交換してから投資を行うことになりますが、投資を開始するため日本円を米ドルに換える、投資を終えてから米ドルを日本円に戻すという時に為替レートに含まれる外国為替手数料(スプレッド)を負担することになります。
国内株式であれば外国為替に関するコストの負担はありませんが、米国株式の場合は外国為替の手数料の負担があることに注意が必要です。為替コストが大きい場合、株式投資の利益が少なくなってしまうことがあるため注意が必要です。
直接的な情報発信は英語で行われる
最近は日本語で米国株式に関する情報を得ることが容易になりましたが、米国株式に関する情報は基本的に英語で行われて、その一部が日本語に翻訳されて日本語で読むことができるようになります。米国株式について豊富でタイムリーな情報、詳しい情報を得ようとすると英語の情報を探さなければいけなくなります。
もちろん、日本語で得られる情報だけでも米国株式投資は可能ですし、十分な利益を上げられる可能性はあるのですが、基本的には英語での情報発信であることに注意が必要です。
配当金が米国と日本で二重課税される
米国株式の配当金に対しては、米国と日本で二重に課税されてしまします。ただし、確定申告を行い外国税額控除の適用を受けると所得税や住民税から米国で配当金に対して課された税額を差し引くことができます。外国税額控除の適用を受けるためには確定申告が必要であること、差し引く所得税や住民税が発生していることに注意が必要です。
なお、NISA(少額投資非課税制度)では、一定の範囲内で国内の配当課税が非課税となりますが、外国税額控除の適用を受けることはできません。
値幅制限(ストップ高・ストップ安)がない
日本では、株式の1日の値幅に制限が設けられていて、株価が制限の上限に達するとストップ高となりその日はそれ以上上昇しなくなります。逆に株価が制限の下限に達するとストップ安となりその日はそれ以上下落しなくなります。もちろん、投資家からの売りが殺到していれば翌日以降も下げていくのですが、値幅制限があることによって短期間で急激な株価の変動が起きないようになっていますし、時間が経過することによって投資家が冷静になれるので極端な上昇や下落が抑制されることになります。
米国株式市場では値幅制限(日本のようなストップ高やストップ安)がないので、1日の値上がり幅が大きくなる可能性がありますが、値下がり幅も大きくなる危険性があります。
ただし、市場の急変時にはサーキット・ブレーカーと呼ばれる一時的な取引停止措置があります。
まとめ
- 米国株投資のメリットには米国経済は人口増加を背景に成長が期待できる、投資対象銘柄の幅が広がる、比較的情報を得やすい、投資がしやすい、などがあります。
- 米国株投資のデメリットには為替変動リスクがある、為替手数料の負担がある、詳しい情報は英語でないと得られない、などがあります。