リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは
記事作成日:2019年8月20日
最終更新日:2021年9月18日
リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは、債券を購入する際の払い込みと満期の元本の償還が同じ通貨建てで行われ、途中の利払い(クーポンの支払い)が異なった通貨建てで行われる債券のことを言います。例えば、払い込みと元本の償還が円建て、利払いが外貨建てといったような債券がリバース・デュアル・カレンシー債となります。
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リバース・デュアル・カレンシー債のパターン
リバース・デュアル・カレンシー債は「払い込み・償還」と「利払い」が別々の通貨となっていて、次のようなパターンがあります。なお、払い込みと利払いが同じで償還が異なる通貨のものはデュアル・カレンシー債(二重通貨建て債)と言います。
払い込みが円建ての場合
- 払い込み:円
- 利払い:外貨
- 償還:円
払い込みが外貨建ての場合
- 払い込み:外貨
- 利払い:円
- 償還:外貨
リバース・デュアル・カレンシー債の特徴
リバース・デュアル・カレンシー債はできるだけ利回りを高くしたいものの、元本を確保したいという思惑から生まれた仕組債です。元本の償還を払い込みと同じ通貨にすることで、償還に関する為替リスクを回避し、発行体のデフォルトなど特殊な場合を除き、元本が確保できるように設計されています。一方で、保有期間中の利払いに関しては、外貨建てにすることによって利回りを高めています。ただし、利払い部分に関しては為替リスクがあります。
リバース・デュアル・カレンシー債は、異なる通貨間での金利(利払い)部分を交換するクーポンスワップ(円債をベースとする場合)やによって組成されます。
リバース・デュアル・カレンシー債投資のメリット
リバース・デュアル・カレンシー債投資では、購入時の払い込みが円建ての場合、満期時の元本の償還も円建てとなるため、元本を確保しやすくなっており、安全性を重視する投資家でも投資しやすいことがメリットです。
元本が円建てなので元本割れしづらい
リバース・デュアル・カレンシー債は、日本円で購入時に払い込みをする場合、元本の償還も円建てとなります。そのため、発行体のデフォルトなど特殊な状況を除けば元本割れするリスクが小さいため、安全性を重視する投資家にとって投資しやすい投資対象となります。
海外の高い金利を利用すれば利回りが高くなる
リバース・デュアル・カレンシー債を利用すれば、海外の金利が高い国の高金利のメリットが得られるようになります。日本の金利水準が低く、海外の金利水準が高い場合には、クーポンスワップによって高い金利で利払いを受けられる可能性があります。日本で通常の債券投資を行う場合よりは利回りが高くなることがあるのです。
リバース・デュアル・カレンシー債投資のデメリット
リバース・デュアル・カレンシー債投資では利払いの部分に為替リスクがあることなどがデメリットとなります。
クーポン(利息)の支払いに関して為替リスクがある
リバース・デュアル・カレンシー債では、購入時の払い込みと償還は同じ通貨で行われますが、利払いは別の通貨で行われます。日本円で購入時の払い込みをする場合は、利払いは外貨建てとなるため利息(クーポン)部分に関しては為替リスクを負うことになります。為替の変動次第では円換算した場合の利息が少なくなってしまうことがあります。
元本部分で為替リスクを取らないので利回りは限定的
リバース・デュアル・カレンシー債は、元本部分で為替リスクを取らない仕組みになっているため、低金利の時に日本円建ての通常の債券投資を行うよりも利回りが高くなる可能性がありますが、利払い部分のみで為替リスクを取るため、利回りはそれほど高くはならないのが現実です。中途半端な投資対象となってしまう可能性があるのです。
流動性リスクが相対的に高い
リバース・デュアル・カレンシー債などの仕組債は基本的に流通市場が発達していないため、途中で売却をしようと思っても思ったように売れないことがあるほか、悪い条件でないと売却できないリスクがあります。
まとめ
- リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは、購入時の払い込みと満期時の償還が同じ通貨で行われる一方、保有期間中の利払いの通貨が異なる債券のことを意味します。
- リバース・デュアル・カレンシー債は、日本円で購入時に払い込みをするものは、満期の償還も日本円となるため、元本割れを回避しやすい仕組みになっており、安全性を重視する投資家でも投資しやすいことが特徴です。