配当利回りとは
記事作成日:2018年4月18日
最終更新日:2021年12月3日
配当利回りとは、1株当たりの1年間の配当金の株価に対する割合を示したものです。利回りとは投資によって得られた収益の投資金額に対する割合を示したものですが、株式の利回りとして配当利回りが用いられることがあります。ただし、配当利回りは株式から得られる収益のうち、配当金だけに絞った利回りですので注意が必要です。
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配当利回りの計算式・求め方
配当利回りは次の計算式のように配当金を株価で割ることによって求めることができます。
- 配当利回り=1株当たりの1年間の配当金÷株価
配当については通常1年間の配当金総額を用います。また、配当は過去の実績の配当金を用いる場合と、将来の予想の配当金を用いる場合があります。投資判断を行う場合には将来の予想が重要になるため、将来の予想配当金を用いた配当利回りが使われることも多いです。
実際には最終的に手にする配当金は税金や手数料等が差し引かれた金額となる場合がありますが、配当利回りの計算上は税金等を差し引かないで計算することが一般的です。
配当利回りの計算例
例えば、1株当たりの1年間の予想配当金が10円、株価が500円の場合10÷500=0.02=2.0%となります。
配当利回りに基づく投資の注意点
配当利回りに注目して投資する時の注意点についてです。
高い配当利回りの銘柄は選好される場合がある
一部の投資家は配当利回りを基準に投資を行っています。高配当銘柄を好んで投資する投資家が一定数いるのです。そのため、高配当利回りの銘柄が選好されて、株価も堅調な推移となることがあります。
ただし、投資スタイルには流行りの波があるため、高配当利回りの銘柄が常に調子がいいという訳でもありません。なお、高配当銘柄は株価が上昇しやすい傾向があるという現象はアノマリーとしても市場で認識されています。
株価が下がると配当利回りは上がる
配当利回りは「配当利回り=配当金÷株価」から分母である株価が下がると上がることに注意が必要です。短期間で急激に株価が下がった場合は、配当の修正が追いついておらず、高い配当利回りとなっていることがあります。
高い配当利回りだから魅力的だと思って買ってみたら、実は業績が悪化していて、予想された配当も出なかった、ということもあり得ます。
株式市場全体でも株価が急落すると配当利回りが押し上げられます。株価の下落に合わせて予想配当金がすぐに変わるわけではないからです。過去の実績の配当で配当利回りを計算する場合はもちろん過去の実績の配当は変わらないため、株価が下がると配当利回りは上がります。
配当による利益は株価変化でなくなる可能性がある
配当利回りに注目した投資は、安定した利益を生み出すようにも見えますが、配当による利益以上に株価は大きく変動するため、株式の配当金に注目した投資をしても、債券のような安定的な利益を生み出すことは通常困難です。
そのため、配当利回りだけでなく、株価の変動も踏まえて株式投資を行うことが大切です。配当金をたくさんもらっても、配当金以上に株価が下落して損失を出したら意味がないからです。
無理して配当を出す場合がある
配当利回りが高い場合、企業の実力以上に高い配当となっていないか注意が必要です。高い配当金は投資家の関心を集めるため、敢えて無理をして高めの配当を実施する企業もあります。また、企業経営者にとっても高い配当を出していれば、株主からも支持が得やすくなるため、自らの地位を守りやすくなります。
配当利回りが市場の平均値や同業他社などと比較して高い水準になっている場合には、実力に見合わない配当を実施していないか注意する必要があります。
配当が予想の場合その通りになるとは限らない
予想配当金を用いた配当利回りの場合、配当が予想通り実現する保証はありません。業績の悪化などを背景に配当金は突然減額されたり、配当自体が中止されたりすることがあります。
配当利回りに注目して投資していても、配当自体がなくなってしまうと前提がそもそも間違っていたことになってしまいます。特に配当利回りが高い銘柄は株価下落によって配当利回りが高くなっている場合があり、株価が下落している銘柄は業績が悪化している可能性があることに注意しなければいけません。
株主優待と合わせて考える必要がある
日本では株主優待と呼ばれる、株主に対して自社商品や自社商品の割引券・優待券などを提供する制度があります。株主優待を金額に換算した場合、相当高額となる場合があり、配当の利回りだけでなく、優待の利回りも見ておかないと投資判断を誤ってしまうことがあります。
配当利回りは高くても、優待の利回りを考慮するとそれほど魅力がないということも考えられます。逆に配当利回りが低くても、優待の利回りは高いということも理論上あり得ます。
まとめ
- 配当利回りとは1株当たりの1年間の配当金を株価で割ったものです。配当金は実績の配当金額が用いられる場合と、予想の配当金額が用いられる場合があります。
- 株価が下落すると配当利回りは上がるため、高い配当利回りだからという理由だけで投資をすると判断を誤ることがあります。