不景気の株高や好景気の株安が起こる理由
記事作成日:2019年4月18日
最終更新日:2022年2月28日
株価と景気の関係は、景気が良ければ企業業績が良くなるので株価が上がり、景気が悪ければ企業業績が悪くなるので株価が下がるという関係があります。つまり、「好景気=株高」、「不景気=株安」が通常の関係です。しかし、不景気であっても株高となったり、好景気であっても株安となったりすることがあり、「不景気の株高」や「好景気の株安」といった言葉があります。不景気の株高や好景気の株安はどうして起こるのかについてです。
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不景気の株高とは
不景気の株高とは、通常は株価が下がると考えられる不景気の局面で株価が上昇基調となることを意味します。景気が悪ければ、物が売れなくなり企業の業績を押し下げるため、理屈では株価は軟調に推移すると考えられます。しかし、景気が悪い局面でも株価が上昇することがあるのです。不景気の株高は中央銀行の金融緩和や政府の経済対策などによって引き起こされることがあります。
不景気の株高はなぜ起こるのか・理由について
不景気の株高が起こる理由は、金融緩和や経済対策が行われることによって、あるいは行われるだろうという期待が生まれることによって将来景気が回復するだろうという思惑が出てくることが挙げられます。また、株価が下落しすぎていて割安感が出ている時も株価は上がりやすくなっています。
金融緩和や経済対策が行われるから
不景気になると中央銀行は積極的に金融緩和を行い、政府は経済対策(景気対策、財政出動)を行います。中央銀行の金融緩和や政府の経済対策が行われると景気は回復に向かう可能性が高まるため、景気の明るい見通しから先回りをして株式を買おうという動きが強まり株高につながることがあるのです。
また、実際に金融緩和や経済対策が行われる前でも、景気が悪くなりすぎるとそろそろ中央銀行や政府が動くだろうという思惑が働き、株価上昇につながることがあります。
金融緩和で株価が上がればいわゆる金融相場となりますが、金融緩和によって、投資家も資金を確保しやすくなり、金融商品にお金が流れ込むと株高が起きやすくなります。
割安感が出ているから
不景気の時には株価が既に大きく下落していることがありますが、売られ過ぎによって割安感が出ていることから買いやすくなっていることも不景気の株高を引き起こす要因になっていると考えられます。
今までのところ歴史的に見て不景気が終わらなかったことはないため、不景気はいつか終わると考えられます。そのため、不景気が終わった後のことを考えると割安なうちに買っておこうという心理が働き、買いにつながることがあるのです。
ただし、単に割安だからというだけでは景気の先行きが暗い場合には一時的な反発になってしまいます。景気の先行きが明るくなりそうな期待が持てる時に不景気の株高は起きやすいと言えます。
好景気の株安とは
好景気の株安とは、通常は株価が上がると考えられる好景気の局面で株価が下落基調になってしまうことを意味します。景気が良ければ、物がたくさん売れるため企業の業績は良くなり、理屈では株価は上がっていくと考えられます。しかし、実際には景気が良い場面で株価の下落局面となることがあるのです。
好景気の株安はなぜ起きるのか・理由について
好景気の株安が起こる理由は、景気のピークが意識されてしまうから、金融引き締めが行われるから、割高感が出てくるからといったことを挙げることができます。
景気のピーク(山)が意識されるから
好景気はいつまでも続くわけではありません。今までのところ、歴史的に見ると好景気と不景気は交互に循環して訪れていて、好景気はいつか終わりを迎えます。株価は景気の先を読んで動くため、例え今景気が絶好調であったとしても、景気のピーク(景気の山)が近い、あるいはもう超えてしまったという思惑が出てくると、先行き景気が悪化することを恐れて株価の値崩れが起こる場合があるのです。
金融引き締めが行われるから
好景気になると、不動産バブルを発生させないため、インフレを抑えるために利上げなどの金融引き締めが行われることがあります。金融引き締めが行われると、景気が冷やされるほか、市場の資金が吸収されて資金の流れが悪くなることから、株式が売られて株価が下落することがあります。そのため、好景気の株安が引き起こされることがあります。
割高感が出てくるから
好景気になると企業業績の改善期待から株価が勢い良く上昇していくことがあります。株価の上昇は時として勢いがつきすぎてしまって、業績から想定される妥当な株価水準よりも高い水準まで上昇してしまい、行き過ぎてしまう、割高となってしまうことがあります。
株価が上がり過ぎてしまって割高感が出てくると、いかに景気が良いからと言ってもそれ以上株価は上がらなくなってしまいます。行き過ぎてしまった場合は、むしろ割高感を修正しようと売られてしまい、株価下落となることがあります。そのため、好景気でも株安局面となることがあるのです。
不景気の株高や好景気の株安は次の景気を先読みした動き
景気が良ければ株価が上がり、景気が悪ければ株価が下がるということが景気と株価の基本的な関係で、一見「不景気の株高」や「好景気の株安」は景気と株価の関係を無視した歪んだ動きであるように思えます。しかし、実際には不景気の先の好景気を見越しているからこそ株高になる、好景気の先の不景気を見越しているからこそ株安になるのであって、ある意味景気と株価の関係を先読みして正しく反映された結果であるとも考えられます。
「不景気の株高」や「好景気の株安」が起こっているということは、景気が次の局面に向かっている兆候である可能性もあって、株価は景気と矛盾しているのではなく、単に先を読んで景気よりも先に動いてしまっているだけなのです。
まとめ
- 好景気であれば株価が上がり、不景気であれば株価は下がるという景気と株価の関係が基本ですが、「不景気の株高」や「好景気の株安」となることがあります。
- 「不景気の株高」は金融緩和によって景気の回復が期待され市場に資金が流れ込むことなどによって発生します。「好景気の株安」は景気のピークアウトへの思惑や金融引き締め、買われ過ぎの割高感などによって発生します。