ザラバ方式と板寄せ方式の値決め・約定方法
記事作成日:2015年8月6日
最終更新日:2021年12月16日
株価は株式市場に参加している投資家の買い注文と売り注文のバランスで決まります。日本の株式市場を例にすると競争売買によって株式の取引が行われています。株式市場における競争売買には、価格優先の原則と時間優先の原則があります。また、株価を決める方式にザラバ方式と板寄せ方式があります。買い注文と売り注文が釣り合う部分で価格が決まります。
スポンサーリンク
価格優先の原則
価格優先の原則では、注文相手にとって一番有利な注文が優先される原則です。
株式を売りたい人にとって見れば、高い価格で買えるほど有利ですので、最も高い価格で買ってくれる人に売りたいはずです。そのため、買い注文は最も価格が高い注文が優先されます。
株式を買いたい人にとって見れば、安い価格で買えるほど有利ですので、最も安い価格で売ってくれる人から買いたいはずです。そのため、売り注文は最も価格が安い注文が優先されます。
ただし、成行注文はいくらでもいいから買いたい、売りたいという注文のため最優先されます。
時間優先の原則
時間優先の原則は、同じ価格ならば早く行われた注文が優先されるという原則です。要は早い者勝ちです。例えば同じ価格の買い注文が2つあった場合、先に行われた注文が優先されるということになります。
ただし、例外があって取引開始前の注文は全ての注文が同時に行われたとみなして取引が行われます。また、取引時間中に売買が停止されてその後再開されるときの最初の価格を決める時も同じようにそれまでの注文が同時に注文されたとみなして価格を決定します。この場合は板寄せ方式によって株価が決まります。
ザラバ方式とは
ザラバとは、取引が始まる寄り(寄り付き)から取引が終わる引けまでの取引が行われている間の立会時間を指します。ザラバ方式とは、ザラバにおける取引の方式で、価格優先の原則と時間優先の原則により売り注文と買い注文が合致したものから次々と取引が成立していきます。
ザラバ方式の具体例
次のような注文が入っていたとします。価格優先の原則から一番安い売り注文と一番高い買い注文が優先されます。この状態では100円で100株の売り注文を出すか、101円で100株の買い注文を出せば即座に取引が成立します。また、成行注文は優先されるので、売りでも買いでも成行注文を出せば取引が成立します。
この状態で101円100株の買い注文を出したとします。101円の売り注文100株との取引が成立します。
取引が成立した株数は板情報から消え、残っている注文が表示されます。
板寄せ方式とは
板寄せ方式は、取引開始時や取引終了時などにおける価格決定方法です。取引が始まる前から注文を受け付けていますが、複数の価格帯に数多くの売りと買いの注文が集まるため、取引時間中の価格決定方法であるザラバ方式ではなく、板寄せ方式によって株価が決定されます。
板寄せ方式では、買いの注文と売りの注文がちょうどバランスよく約定できる価格が約定価格となります。成行注文をまず約定させていき、高い買い注文と安い売り注文を組み合わせて約定させていき、均衡する価格が約定する株価となります。約定価格が複数になるのではなく、ちょうどバランスする価格が約定するすべての注文の約定価格になります。
板寄せ方式の具体例
板寄せ方式のイメージです。取引開始前に次のような注文が入っていたとします。
まず、成行注文が優先されるので買いと売りの成行注文を突き合わせます。ここでは買いの成行が400株で売りの成行が300株なので、300株は約定することになり、買いが100株あまります。
次にあまった買いの成行注文と売りで最も安い100円の注文を突き合わせます。成行注文の次は最も安い売り注文と最も高い買い注文から約定させていきます。ここでは100株が約定することになり、100円の売り注文が100株あまります。
成行注文が無くなったので、最も安い売り注文と最も高い買い注文を突き合わせます。100円の100株の売り注文と101円の400株の買い注文を突き合わせます。100株は約定しますが、101円の買い注文が300株あまります。
ここで最も安い売り注文と最も高い買い注文は同じ101円に残っているので突き合わせます。101円の200株の売り注文と300株の買い注文ですので、200株が約定し買い注文が100株残ります。
この時点で1つの株価に売り注文と買い注文が同時に残ることはなくなっているので最後の101円が約定価格となります。合計で700株約定することになります。寄り付き後の板は成立した注文が除かれて次のようになります。
まとめ
- 株式の取引は通常の取引時間であるザラバでは価格優先の原則、時間優先の原則により買いと売りの注文が合えば次々と取引が成立します。
- 取引開始時点の寄り付きなどでは板寄せ方式で取引が成立しますが、買いの注文と売りの注文がちょうどバランスよく約定できる価格が約定価格となります。