ETFのメリットとデメリット
記事作成日:2019年2月7日
最終更新日:2022年6月20日
ETF(上場投資信託)のメリットとデメリットについてです。ETFのメリットには少額でも分散投資が容易にできる、信託報酬が低めに抑えられているなどがあります。デメリットには、保有している間は信託報酬が発生してしまう、平均的なリターンとなり大きなリターンを期待しづらい、などがあります。
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ETFのメリット
ETFのメリットとして、少額でも分散投資ができる、信託報酬が低めに抑えられているなどが挙げられます。
少額でも分散投資になる
現物の株式で分散投資を行う場合には複数の銘柄を購入する必要がありますが、ETFであれば基本的に複数の銘柄が投資対象となっているためETFを1取引単位購入すればそれだけで分散投資が可能です。
ETFの最低投資金額は銘柄にもよりますが数万円で買える場合もあるため、少額で分散投資が可能なのです。株式で分散投資を行う場合には複数の銘柄を購入することになると数十万円は必要になります。ただし、銘柄によります。
投資信託よりは信託報酬が低い傾向
ETFは保有しているだけで保有コストとして信託報酬(運用管理費用)が引かれていきます。ただし多くの投資信託よりも購入しやすいように信託報酬(運用管理費用)を相対的に低めに抑えているものが多いです。そのため、投資信託を購入する場合よりも保有コストを抑えることができる場合がります。
特にアクティブファンドのような信託報酬が高い投資信託と比べるとETFの信託報酬は低めとなります。一方、インデックスに連動する投資信託と比べると信託報酬はあまり変わらず同程度となることがあります。
信用取引ができる
ETFは株式と同じように信用取引を行うことができます。信用取引ができることによって、買いだけでなく売りによって利益を上げられる、投じた資金以上の金額の売買ができるというメリットがあります。
買いだけでしか利益が上げられなければ、市場の動きによってほとんど利益が出ない局面もありますが、売りができるようになることで下げ相場でも利益が得られるようになり投資機会が広がるのです。
取引時間中はリアルタイムの時価で売買が可能
ETFは上場していない投資信託と異なり、取引時間中はリアルタイムで価格が変化していきます。投資信託を評価する価格である基準価額は1日に1回計算され、この基準価額で売買をすることになりますが、ETFの場合は取引時間中は株価と同じように時々刻々と価格が変化していくのです。
そのため、ETFは一日のどのタイミングで売買したかによって利益や損失の額が変わってきますし、市場の動きがすぐに反映されるのです。
投資する個別の銘柄選びが必要ない
株式投資であればどの銘柄に投資するのかといったように銘柄選びが重要になりますが、ETFは自分で投資銘柄を決める必要がないため投資するETFを選ぶということは必要ですが、具体的な投資銘柄選びは必要がありません。
そのため、ETF投資は比較的手軽にできるという特徴があります。銘柄選びをどうしたらよいか分からない、投資はよくわからないという場合でも手始めとしてETFで投資に慣れるということが可能なのです。
価格変動リスクが相対的に抑えられる
ETFは原則として複数の銘柄に投資しているため平均的な価格変動となりやすく、単一の銘柄を購入するよりも価格変動リスクが抑えられる傾向にあります。
単一の銘柄、あるいは少数の銘柄だけに投資していた場合、運が悪ければ大きな損失となってしまうこともありますが、複数の銘柄に投資していれば、いくつかの銘柄が大きく下落しても、他の銘柄がカバーするため、損失が膨らみづらくなるのです。
どこの証券会社でも売買できる
上場していない投資信託はその投資信託を取り扱っていないと購入できませんが、国内のETFは取引所に上場されているため株式の売買と同じように売買ができます。上場している取引所と取引ができる証券会社であればどこの証券会社でも売買できます。海外ETFの場合は証券会社によって売買できないことがあります。
上場していない投資信託のように取扱の有無を確認しなければいけないといったことや、普段利用している証券会社では買えないといったことがないのです。
ETFのデメリット
ETFのデメリットとして、平均的なリターンとなり平均を超える大きなリターンが期待しづらい、保有している間は信託報酬が発生するなどが挙げられます。
平均的なリターンとなり大きなリターンを期待しづらい
ETFは基本的に複数の銘柄に分散投資を行うため、平均的なリターンとなりやすく、平均を超える大きなリターンを期待しづらいという特徴があります。特定の銘柄に集中して投資していれば当たった時の利益は大きいですが、複数投資している銘柄の1つが大きく値上がりしても、平均的にみれば大きくはないリターンということになってしまうのです。
大きく当たることも、大きく外れることもなく、平均的なリターンになりがちということです。
保有している間は手数料(信託報酬(運用管理費用))がかかる
ETFは保有している間、手数料が発生し続けます。ETFは上場している投資信託ですが、上場していない投資信託と同じように信託報酬(運用管理費用)と呼ばれる費用が発生します。これは別途手数料という名目で支払いが行われるのではなく、ETFの資産(信託財産)から毎日差し引かれているのです。
ETFを含め投資信託は便利な投資対象であるのですが、保有すればするほど信託報酬(運用管理費用)が膨らむため、長期間保有に向かない側面があります。ETFは長期投資の対象として利用されることも多いですが、保有しているだけで発生しているコストに要注意です。
株式と同じように売買手数料がかかる
ETFは株式と同じように売買手数料がかかります。売買手数料の金額は証券会社によって異なり、証券会社によっては手数料が安く購入できる場合もあります。
ETFには売買手数料が発生するため、利益がほとんど出ないまま頻繁に売買を繰り返したり、少額の売買を行ったりすると、手数料によって利益がほとんどなくなってしまうことや損失となってしまうことがあります。
株式や不動産を投資対象とするものが多い
ETFは理論上、株式だけでなく、債券や不動産なども投資対象とすることができます。最近では不動産を投資対象とするETFも数が多くなっていて国内で売買が可能ですが、債券を投資対象とするETFは数が少なくなっています。
債券投資はリターンは低いものの、リスクも低いため、債券のETFと株式のETFを組み合わせることができれば、株式と債券の分散投資になりますが、債券のETFは選択肢が極めて少ないことはデメリットとなります。
流動性に注意が必要な場合がる
ETFによっては市場での売買があまり活発ではないため、流動性(売買のしやすさ)に注意が必要です。売買が活発でない場合には、自分の出した注文がなかなか約定しない、条件を悪くしないと売買が成立しない、自分の売買が価格に影響を与えてしまう、といったことが起きます。
流動性の向上を目的としてマーケットメーカーが気配値を提示するマーケットメイク制度によりある程度流動性が確保できているETFもありますが、流動性に注意が必要なETFもあるため売買動向の見極めが大切です。
連動対象に完全に連動するわけではない
ETFは対象とする指数に連動することを目指していますが、完全に動きが一致するわけではなく、若干のずれが生じます。通常はほとんど気にならない程度のずれとなりますが、連動対象となる指数によっては大きなずれが生じることもあるため、一応完全に連動しているわけではないことを覚えておきましょう。
上場廃止・繰上償還となることがある
ETFも株式と同じように上場廃止となることがあります。上場廃止となると繰上償還となることがあります。例えば、ETFの人気がなく純資産が少なくなってくるとETFの運営が困難となることがあり、運用会社によって上場廃止の申請が行われて、繰上償還に至ることがあります。
ただし、倒産して株式が上場廃止となるような場合と異なり、ETFの価値が全くなくなるというような状況でなければ、純資産の価値に見合った金額が償還されて戻ることになるため、過度に心配する必要はありません。ETFの投資対象全ての価値がなくなってしまったというような場合でなければ、ある程度お金が戻ってくることが期待されるのです。
まとめ
- ETFのメリットとして、少額で分散投資が容易にできる、信託報酬が低めに抑えられているなどといったことがあります。
- デメリットとして、保有している間は信託報酬が発生する、分散投資によって平均的なリターンとなるため大きなリターンを期待しづらいといったことがあります。