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ATR(TR)とは(計算方法と使い方)

記事作成日:2019年3月23日

テクニカル指標のATRとは「Average True Range」で直訳すると「平均的な真の変化幅」ですが、「実質的な変化幅(変動幅)」というような意味となり、株価などの価格の変動が大きいのか小さいのかを示す指標となります。ATRが大きい場合は価格の変動が大きくなっていて、ATRが小さい場合は価格の変動が小さくなっていることを意味します。ATRは一定期間のTR(True Range)の平均値となります。

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TR・ATRの計算方法

「TR」は「当日の高値-当日の安値」、「当日の高値-前日の終値」、「前日の終値-当日の安値」の3つのうち一番値が大きなものを採用します。「当日の高値-前日の終値」や「前日の終値-当日の安値」については絶対値を取ると説明する場合もありますが、絶対値をとってもとらなくても、最大となる値は変わらないため、ここでは簡略化のため敢えて絶対値をとらない値としています。

  • 当日の高値-当日の安値
  • 当日の高値-前日の終値
  • 前日の終値-当日の安値

「ATR」は「TR」の平均をとったもので、データ数としては14日分や20日分などが用いられます。単純移動平均として計算する場合もあれば、指数平滑移動平均として計算する場合もあります。

当日の高値-当日の安値

テクニカル指標TRの計算1(当日高値-当日安値)

「当日の高値-当日の安値」で当日の日中にどれだけ動いたかの値幅を示していて、「当日の高値-当日の安値」は必ず0以上になります。1日の変動幅がTRを構成するというのは直感的に分かりやすいと思います。

当日の高値-前日の終値

テクニカル指標TRの計算2(当日高値-前日終値)

「当日の高値-前日の終値」は前日の終値から当日の高値までの変化幅を示しています。相場が上昇傾向にある場合は前日終値を基準にした時の上昇方向の値幅の変化を示していて「当日の高値-前日の終値」は通常プラスになります。

逆に「当日の高値-前日の終値」がマイナスということは当日の高値が前日の終値を下回ったということあり、この場合は必ず「前日の終値-当日の安値」の絶対値の方が「当日の高値-前日の終値」の絶対値より大きくなり、かつ「前日の終値-当日の安値」がプラスとなるため、「前日の終値-当日の安値」>「当日の高値-前日の終値」が成り立ちます。「当日の高値-前日の終値」は絶対値を使うと説明される場合がありますが、絶対値を取っても取らなくても3つの値から最大の値を選ぶTRの値には影響がありません。

前日の終値-当日の安値

テクニカル指標TRの計算3(前日終値-当日安値)

「前日の終値-当日の安値」は前日の終値から当日の安値までの変化幅を示していて、相場が下落傾向にある場合は安値が切り下がっていくため、前日終値を基準にした時の下落方向の値動きの幅を示していて「前日の終値-当日の安値」は通常プラスとなります。

「当日の高値-前日の終値」と「前日の終値-当日の安値」で前日の値と当日の値の引く順番が違っているのは、「当日の高値-前日の終値」は前日の高値を更新した時にプラス、「前日の終値-当日の安値」は前日の安値を更新した時にプラスとなるようにするためです。

なお「前日の終値-当日の安値」は上昇相場の時に当日の安値が前日の終値を上回った場合にはマイナスとなります。この場合には、必ず「前日の終値-当日の安値」の絶対値よりも「当日の高値-前日の終値」の絶対値の方が大きくなり、かつ、「当日の高値-前日の終値」はプラスとなるため、「当日の高値-前日の終値」>「前日の終値-当日の安値」となります。

そのため「前日の終値-当日の安値」は絶対値を取ると説明される場合がありますが、絶対値をとってもとらなくても3つの値から最大の値を使うTRの算出には実質的に影響はありません。

なぜTR(ATR)は3つの値の最大値をとるのか

テクニカル指標TRの計算4(当日の値動きが小さい場合)

値動きの幅を計算するためには「当日の高値-当日の安値」だけで良いのではないかと考えるかもしれませんが、始値が前日の終値から大きく上振れ、あるいは下振れした状態で寄り付いた後、大引けまでほとんど値動きがなかった場合、日中の値幅は小さくなります。この時、1日の値幅が小さかったから値動きはほとんどなかったとするのはおかしいと感じるはずです。

そのため、「当日の高値-当日の安値」、「当日の高値-前日の終値」、「前日の終値-当日の安値」の3つの値を比較し、最大の値を真の変動幅(実質的な変動幅)とするのです。

変動幅を考える時に当日の高値や安値、始値や終値からだけで値動きを考えるのではなく、前日の終値からどう動いたかまでで値動きを考えるのです。特に窓が開くような前日終値と当日の価格の水準が大きく異なる場合に重要となります。

当日の高値と安値の間に前日の終値があるかないかでどの値が最大の値になるかを確認します。

当日の高値と安値の間に前日の終値がある場合

当日の高値と当日の安値の間に前日の終値がある場合は「当日の高値-当日の安値」が他の値よりも大きくなります。

テクニカル指標TRの計算5(当日の高値と安値の間に前日の終値がある場合)

前日の終値が当日の安値を下回る場合

一方で前日の終値が当日の高値と当日の安値の間にない場合は「当日の高値-前日の終値」か「前日の終値-当日の安値」のどちらかが他の値よりも大きくなります。

まず、上昇相場で当日の安値が前日の終値を上回った場合です。ローソク足のひげが重ならない場合は、いわゆる窓が開いた状態です。この場合、当日の高値と安値の間に前日の終値はなく、前日の終値は当日の安値を下回っています。

テクニカル指標TRの計算6(前日の終値が当日の安値を下回る場合)

前日の終値が当日の高値を上回る場合

続いて当日の高値が前日の終値を下回った場合です。ローソク足のひげが重ならない場合は、いわゆる窓が開いた状態です。この場合も当日の高値と安値の間に前日の終値はなく、前日の終値は当日の高値を上回っています。

テクニカル指標TRの計算7(前日の終値が当日の高値を上回る場合)

ATRのによる分析例(見方・使い方)

ATRは相場の変動幅の大きさ(ボラティリティ)を示す指標で、価格の上昇や下落の方向性を示した指標ではありません。そのため、ATR単独では買いや売りのシグナルとして使いづらいことに注意が必要です。

一方で、ATRは相場の変動幅の大きさを示しているため、相場が動いているかそうでないかということを分析する場合にはとても役に立ちます。ATRが上昇している場合は上昇や下落のトレンドが出ている可能性を示し、ATRが低下している場合は上昇や下落のトレンドが終了・転換しつつある可能性を示しています。

テクニカル指標ATRの分析例(見方・使い方)

ATRが上昇している時

ATRが低い水準から高い水準へと上昇している時は、これまで相場があまり動いていなかった状態から動いている状態になったということを意味しており、上昇あるいは下落の勢い(トレンド)が発生した可能性を示しています。もちろん、単に変動が大きくなった場合もATRは上昇しますが、相場の動きをみて上昇か下落の動きとなっている場合はトレンドが発生した可能性があります。

ATRが低下している時

ATRが高い水準から低い水準へと低下している時は、これまで相場が大きく動いていた状態から、あまり動かない状態になったということを意味しており、上昇あるいは下落の勢い(トレンド)が弱まりつつある、終了・転換しつつある可能性を示しています。また、上昇や下落ではなく一定範囲内で単に変動が大きかった状態が落ち着きつつある可能性もあります。

ATRが高い水準の時

ATRが時系列で比較して相対的に高い水準にある場合は、相場の変動性が大きいことを示しています。上昇あるいは下落のトレンドが発生しているか、短期間で急激な動きが発生したか、レンジ内で上下に大きく変動している可能性を示しています。

ATRが低い水準の時

ATRが時系列で比較して相対的に低い水準にある場合は、相場の変動性が小さいことを示しています。レンジ相場、ボックス圏相場と呼ばれるような変動が小さい状態となっている時にATRは低くなりやすい傾向があります。

まとめ

  • テクニカル指標のATRは相場の変動の大きさを示す指標で、当日高値-当日安値、当日高値-前日終値、前日終値-当日安値の3つの値の最大値であるTRの平均値となります。
  • ATRは上昇や下落の方向性は直接示しませんが、変動の大きさを示し、ATRの上昇はトレンド発生の可能性があり、低下はトレンド転換の可能性があります。

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