経済成長率と株価の関係
記事作成日:2015年12月11日
最終更新日:2022年2月26日
国の経済成長率は、その国で事業活動を行う企業の株式の魅力度を探る上で重要なヒントになります。基本的には経済成長率が高い国の株価は中長期的に上昇しやすく、経済成長率が低い国の株価は中長期的に上昇しづらいと言えます。ただし、短期的は市場の振れが大きいため、経済成長率以外の要因で大きく株価が変動することがあり、直接的な関係を見い出しづらいことがあります。
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経済成長率と株価の関係
経済成長率はEPSを通じて株価に影響があると考えられます。経済成長率は家計や企業、政府などが生み出した付加価値を合計した国内総生産(GDP)の伸び率で示されます。一方で、株価は1株当たり利益(EPS)と株価収益率(PER)をかけたものですが、経済成長率は1株当たり利益(EPS)と関係があります。
通常は経済成長率が高まるほど、企業の業績も拡大します。規模や業種などにもよりますが成長を続けている経済で活動している企業は業績拡大の恩恵を受けやすいからです。つまり、経済成長率が高い国で事業を行っている企業は1株当たり利益(EPS)が高まりやすいため、株価も上昇しやすいと考えることができます。
ただし、個別企業の株価は企業固有の要因や業種固有の要因によっても動くため、1つ1つの企業の株価を経済成長率と結びつけるよりは、多くの企業の株価をまとめた株価指数と経済成長率を結び付けた方がより関係性が分かりやすくなります。
また、短期間でみるよりも中長期的に見た方がより株価と経済成長率の関係が分かりやすくなります。短期的には市場は経済成長率とは関係なく動くことが多いからです。
高い経済成長率と株価
経済成長率が高い国の株価は、企業業績の拡大から1株当たり利益(EPS)が高まりやすいため株価は上昇しやすくなります。ただし、短期的にはGDPと株価の直接的な関係を見い出しづらい場合があります。
低い経済成長率と株価
経済成長率が低い国の株価は、企業業績の拡大が緩やかであるため、1株当たり利益(EPS)も伸びにくく、株価は緩やかな上昇となりやすくなります。
四半期GDPの公表と株価
GDPは重要な経済指標であるため、公表時には短期的な株価変動要因となることがあります。通常は年次のGDPではなく速報性が高い四半期ごとに公表されるGDPが株価材料となります。ただし、四半期GDPは3か月のGDPに過ぎないため特殊要因によって振れが大きい場合があることや、過去の実績を示す指標であることからあまり材料視されない場合もあります。
国ごとの経済成長率は投資先選びに役立つ
株価と経済成長率の関係では、特に経済成長率の予測が重要となりますが、国ごとの経済成長率の予測は国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などの国際的な機関から発表されているものが参考になります。経済成長率の予測は、短期的な株価の変動よりも、中朝的な株価の変動を予測する上で役に立つと考えられます。
先進国は経済成長率が低め
経済の発展が進んでいる先進国は、経済が成熟しており、人口の急激な増加や急速なインフラの整備などがないため、経済成長が低めで、緩やかな経済成長を続けていることが多いです。そのため、株価の上昇は緩やかなものとなりやすい傾向があります。
新興国の経済成長率は高め
経済の発展余地が大きい新興国では、経済の成長が続いていて、多くの場合人口の増加やインフラ整備のための投資の活発化などを背景に高い経済成長率となっていることが多いです。そのため、株価の上昇ペースが早い場合があります。
まとめ
- 経済成長率が高い国の株価は企業業績の拡大を背景に上昇しやすい一方で、経済成長率が低い国の株価は企業業績の拡大が期待しづらい場合があり、株価は緩やかな上昇となりやすいです。
- ただし、短期的には市場の振れが大きいため、経済成長率以外の要因で大きく株価が変動することも多く、経済成長率と株価に直接的な関係を見い出しづらい場合があります。