生活に役立つお金の知識と情報です。
※本サイトは広告を掲載しています。

DMIとは(計算方法と使い方)

記事作成日:2019年3月20日
最終更新日:2022年4月14日

DMIとは

DMIとは「Directional Movement Index」で方向性の指数という意味になり、高値の変化幅と安値の変化幅のどちらが大きく勢いがあるかを分析することによって、買いや売りのタイミングを探るテクニカル指標です。オシレーター系の指標と位置付けられますが、トレンドの分析を行うためトレンド系指標とも位置付けられます。

DMIでは高値の変化幅を示す「+DM」と安値の変化幅を示す「-DM」、実質的な相場の変化幅を示す「TR」から、「+DI」と「-DI」という方向性指標と相場の勢いを示す「ADX」という方向性指数を算出し、分析を行います。

スポンサーリンク

DMIで使う「+DI」・「-DI」・「ADX」の計算方法

DMIのテクニカル分析では、最終的に「+DI」、「-DI」、「ADX」を用います。ただし、これらの計算の前に「+DM」、「-DM」、「TR」を先に計算する必要があります。

DMの計算方法

DMIの分析ではまず「+DM」と「-DM」の計算を行います。「DM」とは「Directional Movement」で方向性という意味になります。

当日の高値や安値と前日の高値や安値と比べてどちらが大きいか、小さいかを比較します。

前日の高値よりも当日の高値の方が上回っていて、その幅が大きい場合は高値が伸びているため、買い方が優勢、上昇相場であると考えられます。

逆に前日の安値よりも当日の安値の方が下回っていて、その幅が大きい場合には安値が切り下がっているため、売り方が優勢、下落相場であると考えられます。

高値の変化幅と安値の変化幅のどちらが大きいかから、相場のトレンドが上昇なのか、下落なのかを判断する手助けとなるのがDMなのです。

「+DM」の計算方法

「+DM」は当日の高値が前日の高値からどれだけ上回ったかの幅を示したもので、上回ってない場合は0とし、次の計算式で計算されます。

「+DM」=当日の高値-前日の高値、ただし0以下の場合は0

「-DM」の計算方法

「-DM」は当日の安値が前日の安値からどれだけ下回ったかの幅を示したもので、下回っていない場合は0とし、正の数となるよう次の計算式で計算されます。「-」は安値をどれだけ下回ったかという意味がありますが、「-DM」の値がマイナスになるわけではありません。

「-DM」=前日の安値-当日の安値、ただし0以下の場合は0

分かりづらければ次の式の絶対値を取ったと考えても同じことです。

「-DM」=|当日の安値-前日の安値|、ただし「当日の安値>前日の安値」の場合は0(|a|はaの絶対値を示す)

ただし、「+DM」と「-DM」はどちらか大きい方だけの数値が採用され、小さい方は0となります。また、「+DM」=「-DM」の場合は両方0となります。

「+DM」と「-DM」の計算方法のまとめ

「+DM」と「-DM」の計算方法をまとめると次のようになります。

  • 高値の変化幅=当日高値-前日安値
  • 安値の変化幅=前日安値-当日安値
  • 「高値の変化幅≦安値の変化幅」か「高値の変化幅」<0の場合は「+DM」=0、そうでなければ「高値の変化幅」=「+DM」
  • 「安値の変化幅≦高値の変化幅」か「安値の変化幅」<0の場合は「-DM」=0、そうでなければ「安値の変化幅」=「-DM」

TRの計算方法

DMに続いてDMIの計算に必要な「TR」を計算します。「TR」とは「True Range」で実質的な変化幅(変動幅)という意味になります。「DM」(方向性)が「TR」(実質的変化幅)に対してどの程度な割合なのかを調べることによって、相場が高値あるいは安値の変化の勢いが強いかどうかを分析できるようになります。

「TR」は次の3つのうち一番値が大きなものを採用します。「当日の高値-当日の安値」は必ず0以上になること、「当日の高値-前日の終値」や「前日の終値-当日の安値」は絶対値を取るため、「TR」は必ず0以上になります。

  • 当日の高値-当日の安値
  • |当日の高値-前日の終値|(絶対値)
  • |前日の終値-当日の安値|(絶対値)

「当日の高値-当日の安値」で一日の値幅、「当日の高値-前日の終値」で上昇方向の値幅、「前日の終値-当日の安値」で下落方向の値幅を計算しています。「当日の高値-前日の終値」は前日の終値の方が大きい場合マイナスになるため、絶対値をとっています。「前日の終値-当日の安値」は下落方向になった場合に値の符号がプラスになるようにしていて「当日の安値-前日の終値」の正負を反転させた式となっています。当日の安値が前日の終値を下回っていない場合はマイナスの値となるため絶対値を取っています。

DIの計算方法

「DM」と「TR」を計算したら続いて「DI」を算出します。「DI」とは「Directional Indicator」で方向性の指標という意味になります。「DM」は高値あるいは安値の変化の幅を示したもので、「TR」は実質的な相場の変化幅を示したものでした。「DI」にも「+DI」と「+DM」の2つがあり「DM」を「TR」で割り、高値あるいは安値の変化幅の実質的な相場の変化幅に対する割合を求めることで「DI」を産出します。

「DI」を計算する場合は、「DM」や「TR」は一定期間の合計を用います(移動平均となります)。良く用いられているのは14日間の合計値です。合計方法はいくつか方法があり、単純に合計すれば単純移動平均となり、何らかの修正を加えると修正移動平均となります。具体的には次の式のようになります。なお、「TR」の移動平均を「ATR」と表記することがあります。

  • 「+DI」=「n日間の「+DM」の合計」÷「n日間の「TR」の合計」×100(%)
  • 「-DI」=「n日間の「-DM」の合計」÷「n日間の「TR」の合計」×100(%)

移動平均で表記すると次のようになります。

  • 「+DI」=「「+DM」移動平均」÷「「TR」移動平均」×100(%)
  • 「-DI」=「「-DM」移動平均」÷「「TR」移動平均」×100(%)

移動平均の計算について

DMIで用いる数値で移動平均を計算する場合は単純移動平均や修正移動平均が用いられます。どちらかを使うかは好みの問題もあり、自分に合っている方を使うとよいでしょう。

単純移動平均を用いる方法

単純移動平均を用いる場合、n日間の「+DM」、「-DM」、「TR」を単純に合計します。この後の「DX」でも同様です。

単純移動平均=(過去n日間の合計値)÷n

修正移動平均を用いる方法

「DM」や「TR」、この後の「DX」などの移動平均を計算する場合には、単純移動平均ではなく、修正移動平均(Modified Moving Average(MMA)、Running Moving Average(RMA)、Smoothed Moving Average(SMMA、平滑移動平均))が用いられることがあります。

修正移動平均では、n日間すべての「+DM」、「-DM」、「TR」、「DX」の値を使って計算するのではなく、既に計算した前日の「+DM」、「-DM」、「TR」、「DX」の移動平均と当日の「+DM」、「-DM」、「TR」、「DX」の値から計算します。

前日の「+DM」、「-DM」、「TR」を(n-1)倍して、「n-1」日分の合計値とみなし、当日の「+DM」、「-DM」、「TR」を1日分足してn日間の合計値とするのです。数式にすると次のようになります。合計日数をn日、移動平均を求める数値をaとします。

修正移動平均={(前日のa)×(n-1)+(当日のa)}÷n

DX・ADXの計算方法

「DX」とは「Directional Index」のことで方向性の指数ということになります。「DX」は「+DI」と「-DI」の差の絶対値を「+DI」と「-DI」の合計で割ったものです。式にすると次のようになります。

「DX」=(|「+DI」-「-DI」|)÷(「+DI」+「-DI」) ※||は絶対値を示します。

「+DI」と「-DI」の差が大きいほど「+DI」と「-DI」の差の絶対値が大きくなるため、「+DI」か「-DI」のどちらかが偏って大きい場合に「DX」は大きくなります。これは、高値の変化幅あるいは安値の変化幅どちらか一方向に勢いがあるという状態になります。

ただし、「DX」は変動が大きいため、「DX」の移動平均をとった「ADX」がテクニカル分析では用いられます。移動平均の取り方は単純移動平均の場合と、修正移動平均の場合があります。

「+DI」と「-DI」の見方・使い方

「+DI」が「-DI」よりも大きい時は上昇方向への動きが大きいということになり、上昇相場であることを示しています。逆に「-DI」が「+DI」よりも大きい時は下落方向への動きが大きいということになり、下落相場であることを示しています。

チャートでは「+DI」が「-DI」を下から上に抜く場合に上昇相場、「-DI」が「+DI」を下から上に抜く場合に下落相場となります。ただし、「+DI」と「-DI」を使った分析だけではトレンドにどの程度勢いがあるのかを判別しづらいため「ADX」も使った分析が行われます。

「ADX」(「DX」)の見方・使い方

「DX」は「+DI」と「-DI」の差の絶対値を取っていますが、上昇あるいは下落の勢い(トレンド)の強さを示しています。勢いがある場合は「+DM」か「-DM」のどちらか片方の値が大きくなるため、「DX」及び「ADX」が大きくなります。逆に勢いがないとの値が小さくなるか、両者が拮抗するため「DX」及び「ADX」は小さくなります。

そこで、「+DI」と「-DI」の関係を見る場合に、「ADX」をあわせて用いることで、トレンドの勢いの強弱を測り、買いシグナルや売りシグナルの確度を分析します。

「+DI」が「-DI」を下から上に抜く時、「-DI」が「+DI」を下から上に抜く時に、「ADX」が上昇している場合にはトレンドに勢いがあるため、買いシグナルあるいは売りシグナルであるという可能性が高まると判断されます。

逆に「ADX」が上昇していない、あるいは下落しているといった場合はトレンドに勢いがないため買い場や売り場ではない可能性が高まります。

「+DI」・「-DI」・「ADX」を用いた分析例

テクニカル指標DMIの分析例(+DI,-DI,ADX)

シミュレーションとして作成した架空の株価に対して「+DI」、「-DI」、「ADX」を算出し、株価のグラフと重ねたものが上の図です。「+DI」が「-DI」を下から上に抜いていて、その後「ADX」が上昇している局面は買いシグナルとなっていて、その後株価が上昇トレンドとなっていることが確認できます。

逆に「-DI」が「+DI」を下から上に抜いていて、その後「ADX」が上昇している局面は売りシグナルが出ていて、その後株価が下落トレンドとなっていることが確認できます。

まとめ

  • テクニカル指標であるDMIでは、高値の変化幅や安値の変化幅の勢いから買いや売りのタイミングを探ります。
  • 高値の変化幅から算出した「+DI」と安値の変化幅から算出した「-DI」のどちらが大きいかで買いか売りかを探ります。さらに、相場の勢いを示す「ADX」を加えてトレンドの勢いを分析します。

スポンサーリンク

【DMIとは(計算方法と使い方)の記事は終わりです】

「資産運用|お金を増やす」のページに戻る



SNSでシェア・ブックマーク・後で読む

Twitter Facebook LINE はてな Pocket
最近よく読まれているページ
家計・節約のおすすめページ

ページの先頭へ