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コーラブル債とは

記事作成日:2019年9月5日
最終更新日:2021年9月14日

コーラブル債とは

コーラブル債(callable bond)とは、発行体が満期前に早期償還することができる仕組債のことを意味します。満期前に早期償還されると、償還後のクーポンの支払いはなくなります。コーラブル債は、投資家にとっては満期前の早期償還リスクがあり、想定していたクーポンが受け取れないリスクがある分だけ、相対的にクーポンの利率が高めに設定される傾向があります。

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コーラブル債の種類

コーラブル債の種類には、いつ繰上償還ができるのかによっていくつかの種類があります。

ヨーロピアン(European)タイプのコーラブル債

ヨーロピアン(European)タイプのコーラブル債とは、あらかじめ決められた日に1回限り早期償還ができるコーラブル債です。

アメリカン(American)タイプのコーラブル債

アメリカン(American)タイプのコーラブル債とは、償還可能となる日から満期までいつでも早期償還ができるコーラブル債です。

バミューダン(Bermudan)(バミューダ(Bermuda))タイプのコーラブル債

バミューダン(Bermudan)(バミューダ(Bermuda))タイプのコーラブル債とは、ヨーロピアンとアメリカンの中間型で、あらかじめ決められた複数回の日に限り早期償還ができるコーラブル債です。

マルチコーラブル債

マルチコーラブル債とは、2回以上早期償還ができる機会があるコーラブル債のことを意味します。

投資家にとってのコーラブル債のメリット

投資家にとってのコーラブル債のメリットは、早期償還されるリスクがある分、相対的に高いクーポン利率が設定されていることです。

コーラブル債は利率が相対的に高い

コーラブル債は発行体が満期前に償還可能であるため、投資家は満期前まで保有できず、期待したクーポンを得られないリスクがあります。そのため、投資商品として魅力が高まるようコーラブル債は通常の債券よりもクーポンの利率が高めに設定される傾向があります。

コーラブル債は条件次第で元本割れがしづらい

コーラブル債の購入価格や満期前や満期時の償還金額の設定内容によって異なる結果となることもありますが、コーラブル債を額面金額以下で購入していて満期前と満期時のいずれも額面金額で償還される場合は発行体の債務不履行など特殊な場合を除けば元本割れをしないことになります。

例えば、額面100円で販売され満期まで20円のクーポンが支払われるコーラブル債で、クーポンが5円支払われた時点で早期償還された場合、15円分のクーポンは受け取れなくなりますが、額面100円で償還されるため、元本割れはありません。

投資家にとってのコーラブル債のデメリット

投資家にとってのコーラブル債のデメリットは金利上昇時に資金が拘束されて他の収益性が高い投資案件に資金を振り向けられない、金利低下時に早期償還されてしまい収益性が高い再投資案件を見つけられない可能性がある、などがあります。

金利低下時に早期償還された場合は利回りが高い再投資先がない場合がある

コーラブル債は市場金利が低下すると発行体が低金利で借り換えできるため早期償還されることがあります。コーラブル債が早期償還された場合、償還されたコーラブル債よりも利回りが高い再投資先を見つけられない場合があります。

例えば、クーポン利率が年5%(販売価格=償還価格なら手数料などを無視すると利回りも5%)のコーラブル債を買ったものの、市場金利が下がって満期前に早期償還されたとします。償還時に受け取った資金で再投資をしようと思った場合、子女金利が低下しているため似た条件のコーラブル債はクーポン利率が年2%のものしか見つけられないといったようなことがあります。

この場合、満期前の早期償還がなければ利回り5%の運用ができたはずなのに、早期償還されたために2%の運用に切り下がってしまうことになります。

金利上昇時に資金が拘束されてしまい投資機会を失うことがある

コーラブル債は市場金利が上昇した場合、発行体は早期償還をしないままの方が資金調達上有利になるため、満期まで償還されないことがあります。そのため、コーラブル債に投資資金が拘束されてしまい、他の利回りが高い投資案件に投資できず、投資の機会損失になってしまうことがあります。

例えば、クーポン利率が年3%のコーラブル債を購入した後で市場の金利が上昇し、同じような条件でクーポン利率が年5%のコーラブス債が発行されたとします。しかし、購入した年3%のコーラブル債は発行体が早期償還をしないため、投資資金が拘束されたままとなり、年5%のコーラブル債には投資できないということが起きます。そうなると2%分の得られたはずの利益が得られないということになります。

早期償還の場合は条件次第で損失となることがある

コーラブル債を額面以上の金額で購入した場合、満期前に早期償還されると損失を出してしまう恐れがあります。例えば、額面が100円で満期まで合計20円のクーポン支払いのコーラブル債があったとします。このコーラブル債を115円で買うと満期まで持ち切れば5円の利益ですが、繰上償還されてクーポンが5円しか支払われなかった場合、10円の損失となります。

ただし、コーラブル債で損失が発生するのは特殊な事例で、額面金額で販売されて、満期前と満期のいずれも額面金額で償還されるようなコーラブル債の場合は早期償還されても損失にはなりません(受け取るクーポンは減少する可能性があります)。

コーラブル債は途中で換金が難しい場合がある

コーラブル債は発行体から償還する権利はあっても、購入者は発行体に償還するように求めることができません。そのため、途中で売却できない限り資金が拘束されることになります。コーラブル債をはじめとして仕組債は流通市場がほとんどないため、途中で売却することが困難です。売却先を見つけられた場合でも安い価格でないと売却できないことがあります。

発行体にとってのコーラブル債のメリット

発行体としては、市場の金利が低下した場合には、コーラブル債を満期前に償還して、新たに別の債券を発行するなどして低い金利での借り換えをすることによって借り入れコストを抑えることができます。逆に市場の金利が上昇した場合には、コーラブル債の満期前の償還をしないことにより、低いクーポンの支払いを続ければよいことになります。つまり、市場金利が上昇あるいは低下した場合に発行体にとって都合が良いのです。

発行体にとってのコーラブル債のデメリット

市場金利が変化しても発行体にとって都合が良いのがコーラブル債ですが、コーラブル債は満期前に償還される可能性があるため、高いクーポン利率を提示しないと投資家から資金を集めることが困難です。そのため、高いクーポン利率を設定しなければならず、資金調達コストが高くなりやすいことが発行体にとってのデメリットです。

まとめ

  • コーラブル債とは、発行体が満期前に早期償還をすることができる仕組債のことを意味します。
  • コーラブル債は、早期償還のリスクがある分だけクーポン利率が高めとなることがメリットですが、早期償還された場合に収益率が高い再投資先を見つけられない可能性があること、金利上昇時に早期償還されず資金が拘束されて投資の機会損失になる場合があることなどがデメリットです。

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【コーラブル債とはの記事は終わりです】

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