自動車保険長期契約で等級を損する場合

記事作成日：2015年6月27日
最終更新日：2017年5月1日

メリットが多い自動車保険の長期契約ですが、１年ごとの契約と比較して等級を損してしまう場合があるんです。実際の保険料への影響はケースによって異なってきますが、知らないと等級を損した時に、こんなはずじゃなかったと思うことがあるので注意しておきましょう。また事故発生時の事故有係数適用期間も１年契約と異なる場合があります。

長期契約の等級の計算方法は１年契約と違う

１年超の長期契約では等級の計算方法が１年契約の場合と異なり、更新前の等級＋｛更新前の契約期間－（３等級ダウン事故件数＋１等級ダウン事故件数）｝－（３等級ダウン事故件数×３＋１等級ダウン事故件数×１）という式で計算されます。

｛更新前の契約期間－（３等級ダウン事故件数＋１等級ダウン事故件数）｝部分がマイナスとなった時はこの部分を０として計算します。

等級の計算例

１２等級で３年契約の３年目に３等級ダウン事故が１件発生した場合、１２等級＋｛３年－（１件＋０件）｝－（１件×３＋０件×１）＝１２＋２－３＝１１等級となります。

長期契約は事故有係数適用期間の計算方法も違う

１年超の長期契約では事故有係数適用期間の計算方法が１年契約の場合と異なり、（更新前の事故有係数適用期間－更新前の保険契約期間）÷２）＋（３等級ダウン事故件数×３＋１等級ダウン事故件数×１）－（更新前の保険契約期間÷２）という式で計算されます。

（更新前の事故有係数適用期間－更新前の保険契約期間）÷２）部分がマイナスとなった時はこの部分を０として計算します。事故有係数適用期間の計算結果が小数となった時は小数点第１位を切り上げます。

事故有係数適用期間の計算例

１２等級、事故有係数適用期間が０年で３年契約の３年目に３等級ダウン事故が１件発生した場合、（０年－３年÷２）＋（１件×３＋０件×１）－（３年÷２）→（最初のカッコは０として）０＋３－１．５＝１．５→（切り上げて）２年となります。

１年契約と長期契約で等級などが異なる例

保険期間の特定の年に複数回事故が発生した場合では更新時の等級に差が出ます。また、そのほかに事故有係数適用期間に差が生じる場合もあります。

等級と事故有係数適用期間の計算例（１）

１年目が１２等級、事故有係数適用期間が０年で３年目に３等級ダウン事故が２件発生した場合。

３年の長期解約の場合

等級は、１２等級＋｛３年－（２件＋０件）｝－（２件×３＋０件×１）＝１２＋１－６＝７等級となります。

事故有係数適用期間は、（０年－３年÷２）＋（２件×３＋０件×１）－（３年÷２）→（最初のカッコは０として）０＋６－１．５＝４．５→（切り上げて）５年となります。

１年契約の場合

等級は、１年目：１２等級→２年目：１３等級→３年目：１４等級→４年目：８等級となります。

事故有係数適用期間は１年目：０年→２年目：０年→３年目：０年→４年目：６年となります。

この場合、３年の長期契約の方が１年契約よりも等級が１つ低くなり損をします。しかし、事故有係数適用期間は３年の長期契約の方が５年と１年契約の６年よりも短くなります。状況によってどちらが得になるかは変化しますが、等級で損をする可能性があるということは知っておいた方がよいでしょう。

等級と事故有係数適用期間の計算例（２）

１年目が１２等級、事故有係数適用期間が０年で１年目に３等級ダウン事故が１件発生した場合。

３年の長期契約の場合

等級は、１２等級＋｛３年－（１件＋０件）｝－（１件×３＋０件×１）＝１２＋２－３＝１１等級となります。

事故有係数適用期間は、（０年－３年÷２）＋（１件×３＋０件×１）－（３年÷２）→（最初のカッコは０として）０＋３－１．５＝１．５→（切り上げて）２年となります。

１年契約の場合

等級は、１年目：１２等級→２年目：９等級→３年目：１０等級→４年目：１１等級となります。

事故有係数適用期間は１年目：０年→２年目：３年→３年目：２年→４年目：１年となります。

この場合、等級はどちらも同じですが、事故有係数適用期間が３年の長期契約では２年と１年契約の１年よりも長くなっています。しかし、１年契約では事故有係数が既に２年目と３年目の２年間に適用されているので、条件にもよりますが３年の長期契約の方が金銭的負担は少なくなる可能性があります。

まとめ

長期契約は等級や事故有係数適用期間の計算方法が１年契約の時と大きく異なります。
特定の条件での事故発生時に長期契約は１年契約と比べて等級で損をする場合があります。長期契約では等級や事故有係数適用期間に注意しましょう。