高配当株とは・高配当株のメリットとデメリット
記事作成日:2020年2月4日
最終更新日:2021年11月30日
高配当株(高配当銘柄)とは、高い配当金が期待できる株式の銘柄のことで、明確な定義はありませんが配当利回りが平均よりも高い銘柄のことを意味します。配当利回りは、配当金の株価に対する割合のことで、「配当金合計÷株価」で求められます。国や市場、株価水準によって平均的な配当利回りの水準が変わってくるので一概には言えませんが、日本の場合は3%以上であれば高い配当利回りであると言ってよいと考えられます。
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高配当株投資のメリット
高配当株に投資するメリットとしては配当金収入が期待できること、高配当株は下落相場で相対的に強い場合があることなどが挙げられます。
株式を売却しなくても配当金が得られる
株価の値上がり益を得るためには保有している株式を売却して利益を確定させる必要があります。利益を実現しない含み益の場合、いつか株価が下落して含み益が吹き飛んでしまうかもしれません。しかし、配当金は株式を保有しているだけで得ることができ、株式を売却する必要がありません。長期間株式を保有したい場合には、売却しなくても配当金による収入(キャッシュフロー)がある高配当銘柄の方が都合の良い場合があります。
下落相場では配当利回りが高くなるため相対的に強い
配当利回りは「配当÷株価」で求めることができます。株式市場全体が下落した場合、株価の下落によって配当利回りを計算する「配当÷株価」の株価の部分が小さくなるため配当利回りは大きくなります。個別の要因によって下落したのではなく、相場全体の下落に流されて高配当銘柄の株価が下落した場合、配当が変わらないという前提があるならば、株価下落によって配当利回りが高まってくると投資家が値ごろ感を感じて買いを入れるようになります。そのため、高配当株は無配株と比べると、下落相場に相対的に強い場合があります。
株価が変動しても配当金が得られる
配当金は業績の影響は受けますが、株価の影響は受けないということもメリットとなります。例え、株価が大きく下落したとしても、業績が悪くなったわけでなければ、配当金は変わらず受け取ることができます。例えば、業績に大きな変化はないものの、海外の株価が下落して投資家心理が悪化したことから株価が下落してしまったような場合、配当金は変わらず受け取ることができる可能性が高いです。高配当銘柄であれば、株価が下落したとしても高い配当金によって株価下落による損失が一部相殺されます。
配当金によって精神的な満足感や安心感がある
株式のリターンは株価の値上がりによるキャピタルゲインと配当金によるインカムゲインを総合的に考える必要があるのですが、配当金によるインカムゲインがあることで、精神的な満足感を得られる場合や安心感を得られる場合があります。現金が手元に入ってくることで利益を得たと実感できますし、資金の残高が増えることで安心感を得ることができるのです。株価の値上がりによるキャピタルゲインを軽視することは合理的ではないのですが、配当金を得ることで精神的な効果があるのです。株価下落時などに心理的動揺を招きづらくなり、冷静な投資判断ができるようになる場合があります。
高配当株投資のデメリット
高配当株に投資するデメリットとしては、成長性が低いため株価の値上がりが期待できない場合がある、配当には税金がかかる、といったことなどが挙げられます。
業績が安定しているが成長性が低い場合がある
継続して高い配当を出せる企業は業績が安定していると言えますが、一方で成熟していて成長性が低い場合があります。そのため、配当は高いものの、株価の上昇はあまり期待できない場合があります。配当が全くでない企業に投資した方が株価の値上がりによって大きな利益を得られる場合もあります。株式からのリターンはインカムゲインの配当だけでなくキャピタルゲインの株価の値上がりもあるので、高い配当に惑わされてはいけない場合もあります。
配当には税金がかかるため再投資の効率が悪くなりやすい
高配当株に投資をして得た配当には通常税金がかかることに注意が必要です。配当で得たお金を再投資しようとする場合には、税金分だけ投資資金が少なくなってしまうことに注意が必要です。もし、仮に配当に回さず企業自身が事業に再投資した場合には配当課税がなく事業の成長のためにお金を使えるため、その分だけ効率的に利益を生み出し株価の上昇につながることがあります。そのため、利益を配当金で株主に還元するよりも、配当を行わず事業に再投資する方が、結果的に株価上昇によって株主の利益が大きくなることがあります。
多額の配当を得るためには多額の投資資金が必要
「配当金=投資金額×配当利回り」となるため、多額の配当金を得ようと思った場合、多額の投資資金が必要となります。配当利回りは高くなると投資家の買いが入るため株価が上昇し、結局配当利回りは抑えられてしまうため、高い配当利回りを狙うには限界があります。そのため、配当金を増やしたい場合は投資資金を増やすことになります。少額の投資資金しか用意できない場合は、少額の配当金しか得られないため、配当金の恩恵を感じづらくなってしまうことがあります。配当で大きな収益を得ることはなかなか難しいです。
配当金を得るまで時間がかかる
日本の一般的な上場企業の場合、配当は年に1回か2回となります。一度、配当金を得てから次の配当金を得るためには半年か1年の期間が必要になります。配当金を狙う場合は長期間待たなければいけないのです。一方、株価は上昇まで時間がかかることもありますが、短期間で上昇することもあります。株価の値上がりを狙う場合と比べると配当金を狙う場合は成果が出るまで時間がかかってしまうことがあるのです。
配当は減ってしまうことや無くなることもある
配当を安定して出していた企業だったとしても、配当は保証されたものではなく、減ってしまう(減配)こともあればなくなってしまう(無配)こともあります。高い配当を出していた銘柄が減配や無配になると、単に配当金が減ってしまうというだけではなく、配当金狙いで投資していた投資家の売り招いてしまい株価の大幅な下落に見舞われてしまうこともあります。高配当銘柄には配当金が減るリスク、無くなるリスクがあるのです。
まとめ
- 高配当株(高配当銘柄)とは、配当利回りが高い銘柄のことを意味します。
- 高配当株は、高い配当金が得られることや相場下落時には配当利回りが上がるため買いが入りやすく相対的に強いことがメリットですが、成長性が低く株価の上昇を期待できない場合があることや配当に税金がかかることなどがデメリットです。