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仕組債の種類と分類

記事作成日:2019年11月5日
最終更新日:2021年9月14日

仕組債の種類と分類

仕組債(仕組み債)は、金融デリバティブなどを利用して、債券の利息や償還に通常の債券にはない特別な仕組みを持たせたもので、様々な種類があります。仕組債は、連動対象が何にかによって分類することができるほか、利息の支払いや元本の償還のどちらに特別な仕組みを持つかによって分類することができます。

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仕組債の種類

仕組債の種類には次のようなものがあります。なお、基本的な債券は特別な仕組みがない固定利付債やゼロクーポン債を想定し、固定利付債やゼロクーポン債以外のものを仕組債としています(転換社債型新株予約権付社債(CB)を除く)。

変動利付債(フローター、フロア、キャップ、カラー)

変動利付債(フローター)とは利息が何らかの金利によって決まる仕組債です。「連動対象の金利±A」%(Aは固定値)のように利息が決まります。利息の利率に下限があるものをフロア付き、上限があるものをキャップ付き、上限と下限があるものをカラー付きということがあります。

ステップアップ債

ステップアップ債とは利息の利率が段階的に上がっていく仕組債です。

ステップダウン債

ステップダウン債とは利息の利率が段階的に下がっていく仕組債です。

リバースフローター債(インバースフローター債、逆変動利付債)

リバースフローター債(インバースフローター債、逆変動利付債)とは利息が何らかの金利と逆の動きをすることで決まる仕組債です。「A-連動対象の金利」%(Aは固定値)のように利息の利率が連動対象とは逆の動きによって決まります。

CMSリンク債(CMSフローター債、CMSスプレッド債)

CMSリンク債とは、スワップレートと別の金利を交換するCMS取引に連動した債券で、スワップレートの変動に応じてクーポンの利率が変化する仕組債です。CMSフローター債はスワップレートに連動して、CMSスプレッド債は2つのスワップレートの金利差に連動してクーポンの利率が決まります。

レンジアクルーアル債

レンジアクルーアル債とは連動対象の金利などが判定時点で一定の範囲内に収まっている場合に特定のクーポンが発生するようになっている仕組債です。

TARN(Target redemption債、ターン)

TARN(Target redemption債、ターン)とは、利息の支払いの累積額が一定値に到達すると、満期前に額面で早期償還される仕組債です。

フィックスフローター債(Fixed-to-Float債)

フィックスフローター債(Fixed-to-Float債)とは、利息の利率が最初は固定金利(Fixed)になっていて、一定期間経過後に変動金利(Float)となる仕組債です。

フリップフロップ債(Flip-Flop債)

フリップフロップ債(Flip-Flop債)とは、連動する指標の推移によって利息の利率がAとBの間で切り替わるような仕組みを持つ仕組債です。日本では、変動金利から固定金利に切り替わるものがフリップフロップ債と呼ばれることがあります。

スノーボール債・スノーブレード債

スノーボール債(snowball)とは、利息の利率が「前回の利息の利率±α」のように前回の利率に影響されて決まる仕組債です。スノーブレード債(snowblade)とは、スノーボールにTARNの仕組みを組み込んだ仕組債です。

コーラブル債

コーラブル債とは発行体が満期前に早期償還することができる仕組債です。

プッタブル債

プッタブル債とは保有者が満期前に早期償還を求めることができる仕組債です。

デュアル・カレンシー債(二重通貨建て債)

デュアル・カレンシー債(二重通貨建て債)とは、満期時の償還が異なる通貨で行われる仕組債です。為替レートの変動によって償還金額の円換算額が変動します。

リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)

リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは、利息の支払いが異なる通貨で行われる仕組債です。為替レートの変動によってクーポンの円換算額が変動します。

パワー・リバース・デュアル・カレンシー債(PRDC債)

パワー・リバース・デュアル・カレンシー債(PRDC債)とは、リバース・デュアル・カレンシー債に変更を加えて、レバレッジを掛けることで利払いの利率を高めた仕組債です。

ジャンプアップ債(スーパーボール債)

ジャンプアップ債(スーパーボール債)とは、連動対象の為替レートの変動によって償還金額が大きく変化する仕組債です。

株価連動債(株価リンク債)

株価連動債(株価リンク債)とは、連動対象の株価の動き次第で利息や償還金額が変動する仕組債です。

デジタルクーポン債

デジタルクーポン債とは、参照する数値が基準を上回ったか、下回ったかによってクーポンの利率がデジタルに(非連続的に、1か0かのように)決まる仕組債です。

EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)

EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とは、対象株価が一定価格以上の場合は額面100%の現金で償還され、一定価格未満の場合は現物株式で償還する仕組債です。

クレジットリンク債

クレジットリンク債とは、企業などの信用に価格が連動する仕組債で、参照する企業などに債務不履行等が発生した場合に債務不履行等による損失の発生分だけ額面から減額されて元本が償還される仕組を持ちます。

コモディティリンク債

コモディティリンク債とは、クーポンの利払いの利率や満期での償還金額が参照する商品指数(コモディティ指数)や商品価格(コモディティ価格)に連動して変化する仕組債です。

リパッケージ債

リパッケージ債とは、既存の債券などから生じる利息や償還金を金融デリバティブなどの活用により別の利息や償還金が生じるように組み替えた仕組債です。

仕組債の分類

仕組債は、仕組債の価格が何に連動するかによってと、利息の支払いと元本の償還のどちらに特別な仕組みを持つかによって分類することが可能です。

  • 仕組債の連動対象による分類
  • 仕組債が利息と償還どちらに特別な仕組みを持つかによる分類

仕組債の連動する対象による分類

仕組債が連動する対象とするものには、主に為替、金利、クレジット、株価、コモディティなどがあります。債券にデリバティブなどの仕組みを組み込むことによって仕組債の利息や元本が為替、金利、クレジット、株価、コモディティに連動して変動するようにしています。仕組債は連動する対象によって、次のように分類することができます。

  • 為替に連動する仕組債(為替系)
  • 金利に連動する仕組債(金利系)
  • クレジットに連動する仕組債(クレジット系)
  • 株価に連動する仕組債(株価系)
  • コモディティに連動する仕組債(コモディティ系)
  • その他の仕組債

為替に連動する仕組債(為替系)

主に為替レートに連動する仕組債には次のようなものがあります。

  • デュアル・カレンシー債(二重通貨建て債)とは
  • リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは
  • パワー・リバース・デュアル・カレンシー債(PRDC債)とは
  • ジャンプアップ債(スーパーボール債)とは
  • 為替TARN(Target redemption債、ターン)
  • デジタルクーポン債(為替連動型)

金利に連動する仕組債(金利系)

主に金利の変動に連動する仕組債には次のようなものがあります。

  • 変動利付債(フローター債、フロア、キャップ、カラー)
  • ステップアップ債
  • ステップダウン債
  • リバースフローター債(インバースフローター債、逆変動利付債)
  • CMSリンク債(CMSフローター債)
  • CMSリンク債(CMSスプレッド債)
  • 金利レンジアクルーアル債
  • 金利TARN(Target redemption債、ターン)
  • コーラブル債
  • プッタブル債
  • フィックスフローター債(Fixed-to-Float債)
  • フリップフロップ債(Flip-Flop債)
  • スノーボール債・スノーブレード債

クレジットに連動する仕組債(クレジット系)

主にクレジット(企業などの信用状況)に連動する仕組債には次のものがあります。

  • クレジットリンク債

株価に連動する仕組債(株価系)

主に株価に連動する仕組債には次のものがあります。

  • EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)
  • 株価連動債(株価リンク債)
  • デジタルクーポン債(株価連動型)

コモディティに連動する仕組債(コモディティ系)

コモディティ価格に連動する仕組債には次のものがあります。

  • コモディティリンク債

その他の仕組債

上記に当てはまらない仕組債としてリパッケージ債があります。リパッケージ債はリパッケージする対象によって何に連動するかが違ってきます。

  • リパッケージ債(リパ債)

利息と償還のどちらに影響するかによる分類

仕組債はデリバティブなどを活用して債券の利息(クーポン)の支払いか元本の償還に通常とは異なる特別な仕組みが組み込まれています。利息と償還のどちらに特徴を持たせているかで仕組債を分けることもできます。ただし、利息と償還どちらにも特別な仕組みを持つものも多いので、主にどちらかという観点で分けています。

主に利息に特別な仕組みを持つ仕組債

主に利息に特別な仕組みを持つ仕組債として次のようなものがあります。

  • 変動利付債(フローター債、フロア、キャップ、カラー)
  • ステップアップ債
  • ステップダウン債
  • リバースフローター債(インバースフローター債、逆変動利付債)
  • CMSリンク債(CMSフローター債)
  • CMSリンク債(CMSスプレッド債)
  • レンジアクルーアル債
  • TARN(Target redemption債、ターン)
  • フィックスフローター債(Fixed-to-Float債)
  • フリップフロップ債(Flip-Flop債)
  • スノーボール債・スノーブレード債
  • リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)とは
  • パワー・リバース・デュアル・カレンシー債(PRDC債)とは
  • 株価連動債(株価リンク債)(クーポン変動型)
  • デジタルクーポン債
  • リパッケージ債

主に償還に特別な仕組みを持つ仕組債

主に償還部分に特別な仕組みを持つ仕組債には次のものがあります。

  • コーラブル債
  • プッタブル債
  • デュアル・カレンシー債(二重通貨建て債)
  • ジャンプアップ債(スーパーボール債)とは
  • EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)
  • 株価連動債(株価リンク債)(償還価格変動型)
  • クレジットリンク債
  • コモディティリンク債(利息の場合もあり)

まとめ

  • 仕組債は、為替、金利、クレジット、株価、コモディティなどどのような指標に連動するかによって分類することができます。
  • また、仕組債は利息や償還に特別な仕組みを持ちますが、利息と償還のどちらに特別な仕組みがあるかによっても分類することができます。

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【仕組債の種類と分類の記事は終わりです】

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