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EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とは

記事作成日:2019年8月30日
最終更新日:2021年9月18日

EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とは

EB債(Exchangeable Bond、他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とは、参照する株式の株価が一定価格を上回る場合は満期に額面100%の現金で償還され、一定価格を下回る場合は現物株式で償還する仕組債です。つまり、株価が値上がりしても株価上昇の恩恵は受けられず、株価が下落すると株式を引き受けるため損失が発生する可能性があり、満期の償還は投資家にとって不利になっています。ただし、その分保有期間中の利払いの利率は通常の債券より高めになるように設計されています。早期償還(ノックアウト)やノックインが定められているEB債もあります。

なお、EBのBは債券を意味するbondなので「EB」で債券の意味が含まれますが、日本ではEB債と呼ばれているため重ね言葉になりますが、EB債と表記します。

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EB債の特徴

EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)は、主に元本の償還に特別な仕組みがある仕組債で、あらかじめ対象となる株式などの銘柄を決めておいて、対象の株式の株価が判定時点で一定価格(当初価格や行使価格と呼びます)以上の場合は額面100%の現金で償還し、下回る場合は対象銘柄の現物株式と単元株未満を現金換算した現金調整額で償還します。

参照する株価が上昇しても現金で償還されてしまうので株価上昇の恩恵を受けられない一方、株価が下落すると株式で償還されてしまうため株価下落の損失を負ってしまうため、投資家にとって不利な内容となっています。

しかし、投資家に不利なだけだと投資してもらえないため、保有期間中のクーポンの支払いの利率を高めにすることによって投資家にとっての魅力が高まるよう調整しています。

EB債は債券に他社株のプットオプションの売りを組み合わせた仕組債です。株価が下落した場合には、株式を売られてしまうことと同じ状態になるのです。

EB債は期限前に早期償還する仕組み(ノックアウト)や一定価格以下になると償還条件が変化する仕組み(ノックイン)がある場合があります。

EB債の仕組み

EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)は対象の株式の株価が満期日に近い判定時点であらかじめ決められている一定の価格(当初価格や行使価格)以上であれば額面100%の現金償還、一定価格未満なら現物株式と現金調整額での償還となるのが基本です。判定のための価格(当初価格や行使価格)はEB債発行日の株価を元に決められ、株価がそのまま当初価格になるか、数%調整してから当初価格になります。

EB債の仕組み

早期償還(ノックアウト)があるEB債

EB債は早期償還について定めがある場合があります。株価が上がり過ぎた場合は満期時点でも株価が高い可能性があるため、期限前に償還して利払いを抑える発行体にとって有利な仕組みです。

対象の株価が早期償還判定時点で早期償還判定水準以上になった場合は、満期前ですが、額面100%の現金で償還されることになります。ノックアウトした後の利率(クーポン)の支払いは受けられません。

早期償還(ノックアウト)があるEB債の仕組み

早期償還(ノックアウト)とノックインがあるEB債

一般的にノックインとは特定の条件を満たすと権利が発生すること、ノックアウトとは権利が消滅することですが、EB債では参照する銘柄の株価がノックイン価格以下になると償還条件が変化し、現金ではなく対象銘柄の株式で償還されるようになります。EB債でノックインすると、損失が発生する可能性があるので嬉しくはありませんが、現物株式を受け取る権利が発生することになります。

ノックイン条件があるEB債はノックインが判定される期間中に一回もノックイン価格以下にならなければ、額面100%の現金が償還されます。

ノックインがあるEB債の仕組み(ノックインしない場合)

一方、ノックインの判定期間中に1回でも対象銘柄の株価がノックイン価格を下回ると、基本的に現物株式で償還されるようになります。ただし、EB債の場合は例外があり、対象銘柄の株価がいったんノックイン価格以下になっても、早期償還(ノックアウト)条件を満たした場合は額面100%の現金で償還される場合があります。

また、一度ノックイン価格以下になっても対象銘柄の株価が最終的に一定価格まで上昇した場合、現物株式で償還されても損失が発生しないことになります。ノックイン後、対象銘柄の株価が回復し、大幅に上昇して一定価格を上回った場合は、株式ではなく額面100%の現金で償還される場合があります。また、現金ではなく株式で償還される場合がありますが、その場合は売却しても株価が上昇しているので損失ではなく利益が発生することがあります。ノックイン後に大幅に対象銘柄の株価が上昇した場合の扱いはEB債によって違うため念入りに確認する必要があります。EB債によって、株式で償還するか、額面100%の現金で償還するかが違います。

ノックインがあるEB債の仕組み(ノックインする場合)

EB債のメリット

EB債は元本の償還に関しては投資家にとって不利な仕組みとなっているため、途中の利払いの利率を通常の債券よりも高めに設定することによって投資商品としての魅力を高めています。高い利払いの利率が得られることがEB債のメリットです。ただし、実際には高い利率を考慮しても投資家にとって不利な場合があるため、EB債投資については慎重に考える必要があります。

EB債のデメリット

EB債は元本の償還が投資家にとって不利であるため注意が必要です。

元本の償還が投資家にとって不利

EB債は、参照する株式の株価の動きに応じて元本の償還が現金や株式のどちらかで行われます。基本的に株価が下落した場合は株式で償還され、株価が上昇すると額面100%の現金で償還されるため、投資家にとっては不利になることがデメリットです。元本の償還が投資家にとって不利な代わりに利払いの利率は高めに設定されますが、リスクに見合っているかどうか慎重に見極める必要があります。

債券といいながら株価変動によるリスクがある

対象銘柄の株価が下落して当初価格を下回るかノックインするなどして現物株式で償還される場合は元本割れとなり損失が発生する可能性があることがデメリットです。債券と言いながら、株価変動によって損失を出す可能性があるため、リスクが高いことに注意が必要です。

早期償還される可能性がある

早期償還の条件がついているEB債は対象銘柄の株価が早々に上昇してしまった場合、利払いをほとんど受けられず、元本が額面の100%で償還されてしまうことがあります。EB債のリスクを取ったのに、株価上昇の恩恵を受けられず、利払いもほとんどもらえないような場合は、リスクに見合ったリターンが得られないことになります。

流動性リスクがある

EB債に限らず、仕組債は流通市場がほとんど機能していないため途中での売却が難しいことに注意が必要です。売却をしても売れなかったり、売却できる場合でも安い価格でないと売却できなかったりして、流動性リスクがあります。

まとめ

  • EB債(他社株転換可能債)とは、対象株式の株価が一定価格以上の場合は額面100%の現金で償還され、一定価格未満の場合は現物株式で償還する仕組債です。株価が上昇しても恩恵が受けられない一方、株価が下落すると損失が発生するため、元本償還が不利な仕組債で、その分利払いの利率は高めになっています。
  • EB債の元本の償還は投資家にとって不利であるため、利払いの利率が見合った水準に設定されているか、慎重な見極めが必要です。

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【EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とはの記事は終わりです】

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