毎月分配型投資信託の問題点・デメリット
記事作成日:2015年7月21日
最終更新日:2022年6月14日
毎月分配金を分配する投資信託の問題点・デメリットなどについてです。毎月分配型の投資信託には、再投資をする場合に税金の分だけ投資効率が落ちる、再投資をしないと複利効果が得られない、元本部分まで分配してしまうタコ足配当の場合があるなどの問題点があります。そのため、毎月分配型投資信託への投資は慎重に考える必要があります。
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毎月分配型の投資信託の特徴
毎月分配型と呼ばれるタイプの投資信託では、毎月決算を行い収益の一部などが毎月分配金として分配されることが特徴です。毎月分配型の投資信託は、毎月分配を行うために安定的な収益を得る必要があり、債券への投資が中心となります。日本の債券は利回り水準が低くなるため、外国債券が主な投資対象となっていることが多いです。
毎月分配型の投資信託のメリット
毎月分配型の投資信託のメリットとして、毎月分配があるということが挙げられます。投資信託による収益を小刻みに毎月受け取りたいような場合、まとまった運用資金があり分配金だけで相当な金額になることが期待され使う用途があるような場合に毎月の分配がメリットになると考えられます。
毎月分配型の投資信託の問題点とデメリット
毎月分配型の投資信託には次のような問題点・デメリットがあります。
税金の分再投資効果が薄まる
投資信託から分配金が出る場合には、利益に相当する部分については税金が差し引かれて分配金が支払われます。そのまま分配金を別の用途に使う場合は税金面では問題ありませんが、再投資をしたいという場合には差し引かれた税金の分再投資効果が落ちてしまいます。なお、元本に相当する部分が分配金として分配された部分は非課税となります。
また、再投資の購入する手数料に関しては、分配金を自動で再投資する投資信託では再投資の購入手数料を無料としている場合もあり、再投資の際は特に税金の負担が問題となります。
複利効果が期待できない
資産運用では、投資によって得られた収益を再投資することによって、再投資された分投資の元本が多くなり更に投資の効果が大きくなる複利効果が重要となります。しかし、毎月分配型では投資信託で収益を上げても一部分あるいは全部が毎月分配されてしまうため、再投資をしなければ複利効果を得ることができません。しかし再投資をすると税金の負担などの問題が出てきます。
小刻みに収益を還元して欲しいという考えで投資を行っている人にとっては毎月分配型が当てはまる部分があるかもしれませんが、当面使う予定がないお金で資産を増やしていきたいと考えている人にとっては毎月分配型が投資の目的に合っていないことがあります。
分配金を出すため運用が影響を受ける
毎月分配型では毎月分配金が出ることがメリットとして販売されています。そのため、運用は毎月安定した分配金を出すことができるように配慮して行われます。もし、毎月の分配金が変動する場合、特に毎月の分配金が下がってしまうと、毎月一定額の分配金が出ることを期待して購入した投資家の失望を招いてしまう恐れが強いからです。そのため、なるべく分配金を変えないように運用されます。
そのため、毎月分配型の投資信託が投資している資産の価格が下落しても、分配金を引き下げないことがあります。そのような場合には投資信託の投資行動に少なからず影響を与えると考えられます。
元本を分配するタコ足配当の場合がある
毎月分配型の投資信託では、いわゆるタコ足配当と呼ばれる収益以上に分配金を出すような場合があります。毎月安定した分配金を出すために、収益が上がらない相場局面でも無理して分配金を出すため、収益では足りず元本部分を分配してしまうことがあります。
投資家としては運用して増やしてもらいたいから投資信託を購入しているのに、分配金で元本を分配されてしまっては意味がありません。
元本部分が分配金として分配された場合には非課税になるため、運用が悪ければ仕方ないと感じるかもしれませんが、購入手数料や信託報酬はしっかりとかかった上で分配されます。
無理して元本まで分配してしまうような投資信託は、毎月分配に拘るあまり運用効率を疎かにしてしまっている可能性があります。
トータルリターンが分かりづらくなる
投資信託は投資した結果、基準価額の値上がり分と分配金のトータル(全部)で儲かったかどうかを判断すべきです。しかし、毎月分配金が出ることによってトータルリターンが分かりづらくなってしまうことがあります。
特に元本部分を分配するタコ足配当を行った場合には、どの部分が元本で、どの部分が収益かと考えるだけで訳が分からなくなってしまう場合もあると考えられます。
本当に儲かっているのか、いくら儲かっているのかがすぐには分からなくなってしまい、判断を鈍らせてしまう可能性があります。
毎月の分配に拘り過ぎない
どうしても人間は目先のお金に弱い所があります。毎月お金が分配されると言わるとなんだかうまく運用されているような印象を受けてしまう場合もあると考えられます。また、実際にお金が毎月分配されていると、実際には損失が出ていたとしても、収益を上げているように感じてしまい、得した気分になってしまうことがあります。
しかし、本当に毎月分配型の投資信託でなければならないのか冷静に考えることが大切です。
まとめ
- 毎月分配型の投資信託は毎月決算を行い、収益等を毎月分配する投資信託です。
- 毎月分配型の投資信託には、再投資をする場合税金の分投資効率が落ちる、再投資をしないと複利効果が得られない、元本まで分配してしまうタコ足配当の場合があるなどの問題点があります。