テクニカル分析が機能する理由と有効性
記事作成日:2018年2月20日
最終更新日:2022年4月7日
価格変動を示したチャートや売買動向などを分析して将来の価格を予想するテクニカル分析が機能する理由、有効性・有用性についてです。テクニカル分析は一見根拠がない分析であるように思われるため、テクニカル分析はなぜ通用・機能するのか不思議に思ったことがあるかもしれません。しかし、テクニカル分析は過去の経験則に基づいていること、投資家がテクニカル要因を意識して投資を行うこと、テクニカル要因以外の相場材料がない場合があることから、ある程度の有効に通用・機能する分析手法なのです。
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テクニカル分析は根拠がない無駄なものなのか
テクニカル分析とは、価格変動を示したチャートや売買動向など過去のデータを基に、将来の価格変動を予測する分析方法のことをいいます。相場の過去の動き、チャートの形状などを基に将来を予測することになるため、一見根拠がない分析方法であるようにも思えます。しかし、相場の動きをある程度予測することが可能で、ある程度通用・機能することがあります。
テクニカル分析が機能する理由
なぜテクニカル分析は機能・通用するのでしょうか。経済・企業業績の分析などを行うファンダメンタル分析を一切行わず、相場を動かすニュースなどの材料も無視して、テクニカル分析だけで売買を行って投資成果を上げる人もいます。
テクニカル分析は、過去の経験則から相場を予想する手法であること、市場参加者がテクニカル分析を意識していること、テクニカル要因以外の相場材料がない場合があることなどから、将来の価格変動を予測する方法として機能・通用することがあります。
- 過去の経験則から相場を予想する手法であるため
- 市場参加者がテクニカル分析を意識しているため
- テクニカル要因以外の相場材料がない場合があるため
過去の経験則から相場を予想する手法であるため
テクニカル分析は基本的に、過去の相場動向を踏まえて行われます。こういう価格変化をした場合には次はこう動く場合が多い、買われ過ぎたら売られる、下値としてある価格が意識されやすい、といったように、過去の相場の動きを経験的にまとめて理論化・体系化したものが、テクニカル分析なのです。
人間の思考や投資行動には一定の傾向があるとみられ、似たような相場状況では、似たような投資行動をしやすいだろうという推測は、合理的な考え方であるといえます。そのため、経験則をまとめたテクニカル分析は、投資家が似たような相場環境で似たような行動をするという前提に立てば、通用・機能する場合があるのです。
市場参加者がテクニカル分析を意識しているため
市場参加者がテクニカル分析を知っている、意識しているために、テクニカル分析通りの相場展開になるということもテクニカル分析が有効である理由の1つとなります。
市場参加者の一定割合の人は、テクニカル要因を考慮して投資行動を行うため、テクニカル分析で相場が上がると思えば、相場が上がることを前提にした投資行動を行うため、その通りの値動きを実現してしまうことがあります。
例えば、相場が下落しているときに、テクニカル分析で下値がこのくらいだろうという目安が得られるのであれば、テクニカル分析で底だと思った価格に近づいたら買いを入れて値上がりを狙うことになります。そうすると、テクニカル分析での予測通り、その価格が底値になるというような形です。
市場参加者の多くが認識しているテクニカル分析の手法は、テクニカル分析に頼って投資を行うわけではない場合でも認識しておくことが大切です。
テクニカル要因以外の相場材料がない場合があるため
ファンダメンタル分析は中長期の価格を予想する場合には重要な手がかりとなりますが、短期的な値動きを予想することには向いていない側面があります。また、相場を動かす材料となるニュースが常にあるわけではありません。
一方で相場は常に動いていて、市場では取引が行われています。ニュースなどの手掛かり材料がない場合、ファンダメンタル分析は短期間の予測には向いていないことから、投資行動の根拠を求めるのであればテクニカル分析しかないということになってしまいます。
つまり、取引の手掛かりとなる相場材料がない場合には、テクニカル分析に頼って投資行動を行うのでない限り、根拠がない、勘に基づく投資行動になってしまうため、テクニカル分析を材料にせざるを得なくなります。
テクニカル要因以外の相場材料がないのであれば、必然的にテクニカル分析を意識した売買が中心となることによって、テクニカル分析が有効となることがあります。
テクニカル分析をする意義・有用性
テクニカル分析は経済や企業業績の動きに基づくものではなく、市場での価格変化に注目した分析手法であるため、一見理論的ではなく、根拠もないように感じられ、効果がないのではないかと考えてしまうかもしれません。
しかし、過去の経験則から相場を予想する手法であること、市場参加者がテクニカル分析を意識していること、テクニカル要因以外の相場材料がない場合があることなどから、テクニカル分析は市場の値動きを予測する方法として一定の効果があると考えられます。
そのため、テクニカル分析を全く行わないでファンダメンタル分析だけに頼って投資を行うこともリスクがあることに注意が必要です。特に株式投資、FX投資、仮想通貨投資などにおいては、テクニカル分析を重視している投資家が一定程度いるため、テクニカル分析を無視してしまうと投資判断を誤ってしまうことがあります。
一方で、テクニカル分析に全面的に頼って投資を行うのはリスクが大きいと考えられます。正しくテクニカル分析が行えていない可能性があること、テクニカル分析が機能しない相場局面があることが理由です。テクニカル分析は必ず正しく未来を予測するものではありません。あくまで分析手法の1つであることに注意が必要です。
まとめ
- テクニカル分析は過去の経験則に基づいていること、投資家がテクニカル要因を意識して投資を行うこと、テクニカル要因以外の相場材料がない場合があることから、ある程度の有効に通用・機能する分析手法です。
- テクニカル分析を全く行わないで投資をすると投資判断を誤ってしまう場合があることに注意が必要です。特に株式投資、FX投資、仮想通貨投資などにおいては、テクニカル分析を重視している投資家が一定程度いることを意識しておく必要があります。