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投資信託の「基準価額」の意味と「基準価格」との違い

記事作成日:2019年2月25日
最終更新日:2022年6月17日

投資信託の「基準価額」の意味と「基準価格」との違い

投資信託の値段のことを「基準価額」といいます。基準価額とは、投資信託の売買を行う値段を意味していて、投資信託の単位当たりの価値を示しています。投資信託の純資産額を口数で割ると基準価額が算出できますが、日本では通常1万口当たりで基準価額を示します。運用を開始する時(基本は設定日前日を基準)は通常1口が1円とされるため、基本的に1万口当たりの基準価額は10,000円から始まります。基準価格という言葉が用いられることもありますが、正式には基準価額です。

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「基準価格」ではなく「基準価額」とされる理由

投資信託の値段を示す言葉として、「基準価額」ではなく「基準価格」という言葉が使われることがあります。「基準価額」が正式な用語なのですが、新聞などの報道で「基準価格」という用語も用いられることもあります。

「価格」と「価額」の意味の違い

基準価格と基準価額の違いとなる、「価格」と「価額」の違いですが、価格はモノが実際に取引される時の具体的な価格を示していて、買い手と売り手が合意すればどのような価格でも売買が成立します。主観的な要素が入ることになります。同じモノがある取引では12,000円で取引されて、別の取引では9,000円で取引されることがあります。この取引の値段は「価格」(price)です。

一方、「価額」はモノの価値、値打ちを示していて、客観的な評価基準によって決められます。そのため、算出された価額が10,000円であれば10,000円なのであって、条件が同じであれば人によって適用される価額は同じになるのです。価額はモノの「価値」(value)を示していることになります。

「基準価額」は純資産額から客観的に算出される評価額

基準価額は投資信託の純資産額÷口数から客観的に算出される投資信託の評価額であって、同じ条件であれば計算した人によって価額が変わるということはありません。

株式の価格である株価は、市場の需要と供給によって絶えず変化します。株式を高く評価する人が多く、買いが集まれば人気になり、価格である株価は上昇していきます。

しかし、投資信託は買いが殺到したからと言って購入する値段が変わるわけではなく、あくまで純資産額によって算出された基準価額で売買が行われます。投資信託が人気化したから投資信託が値上がりするということではないのです。

基準価額は投資対象となる株式や債券の価格が変化したり、信託報酬が差し引かれたりすることによって変動しますが、投資信託に買いが殺到したから価額が上がるということはありません。

投資信託の基準価額は、投資信託の単位当たりの価値、値打ち(value)を示しているため、「価格」ではなく「価額」の方がふさわしく、「基準価額」と表現されるのです。

基準価額は1日1回算出される

投資信託の基準価額は株価のように時々刻々と変動するものではなく、1日に1回計算されて公表されています。投資信託の基準価額は公平のためにブラインド方式で行われ、投資家は基準価額が分からない状態で投資信託の売買を行い、投資信託の取引の申し込みが締め切られた後で基準価額が公表されます。

基準価額の計算方法

基準価額は投資信託の純資産総額を総口数で割ることによって求めることができます。この純資産総額には投資信託の運用成績が反映されるほか、分配金や信託報酬等の各種費用の支払いが反映されます。

基準価額=純資産総額÷総口数(×10,000)

基準価額の変動要因

投資信託の基準価額は投資対象の価格変動、分配金の支払い、信託報酬等の支払いなどによって変動します。ただし、株価のように市場の需給によって変動するわけではありません。

投資対象の価格変動

投資信託の投資対象としている株式や債券などの価格が変動することによって投資信託の純資産額が変化するため、基準価額は変動します。株価や債券価格が値上がりすれば純資産額が増えるため基準価額は上がり、株価や債券価格が値下がりすれば純資産額が減るため基準価額は下がります。

なお株式の配当金や債券の利子(クーポン)の受け取りによっても純資産額が変動しますが、株式を保有していて配当金が支払われるとその分だけ配当落ちが発生しますし、債券は保有期間に応じて経過利息が計上されて評価されるため、見た目上は配当金や利子の支払いによって基準価額が大きく動くということはありません。

分配金の支払い

投資信託から分配金が支払われるとその分だけ投資信託の純資産額が減少するため、基準価額は減少します。分配金の支払いがあるため、基準価額が1万円を下回っているからと言って運用成績が悪いと結論付けることはできません。積極的に分配金を支払う方針の場合は運用成績が良くても、分配金の支払いが多いため、基準価額が1万円を下回る場合があります。

信託報酬(運用管理費用)等の支払い

投資信託は保有する信託資産から信託報酬(運用管理費用)等の各種費用の支払いを行います。信託報酬(運用管理費用)は運用を行う運用会社、販売を行う販売会社、財産の保管管理等を行う受託会社に対して支払われる報酬で、日々一定割合が信託財産から支払われるため、投資信託の純資産額が減ることになります。

他にも株式などの取引を行うための売買手数料、投資対象の取引等に関する税金の支払い、資産の保管に必要な費用、監査に必要な費用、事務処理に必要な費用などが信託財産から支払われます。

各種費用が支払われると投資信託の純資産額が減るため、その分だけ基準価額は下がることになります。

まとめ

  • 基準価額とは投資信託の価値を示し、純資産総額を総口数で割って求められます。基準価額を用いて投資信託の売買が行われます。
  • 「基準価額」ではなく「基準価格」という用語が用いられる場合もありますが、正式には「基準価額」です。

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【投資信託の「基準価額」の意味と「基準価格」との違いの記事は終わりです】

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